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スルガ銀不正「解除されない金融庁命令」ズルズル5年超


地銀、スルガ銀行(本店・静岡県沼津市)の不動産をめぐる不正融資問題で、金融庁の業務改善命令が解除されずに5年がたつ。同行の加藤広亮社長は11月9日の決算記者会見で「命令が解除されないことに大きな経営責任を感じている」と述べ、早期解除を目指す考えを示したが、現状では見通しは立っていない。

 スルガ銀行は2018年10月、不正問題で金融庁から業務改善命令を受けた。同行から借金して投資用不動産を購入した個人が返済困難に陥り、多数の不正が見つかったためだ。金融庁は改善命令で「個々の債務者に適切な対応を行う」よう求めた。改善命令の対象は「シェアハウス向け融資」と「その他投資用不動産融資」の二つだ。

 命令を受けたスルガ銀行は、シェアハウスの購入者が結成した「被害者同盟」と交渉。物件を売却して銀行が損失をすべて負担する和解案で20年に合意し、購入者の借金は帳消しになった。ところが「その他投資用不動産」をめぐる不正融資の問題は解決していない。

 ◇アパマン問題での交渉は

「その他投資用不動産融資」とは、中古アパート・マンションを1棟丸ごと投資用に購入した人への融資だ。スルガ銀行はこの件を「アパマン問題」と呼ぶ。シェアハウス問題が和解した翌年、アパマン問題で借金を抱える約400人がシェアハウスの被害者同盟にならい、もう一つの「被害者同盟」を結成した。

この「被害者同盟」の弁護団と、銀行側との交渉は21年8月に始まり、約40回の協議が行われてきた。具体的な解決策を探る段階にきているが、主張は大きく隔たったままだ。スルガ銀行の加藤社長は11月9日の決算会見で「当社の思惑だけで早くとはなかなかいかない」と述べ、解決への道筋が見えていないことを認めた。

 加藤氏は交渉で銀行側が「三つのステップ」を提示したと説明した。不正の内容や銀行員が関与したかどうかといった3段階をへて銀行が責任を負う割合と解決金を算定するものだ。

 ◇「三つのステップ」

被害者同盟の関係者は、「三つのステップ」は銀行側が責任の範囲と割合をかなり絞り込んだ内容だと反発する。提示案に従うと購入者の多くが銀行の補償の対象外となる。対象になっても算定される解決金は少額で、購入者には多額の借金が残ってしまうという。

 スルガ銀行のアパマン問題の被害者同盟に対する姿勢は、全面解決したシェアハウス問題への対応と一線を画すものだ。仮にアパマン問題をシェアハウスと同様に解決すると、「被害者同盟」以外の融資物件にも影響が出て銀行経営を揺るがしかねないといった事情があるとみられる。

 アパート・マンション向け融資は「被害者同盟」に属する約400人に限らず、シェアハウス向け融資より数がはるかに多い。弁護団には同盟メンバー以外に、借金返済が困難になったと相談してきた人が200人ほどいるという。相談者以外にも、購入物件の賃貸収入が銀行への元利返済を下回って収支が赤字になっている物件は数多いとみられる。

◇改善命令は「負の象徴」

業務改善命令は銀行にとって「負の象徴」と言える。業務改善計画を提出し、計画通りの改善を認められ、解除されるまで金融庁に状況報告を続けなければならない。現在、過去の改善命令が解除されていない銀行は、スルガ以外にはみずほ銀行・みずほフィナンシャルグループがある。

みずほは現金自動受払機(ATM)の停止などシステム障害が相次ぎ、21年9月、同11月の2度にわたり改善命令を受けた。障害リスクの改善と管理態勢の確立などに努めている。

一方のスルガ銀行は、弁護団と交渉を重ねてきたが、互いの主張のミゾが埋まっていない。改善命令が5年を超す長い期間解除されないのは異例の事態だ。今のままでは、改善命令を受けたまま時間だけが過ぎていくことになる。

◇ことば・スルガ銀行の不正融資

シェアハウス物件「かぼちゃの馬車」の運営会社が18年に経営破綻し、スルガ銀行から融資を受けて物件を投資用に購入した数百人が返済不能になった。融資をめぐり銀行が多くの不正を行っていたことが明らかになった。不正は中古マンション・アパート向け融資でも多数見つかった。

毎日新聞より転用

毎日新聞

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