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【山本篤】主将務める村岡桃佳ら注目、まず自分のために頑張ってほしい/北京パラ見どころ


北京冬季オリンピック(五輪)に続き、4日から冬季パラリンピックが始まります。陸上のパラリンピアンで「義足ジャンパー」として知られる山本篤(39=新日本住設)は、2018年平昌冬季パラにもスノーボードで出場し、「二刀流」として話題になりました。その山本が自身の経験をもとに、冬季パラについて随時、執筆します。1回目は、北京五輪の感想と北京パラの見どころです。

◇     ◇

今回の北京五輪ではアスリートたちの姿に感動し、いろんなことに気付かされました。特に注目したのがフィギュアの羽生結弦選手、スノーボードの平野歩夢選手、スピードスケートの高木美帆選手。多くの人から期待されている中でどういうパフォーマンスを見せるのか、非常に興味を持って見ていました。

高木選手は5種目に出て、金を含めた4つのメダルを獲得しました。非常にタフでとてもできないことです。ものすごいトレーニングの中で、自分の中でどうやっていけばいいのか最後までイメージができていたのだと思います。

平野選手は決勝の2本目、誰もが「あれ?」と思う採点がありました。そういう状況でも3本目に最高のパフォーマンスを披露し、金メダルをつかみました。今までの日本人選手だと、あの2本目に「あれ?」と思ったタイミングで、本来の力を発揮できずに終わることが多かったように思います。でも最終3本目に最高のパフォーマンスを出せたのは、自分の技を磨くことに特化してやってきた練習の賜物であり、同時に自分の技への揺るぎない自信があったからこそだと思います。

そして羽生選手は、誰もやったことのない技にチャレンジしながら臨んだ大会でした。結果的に実らなかったのかもしれないですが、飽くなき探求心のもとに、自分を奮い立たせながら金メダルを目指してやってきた。そこにアスリートの尊さを見ました。あの場面でどういう心理状況だったのだろうか、などと同じ競技者目線で考え、競技後の言葉に共感することが多かったです。

私自身、平昌パラにスノーボードで出場しました。高校2年の時に交通事故に遭い、左足を切断しましたが、事故後最初に始めたスポーツがスノーボードでした。なぜ冬季パラに挑んだかというと、16年リオから20年東京までの期間は長く、何か新しい経験を始めたいと思ったタイミングで、スノーボードがパラ競技となりました。そこへチャレンジすることで自分に刺激を与えたかった。新たな刺激を入れることで、東京へステップアップを図るという思いもありました。同時に、いろんな人に夏季だけでなく冬季パラのことも知ってもらいたいというものがありました。大腿部大腿障がいクラスのスノーボードクロスは12位、バンクドスラロームは途中棄権となりましたが、充実感がありました。

その平昌での思い出と言えば、大会中に同じ家で暮らした時のことです。同部屋にスノボーの成田緑夢選手、隣の部屋にクロスカントリーの新田佳浩選手、スノボーの小栗大地選手もいて、いろんな話をしました。金メダルを取るための極意や集中している部分。成田選手は自分のパフォーマンスを最大化するためには? 新田選手は得意な種目に絞って金メダルを取りにいったとか。どちらも自分の強みが分かっていると思いました。そういう話を聞いて、自分はどういう気持ちで東京パラに向かえばいいのかなと。新しいわくわくした気持ちで、スタートラインに立った思い出があります。

それで今回の北京パラですが、日本選手団の主将を務めるアルペンスキー女子座位の村岡桃佳選手に注目しています。平昌では大回転の金メダルを含む1大会5個のメダルを獲得しました(金1、銀2、銅2)。陸上で夏の東京五輪にチャンレンジした後の冬の大会で、この短期間でどのくらい仕上げてきているのか? メダルを何個取れるのかなというのを楽しみにしています。

また、私が出場したスノーボードにも注目です。前回3人だったところが今回は6人います。前回から出ている小栗選手を筆頭に新しい選手のレベルも上がっています。ワールドカップ(W杯)でも全員表彰台に上がっていて、チャンスがあると思います。中でも私と一緒に2年間トレーニングをしている小須田潤太には期待しています。東京には陸上100メートルと走り幅跳びに出場。走り幅跳びは自己ベストを更新する5メートル95で7位入賞しました。夏パラ初出場で、そこから今回の冬パラにも初出場しました。陸上をしていて、スノボーに生きることはたくさんあるけど、スノボーをしていて陸上に生きることはあまりない。その中でバランスをうまく取りながら、年1回の海外遠征に行ってポイントを取って、次につなげていく。コロナ禍による1年延期で東京パラ終わった後、この半年間の準備で冬に臨むというのは本当にすごいことです。

小須田選手は私と一緒に練習したこの2年で、体が大きく変わりました。陸上で速くなるためのトレーニングをして、それを冬の体づくりにも生かした。あとはチャレンジ精神が旺盛で、探求心もある。どうすれば遠くに跳べるのか、速く滑れるのか。映像を見て研究してはトライする姿に共感しました。そういう取り組みを見てきたからこそ、アスリートたちに伝えたいことがあります。まず「自分のために頑張ってほしい」ということです。周囲のサポートあっての競技者というのはもちろんですが、今まで自分の時間を競技のためにたくさん注いできた尊さは普遍です。だから自分のために競技を楽しんでほしい。それで失敗しようと成功しようとどちらでも構わない。それはチャレンジした結果なのだから。後悔しないように思いっきりチャレンジしてほしい。自分の経験則から、それが一番の願いです。

◆山本篤 やまもと・あつし。1982年(昭57)4月19日生まれ。静岡県出身。掛川西高-大体大。スズキを経て17年にプロ転身し、新日本住設と所属契約。大体大客員准教授も務める。08年北京パラリンピックの走り幅跳びで日本人の義足陸上選手として初のメダル獲得(銀)。12年ロンドン大会5位、16年リオ大会で再び銀。21年東京大会は自己記録を更新する6メートル75で4位だった。二刀流として冬にも挑戦し、スノーボードで18年平昌冬季パラにも出場。身長167センチ

日刊スポーツ新聞社より転用


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