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業績回復が鮮明なセブン&アイ、際立つ不振事業 アメリカ好スタートも国内大型店舗の苦戦続く


業界1位の強さと課題が見え隠れする決算になった。10月7日、コンビニ国内最大手のセブン-イレブンなどを展開するセブン&アイ・ホールデングスが2022年2月期の第2四半期(3~8月期)決算を発表した。

営業収益は3兆6464億円(前年期同比30.8%増)、営業利益1861億円(同3.6%増)で着地した。通期業績計画については営業収益8兆3090億円と、当初の計画数字を2710億円上方修正した。営業利益については3800億円で据え置いている。

コロナ前の一昨年の上半期決算(2020年2月期第2四半期)は、営業収益3兆3132億円、営業利益2051億円だったことから見ると、営業収益はコロナ前の水準を超えた。上方修正の牽引役となったのは海外コンビニ事業で、中でも大きく貢献したのがアメリカでの大型買収だ。

ネットコンビニの利用が8倍に

2020年8月にセブンは、アメリカ3位の店舗数を持つコンビニチェーンのスピードウェイの買収を発表。スピードウェイは約4000店(セブンはアメリカで約1万店)を展開している。2021年5月に買収自体は完了したが、地域によってシェアが高くなりすぎるとして現地の規制当局からストップがかかった。結局高シェア地域の店舗売却で決着し事なきを得た。

今上期はスピードウェイの約1.5カ月分の業績を連結決算に取り込んだ。営業利益では137億円、のれん償却分を差し引いたセブンの連結決算への貢献は31億円となった(連結決算での上期営業増益額は約64億円)。さらに、アメリカの既存店舗の売り上げも増加傾向が続いている。

稼ぎの柱である国内コンビニ事業も前期と比べて上向いた。営業利益は1233億円(前年同期比4.3%増)で、2020年2月期上期と比べると92%の水準まで回復した。業界大手のローソンは営業利益164億円(前年同期比31.9%増、単体ベース)となったが、2020年2月期上期と比べると60.4%にしか達しておらず、セブンの強さが際立った。

コンビニ事業ではコロナ禍を受けての食品買いだめや人混み、外出を敬遠する動きの中で、冷凍食品や野菜類、練り物といった商品の販売が伸長している。「コロナによる(コンビニの)使われ方は変化し続けている」と同社の井阪隆一社長はコメントした。こうした商品の販売増加で2019年水準と比べると客単価は100%以上と平時よりも伸びている。

デリバリーサービスの新規事業もコロナ禍の追い風を受けた。セブンは国内とアメリカで、店舗から商品を注文者の自宅などに配送するネットコンビニの「7NOW」を提供。アメリカでは客単価が来店客の7割以上も高く、利用数も2020年1~3月期から2021年4~6月期で8倍まで伸びている。

井阪社長は「8月末の(アメリカの7NOW)取り扱い店舗数は約4000店舗。当初は2025年度に6500店舗への導入を目指していたが計画を前倒しして、2022年度に6500店舗の導入を目指していく」と強気の姿勢を示した。

好調なネットコンビニ事業については多くを語った井阪社長だが、言葉少なだった部門がある。そごう・西武やイトーヨーカ堂といった国内の大型商業店舗だ。

そごう・西武は売上高こそ2057億9200万円(前年同期比7.6%増)とやや持ち直したものの、営業赤字が49億9300万円と、前期と比べてほぼ14億円赤字が膨らんだ。

前期は休業期間も多く、販管費の一部をコロナによる特別損失として計上していた。今期はそれがなかったことで費用面が膨らんだ。そのうえ、売上高の回復が鈍く、2020年2月期水準の2890億2200万円の71%にしか届かなかったことで赤字の拡大を招いた。そごう・西武は当時からすでに赤字を計上していた。

止血後も業績が沈む大型店舗

イトーヨーカ堂も苦戦が続いている。上半期の売上高は5116億8100万円(前年同期比1%減)と一見ほぼ横ばいだが、その内訳をみると前期に緊急事態宣言で休業を強いられたテナントが前年比14.1%増と急回復しており、ヨーカ堂本体の不振が足を引っ張る構図が際立つ。そごう・西武と同様に営業利益は悪化しており、10億7100万円(前年同期比64%減)となった。

イトーヨーカ堂本体の中でも悪化が顕著なのが衣料品や生活雑貨を扱うライフスタイル部門。上半期の部門売上高は1094億9900万円(前年同期比7.1%減)。コロナ前の2020年2月期上期は1460億8100万円の売上高があった部門で、売り上げを大きく減らしている。要因は衣料品などの長期的な構造不況で、回復の兆しが見えないのは懸念材料と言える。

こうした比較的大きな商圏を持つ大型店舗の課題については、今年7月に発表した中期経営計画(2025年度までの5カ年計画)でも対応策を掲げた分野でもある。

そごう・西武、イトーヨーカ堂いずれも人員適正化による収益性向上や地域に合わせた商品展開に売り場構成を変更する取り組みなどを進めている。イトーヨーカ堂では不採算店舗5店の閉鎖も進めている。

そもそも、そごう・西武やイトーヨーカ堂の不振は今に始まった話ではない。2018年2月期から2020年2月期の中期経営計画でも取り組んだ課題だ。

当時は「止血」を重点として閉店を進め、2017年2月期末で23店舗あったそごう・西武は10店まで整理され、イトーヨーカ堂の店舗は、2017年2月期初めの182店から2021年2月期末には132店まで減少した。

コロナ禍が直撃したとはいえ、その後1年以上が経過しても、大型店舗部門の業績は沈んだままで出口が見えない状況が続いている。

好スタートを切ったアメリカ事業やコンビニ事業の回復が見えた今こそ、不振事業の立て直しを図れるか。井阪社長の手腕が問われている。


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