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「ウマ娘」だけでない、サイバー強烈決算の真因 時価総額は初の1兆円突破、「電通超え」の威力


スマートフォンゲーム『ウマ娘 プリティーダービー』の大ヒットで、サイバーエージェントの株価は上場来高値を更新した(記者撮影)© 東洋経済オンライン スマートフォンゲーム『ウマ娘 プリティーダービー』の大ヒットで、サイバーエージェントの株価は上場来高値を更新した(記者撮影)

「ウマ娘」旋風がすさまじい。

インターネット広告代理店最大手・サイバーエージェントが4月28日に発表した2021年9月期第2四半期(1~3月期)決算は、売上高が1634億円で前年同期比26.6%増、営業利益は258億円で同2.1倍となった。最大の要因は、傘下のサイゲームスが今年2月に配信を始めたスマートフォンゲーム『ウマ娘 プリティーダービー』の大ヒットだ。

株式市場も好決算を評価し、翌営業日の4月30日には株価が2248円をつけ前日比15%の上昇となり、上場来高値を更新した。株式時価総額は初めて1兆円の大台を突破。広告代理店最大手の電通グループ(同日時点で9690億円)をも上回った。

ウマ娘は配信開始当初にアップルのアップストア、グーグルのプレイストアの売り上げランキングでトップに躍り出ると、その後もほぼ独走の状態が続いている。4月8日にはダウンロード数が500万を突破した。ゲームの課金収入は直近ですでに300億円近くまで伸びたとの予測もある。

延期を経て、待望のリリース

ウマ娘は、サイゲームスがゲームやマンガ、アニメなど、さまざまなメディアでコンテンツ化できるIP(知的財産、キャラクター)を開発するために2016年に立ち上げた一大プロジェクトだ。

最大の特徴は、実在する競走馬の名前や特長を当てはめたキャラクター設定だ。「実際の競馬の世界観や歴史をできるだけ忠実に表現することに注力してきた」(サイゲームスの近石愛作取締役)。ゲーム開発が始まった2016年にまずマンガを発行し、翌年にはライブイベントを開催。そして2018年にはアニメシリーズの第1弾がテレビ東京で始まり、第2弾も今年1月から放映された。

ゲーム開発はプロジェクトの中心で、当初は2018年にリリースされる予定だったが、「全体的な質や完成度を高めるために延期した」(近石氏)。これまでの決算発表の場でもウマ娘は期待の新作として取り上げられていたが、リリースのメドがなかなか立たず、ファンからも待ち望む声が高まっていた。「大変長らくお待たせすることになったが、自信を持って提供できる作品になったと思っている」(同)。

これまでの5年間にファンを獲得してきたことは、早期の人気化だけでなく、収益性にも貢献した。新作ゲームのリリース時は、ヒットさせるための広告宣伝費がかさむことが多いが、サイバーエージェントは今回、ファン層の厚さに期待し広告出稿を抑制。ゲーム事業全体の広告宣伝費はむしろ、「第1四半期(2020年10~12月期)よりも減らしている」(サイバーエージェントのIR担当者)。

当初会社側は2021年9月期通期の業績予想を、売上高5000億円、営業利益300億~350億円としていたが、今回発表した第2四半期までの実績で営業利益予想の下限値を超過。そのため通期予想を売上高6000億円、営業利益575億~625億円に上方修正した。第2四半期時点で業績予想を達成したのは上場以来初めてだという。

とはいえ、スマホゲームはヒット作品があるかないかで業績が乱高下する。ウマ娘だけに頼るわけにもいかない。決算説明会に登壇したサイバーエージェントの藤田晋社長は冒頭、「ゲームの好調さが注目されているが、広告も含めて全般的に好調な状態にある」と説明した。

ネット広告も踏ん張っている

主力のネット広告事業は、この1~3月期の売上高が前年同期比10.8%増の806億円、営業利益は同7.5%増の72.3億円となった。昨年は4月以降に新型コロナウイルスの感染拡大の影響を強く受けた業種を中心に、広告主が出稿を手控えたことを受け売上高の伸びがほぼ止まっていた。

この状況を受け、コロナ禍の巣ごもり需要を取り込むネット通販やエンタメ系の広告主への営業を強化してきた。とくにグーグルやヤフーの検索連動型広告を伸ばしており、「現在は完全に回復している。緊急事態宣言の影響も軽微だ」(藤田社長)。ネット広告売上高の伸び率は、競合の電通グループや博報堂DYホールディングスを上回る。

さらに、従来これら2社が囲い込んできた「ナショナルクライアント」と呼ばれる大企業の広告主に関しても、「広告予算の増分を当社が獲得できている」(IR担当者)。

一方、広告やゲームの稼ぎを元手に投資してきた動画配信サービス「ABEMA(アベマ)」は、今後の成長可能性がまだ不透明だ。コロナ禍の追い風で週間アクティブユーザー数は1400万人まで伸びたが、直近では1200万人前後で推移。サイバーエージェント社内からは、「ヒット番組を生み出すのが難しくなってきている」との声も聞かれる。

直近のアベマ関連事業では、こちらも巣ごもり需要を受けて、有料オンラインライブ配信、競輪やオートレースのネット投票サービス「WINTICKET(ウィンチケット)」など周辺事業が大きく売り上げを伸ばしている。ただコロナ後も見据えると、番組のヒットが左右する広告収入や月額課金の会員数がより重要になる。

主力事業が稼げるうちに、アベマをどれだけ強くできるか。これが今後の焦点となりそうだ。

東洋経済オンラインより転用


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