夏休み延長、エアコン次第?自治体で割れる対応 「負担は大きい」現場には戸惑いも
- 政治・経済
- 2018年8月22日
猛暑による学校での熱中症事故を防ぐため、文部科学省が全国の自治体に夏休みの延長などを検討するよう通知したことを受け、福岡県中間市と同県川崎町の教育委員会が、それぞれ1週間の延長を決めたことが西日本新聞の調べで分かった。九州の県教委などに聞いた。長崎県佐世保市の小学校1校は21日の登校日を取りやめた。他にも気象状況を見ながら判断する自治体がある一方、小中学校でエアコン設置が進む福岡、熊本両市教委は「健康への影響は限定的」などとして延長しないことを決定、自治体で対応が割れている。
7月に愛知県の小学男児が熱中症で死亡した事故などを受けて文科省は7日、児童生徒の健康を最優先に考慮した上で必要に応じて夏休みの延長や臨時休校日の検討を要請。その際は年間の総授業時間数確保のため冬休みや春休みの短縮、土曜授業の実施などで調整するよう促している。
小中学校の音楽室などでエアコンが未設置の中間市は27日の始業日を9月3日とした。当初は、休み明けの1週間は午前だけの授業を予定していたが、暑い中での下校を避けて休みを延ばした。保護者には連絡済みで市教委は「理解を求めたい」としている。
川崎町も27日の始業日を1週間遅らせる。小学校英語の教科化などに伴い、今年から始業式を1週間前倒しする予定だったが、取りやめた。町内では中学校1校を除き、普通教室にエアコンは設置されていない。授業時間の確保は「今後検討する」と同町教委。
長崎市教委によると、同市内の小学校1校が始業式の3日から7日まで、通常授業を短縮し午前授業で終えることを決めたという。
検討中の福岡県岡垣町は、小中学校の普通教室(プレハブ校舎を除く)にエアコンが整備されておらず、同町教委は「2学期は運動会などもある。何を根拠に何日間延ばせばいいのか判断が難しい」。同県直方市は「8月最終週の気温を見ながら臨機応変に対応したい」としている。
一方、熊本市教委は「授業時間の確保が心配。今後、台風の襲来や冬季のインフルエンザ流行などでの休校も考えられる」。熊本県玉名市教委の担当者も「本年度は夏休みを2日間短縮したばかり。延長すると方針が二転三転することになり保護者からも苦情が出る」として延長しない。全市立学校の普通教室にエアコンを設置済みの福岡市教委も同様で、熱中症対策として始業式の時間短縮や体育館以外での実施などを各校に通知している。
福岡市の中学校長は「1日でも延ばせば年間スケジュールを見直さなければならず現場の負担は大きい。保護者にも賛否はあると思う」と戸惑う。また、福岡県内のある教頭は「自治体や現場任せにすれば地域格差も出てくる。全教室へのエアコン完備などを急いでほしい」とこぼした。
一言コメント
台風も来そうだしね。
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