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「黄金世代」ついにJリーグから消える 小野、遠藤ら引退相次ぐ


サッカー日本代表で152試合、J1リーグ戦は672試合に出場し、いずれも歴代最多記録を残した遠藤保仁さん(43)が9日に現役引退を表明した。日本サッカー界を引っ張ってきた「黄金世代」と呼ばれるメンバーがJリーグから姿を消すことになった。

 2023年はJ2ジュビロ磐田でプレーした1980年1月生まれの遠藤さんらは「黄金世代」「ゴールデンエージ」などと称される。「ゴールデンエージ」は本来、スポーツの基本的動きや技術を身につけるのに最も適した小学校高学年ごろを指す言葉だが、79年生まれを中心としたこの世代には才能あふれる選手がそろい、ナイジェリアで行われた99年の世界ユース選手権をきっかけに、その名が定着した。

現在のU20(20歳以下)ワールドカップ(W杯)に当たり、日本は国際サッカー連盟(FIFA)主催大会で初めて決勝に進み、準優勝した。フル代表と兼任していたフィリップ・トルシエ監督の下、試合を追うごとに丸刈りにする選手が増えるなどの一体感があった。既にフル代表で98年のW杯フランス大会に出場していた小野伸二さん(44)と、流れるようなドリブルで攻撃を彩った本山雅志さん(44)の2人がベストイレブンに選ばれた。

 この世代は00年のシドニー・オリンピックで8強入り。遠藤さん、小野さんに加え、現在44歳の高原直泰さん、小笠原満男さん、稲本潤一選手、中田浩二さん、加地亮さん、バックアップメンバーだった曽ケ端準さんは、W杯代表にもなった。この世代は長く活躍したが、23年度中に引退表明が相次いだ。

 本山さんは23年4月に引退表明した。小笠原さん、中田さん、曽ケ端さんと鹿島アントラーズに同期で入団し、「常勝軍団」で02年から「10番」を背負った。07年からのJ1・3連覇などに貢献。16年からは地元の北九州でJ2、J3でプレーし、マレーシアのクラブにも所属した。

 ドイツ1部リーグのハンブルガーSV、アイントラハト・フランクフルトなどで活躍し、現在は日本フットボールリーグ(JFL)の沖縄SVのクラブ代表取締役兼監督の高原さんは8月に現役引退を表明。02年W杯日韓大会はエコノミークラス症候群の影響で落選するなど苦しい経験を乗り越えただけに、「ここまで多くの方々に支えられて選手を続けることができ、幸せな選手生活でした」とコメントに実感が込められていた。

 世界ユース選手権で主将を務め、この世代の「顔」だった小野さんは02年にオランダの名門フェイエノールトでUEFA(欧州連盟)カップ(現欧州リーグ)優勝に貢献した。卓越した技術を持ち「天才」とも呼ばれたが、けがに泣いた。最後はJ1北海道コンサドーレ札幌に所属し、44歳の誕生日となった9月に引退を発表した。現役最後の試合となった12月のJ1最終節、古巣の浦和レッズとの試合後には「毎日楽しくサッカーをさせてもらったことは宝物。これからも日本サッカーに携わりたい」とあいさつした。

99年に世界の強豪を相手にGKとしてゴールを守った南雄太さん(44)は、J2だった大宮アルディージャで10月に引退を表明した。静岡学園高から入団した柏レイソルでは、投げたボールが自陣ゴールに入ってしまうオウンゴールを献上したことがあり、引退時には「サッカー界から抹殺されるかと思いました」とスピーチで笑いを誘った。それでもJ1、J2で計666試合に出場できたのは、起用に応える実力があったからこそだった。

 世界を驚かせた選手たちは、1学年上で22年シーズン限りで引退した中村俊輔さん(45)の引退試合があった昨年12月、同じピッチでプレーして旧交を温めた。最後までJリーグでプレーしていた小野さん、南さん、遠藤さんの引退で、世界ユース準優勝の「黄金世代」で現役を続けるのは、関東1部リーグの南葛SCで今季からコーチ兼任となる稲本選手と、社会人チームで監督を兼任する永井雄一郎選手(44)の2人になった。遠藤さんは古巣のJ1ガンバ大阪のコーチに就任する。一時代を築いた選手たちはそれぞれの立場で、新たな一歩を踏み出す。【村社拓信】

◇1999年世界ユース選手権の日本代表メンバー

▽GK

①榎本 達也(横浜マ)

⑱南  雄太( 柏 )代

※曽ケ端 準(鹿 島)代、W

▽DF

②手島 和希(京 都)代

③辻本 茂輝(京 都)

④石川 竜也(筑波大)

⑤加地  亮(セ大阪)代、W

⑰氏家 英行(大 宮)

▽MF

⑥稲本 潤一(ガ大阪)代、W

⑦酒井 友之(市 原)代

⑧小笠原満男(鹿 島)代、W

⑩本山 雅志(鹿 島)代

⑪遠藤 保仁(京 都)代、W

⑫中田 浩二(鹿 島)代、W

⑬小野 伸二(浦 和)代、W

▽FW

⑨高原 直泰(磐 田)代、W

⑭永井雄一郎(カールスルーエ)代

⑮高田 保則(平 塚)

⑯播戸 竜二(ガ大阪)代

※丸数字は背番号、所属は当時

所属の右の「代」はフル代表選出、「W」はW杯代表選出

市原は現千葉、平塚は現湘南

曽ケ端はバックアップメンバー

毎日新聞社より転用


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