SBIが会見前、記者に異例の抗体検査 「現在の感染調べるものではない」疑問の声も
- 企業・経済
- 2020年6月10日
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ネット金融大手のSBIホールディングス(東京)などは8日に東京都内で開いた記者会見で、新型コロナウイルスの抗体検査を受けることを記者の入場条件にした。記者に消毒や検温を求める企業や省庁はあるが、採血し感染歴を調べる抗体検査は異例。「感染症拡大の防止」が目的で、抗体があることを示す陽性反応が出れば入場を断る予定だったという。専門家からは対応の有効性や妥当性を疑問視する声も上がっている。 SBIによると、会見には報道機関やメディアの記者15人が参加し、全員が入場前の受付で、SBIの提携医療機関による抗体検査を受けた。指先から微量の血液を採取する簡易キットを使って抗体の有無を調べたところ、陽性反応は一人も出なかったという。 会見はSBIや山口フィナンシャルグループ(FG、山口県下関市)、新生銀行(東京)が共同で開催。SBIの北尾吉孝社長が会場で対応し、ほか2社の社長はオンラインで参加した。SBIコーポレート・コミュニケーション部によると、会見場内で感染が起きないように検査の実施を決めた。検査は全社員に実施済みで、社外を対象にするのは初めてだったという。 新生銀は「会見の運営には関わっていない」(広報担当)と説明。山口FG広報室は「感染拡大防止のためのルールが必要だと判断した」としている。 ただ、厚生労働省はホームページで抗体検査について「診断を目的に単独で用いるのは推奨されない」との世界保健機関(WHO)の見解を紹介。「精度が発揮できない検査法による検査の可能性もあり、注意が必要だ」としている。 厚労省関係者は今回の対応について「抗体検査キットは、その時点での感染の有無を調べるものではない。その結果による入場制限は妥当だとは言いがたい」と指摘。都内で抗体検査に携わる久住英二医師も「会見場で距離を空け、発話者がマスクを着用すれば、感染が広がるリスクはほぼない」と強調した。 報道の取材制約やプライバシー侵害につながりかねないとの懸念もある。医療問題に詳しい木下正一郎弁護士は「過剰とも言える対応で、合理的ではない。報道、表現の自由を侵害している」と指摘。森亮二弁護士は「データの情報管理の仕方にもよるが、有効性と必要性に疑問がある検査で病歴に関係するような情報を取得するのはプライバシーの観点から問題がある」と話す。
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