「島が壊れかねない…」自粛求めても訪れる観光客 離島がコロナに強い危機感を抱く理由
- 政治・経済
- 2020年4月19日
「島の暮らしが壊れかねない」。離島の住民たちは新型コロナウイルス感染拡大に危機感を募らせる。高齢者が多く医療態勢は手薄。一度感染が広がれば、交通や物流の要である船便がストップする懸念もある。16日には石垣島でクラスター(感染者集団)が発生した可能性が発表されたこともあって各島は対策を急いでいる。(社会部・堀川幸太郎)
◆高齢化と手薄な医療態勢
「1人でも感染者が出れば島内クラスターが発生する可能性がある」。伊良皆光夫多良間村長は10日、来島中止要請を出した。1111人(高齢化率30・3%)が暮らす小さな島。3日に来島自粛を求めた後も観光客らが訪れ、踏み込んだ対応を取らざるを得なかった。
島々の医療態勢は本島と比べると弱い。伊平屋村(人口1235人)は医療機関は診療所一つに医師と看護師が一人ずつ。陽性患者を収容できる感染者病床がないことも他の小さな島の自治体と共通している。
◆船が途切れたら食料届かず
感染は生活基盤も揺るがす。「島の足」が村営フェリーだけとなる粟国村(685人)の船舶課は「感染客がいて、船員も濃厚接触と見なされたら消毒、経過観察のため2週間は運航できない」とみる。
海路が途切れれば船積みの食料品は届かない。通院先の本島で長期滞在を余儀なくされ、大きな出費を強いられる。だからこそ予防に注意を払い、島内外の往来自粛を求める。県立高校の休校で帰省した子どもたちにも自宅待機を呼び掛ける。
◆救急隊員並みの対応は酷
18市町村の「県離島振興協議会」の会長で、座間味村(911人)の宮里哲村長は10日、県に支援を要請した。島に向かう前に港・空港で検温するなどの水際対策、来島者の感染疑い対応や2次感染防止のマニュアル作りといった内容だ。
小さな島の自治体に消防署はなく、役場職員らが消防団員を務める。コロナ感染が疑われるケースが出ても、専門的な知識のある救急隊員並みの対応を求めるのは酷だ。宮里村長は「マンパワーを尽くしても対応しきれない部分はある。離島の共通課題」と窮状を訴えた。
一言コメント
こういう時、迷惑を被るのはいつも地方だ。
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