運転手足りない 見直し相次ぐ路線バス 沿線住民からは不安の声
- 政治・経済
- 2019年3月22日
運転手の人手不足などを背景に、路線を見直すバス会社が相次いでいる。佐賀県唐津市に本社がある昭和自動車は、佐賀市北部を中心に26路線の見直しを検討しており、沿線住民からは不安の声が漏れる。バス業界は運転手不足だけでなく、高齢化や働き方改革といった重い課題を抱えており、生活の足を脅かす事態は今後も各地で続きそうだ。
佐賀市三瀬村の山あいを走る昭和自動車の三瀬線は、同社が見直しを進めている路線の一つ。「バスがなくなるともう遠くには行けなくなる。タクシーは高いので使えない」。同村の農業、中田春代さん(84)は不安をのぞかせる。自家用車はなく、隣の神埼市の姉の家までは三瀬線を使っている。同社や関係自治体は代替交通手段も含め検討を進めるが見通しは立っていない。
同社によると、佐賀市のJR佐賀駅と三瀬村を結ぶ三瀬線は「日中2、3人しか乗らない」。赤字分は沿線自治体から補助を受けているが、その額は増え続けている。
同社の路線見直しの背景には、運転手の高齢化と人手不足が横たわる。運転手の平均年齢は、2009年4月の50歳と比べ今年2月は52・7歳と高齢化。この間、運転手の人数は332人から303人に減った。同社の黒田正直乗合事業部長は、大型2種免許のハードルが高いことなどから「新規の運転手が増えない」と漏らす。
さらに、現在の路線数を維持したまま長時間労働の是正などに取り組む「働き方改革」を進めると、運転手が現在の1・2~1・5倍必要になり、黒田部長は「事業を継続するためには路線再編は避けて通れない」と苦しい胸の内を明かす。
高知市を中心に路線バスを運行する「とさでん交通」(同市)も昨年4月、運転手不足を理由に、市内を走るバスの土日祝日ダイヤを計49便減便した。西日本鉄道(福岡市)も昨年3月、働き方改革で、天神と博多を結ぶ循環バスの運行ルートを短縮。熊本市内を走る「熊本都市バス」も今年4月から運行本数を約5%減らすなど影響は都市部にも出ている。
日本バス協会が17年10~11月に30両以上を保有するバス会社を調査した結果、310社のうち85・8%が運転手不足と回答した。運転手の平均年齢は51・3歳で50代以上がほぼ半数を占める。同協会は「このまま運転手が減り続けると、路線を縮小するしかない。対応が難しいところまで来ている」と危機感を募らせる。
一言コメント
ドライバー不足は運送業界全体の問題だ。
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