米刑務所から殺人犯が脱走、両腕両脚をつっぱり壁をよじ登る
- 国際
- 2023年9月9日
米ペンシルヴェニア州の刑務所から先月31日、殺人罪で服役中の男が脱走した。州警察は6日、脱獄の瞬間を捉えた監視カメラ映像を公開した。
ブラジル人のダネロ・カヴァルカンテ受刑者(34)は先月31日、チェスター郡刑務所から脱出して以降、 逃走を続けている。
公開された映像には、同受刑者が刑務所の通路の壁に両手をつき両腕を、もう片方の壁に両足をつけて両脚をそれぞれ突っ張らせ、体を地面と水平にして壁をじわじわよじ登る様子が映っている。2つの壁は1.5メートル離れている。
カヴァルカンテ受刑者は2021年4月、元恋人のデボラ・ブランダオ氏を、ブランダオ氏の幼い2人の子供の目の前で残酷に刺殺した罪で有罪となり、先月に終身刑を言い渡された。
この脱獄劇は、カヴァルカンテ受刑者の母国ブラジルでも大きな話題となった。同受刑者はブラジルで、2017年に起こした殺人事件で指名手配されている。
「同じルート」で2度目の脱獄
チェスター郡刑務所では5月にも、別の受刑者が今回と同じ壁をよじ登って脱走している。
関係者によると、前回の脱獄を受け、かみそりの刃のついた鉄線が設置されていたというが、効果がなかったことは明らかだ。
ハワード・ホランド所長代理は記者会見で、5月19日にイーゴリ・ボルテ受刑者が脱獄した後、警備コンサルタントを雇ったと説明した。ボルテ受刑者は後に、ロッククライミングの知識を使って脱走したと警察に語っている。
ホランド氏によると、コンサルタントは「不十分な点を指摘」し、ほかの受刑者が同じ逃走ルートを使わないよう、かみそりの刃のついた鉄線が設置された。
しかし、カヴァルカンテ受刑者が「かみそりの刃のついた鉄線を伝って、壁をよじ登っていく」様子が監視カメラに映っていたと述べた。
「我々のセキュリティ対策は十分だと信じていたが、そうではなかったことが証明された。今後、セキュリティ対策の強化を迅速に進めていく」
カヴァルカンテ受刑者もボルテ受刑者も、屋根まで登り、はしごを使って刑務所内の警備が薄い場所へ移動していた。
前回の脱獄から数カ月後に、なぜ同じようなことが起きたのかと問われると、ホランド所長代理は「かみそりの刃のついた鉄線を使い、こうした事態を防ぐ適切な処置を取れていると考えていた」と答えた。
ただ、物理的な障害物に焦点を当てていたものの、「人的要素」について対処できていなかったとも述べた。
5月に脱走したボルテ受刑者は、ビデオモニターで監視していた職員に見つかり、脱走から5分後に拘束された。
一方、カヴァルカンテ受刑者は先月31日午前9時に脱走したが、監視塔にいた看守は気がつかなかったという。
この職員は休職処分となり、州司法長官による調べを受けている。
カヴァルカンテ受刑者の行方を追う捜査当局は6日、ここ数日で数件の目撃情報が寄せられたとし、捜索範囲を拡大したと発表した。
ペンシルヴェニア州警察のジョージ・ビヴェンズ警視は記者団に対し、カヴァルカンテ受刑者は木が生い茂る地形を「移動するのに苦戦している」可能性があり、小屋やほかの建物に隠れているかもしれない」と述べた。
当局は4日、ヘリコプターとパトカーを使い、ブラジルにいるカヴァルカンテ受刑者の母親が録音した、息子に投降を求める音声メッセージを流し始めた。
同受刑者の拘束につながる情報の提供者には、2万ドル(約300万円)の報奨金が提示されている。
BBC Newより転用
コメントする