中国が情報システムの全面「国産化」内部指示…外国企業の排除進める
- 国際
- 2023年7月7日
中国政府が、政府や国有企業が使用するオフィス関連機器や情報システムを国内企業の製品のみで構成する「国産化」を2027年までに完了するよう内部文書で指示していることがわかった。中国は外国企業を差別しないことを定める世界貿易機関(WTO)の政府調達協定に加盟する姿勢を示し、政府調達の対外開放を促す環太平洋経済連携協定(TPP)にも加盟を申請する一方で、国内的には日本など外国企業の排除を進めていることになる。
在北京の複数の外交筋によると、中国政府の国有資産監督管理委員会は22年9月、政府や国有企業に対し、情報システムの全面的な国産化を進めるよう、文書で通達した。「79号文書」と呼ばれる文書は、23年1月から3か月ごとに国産化の進展状況を同委に報告することも求めているという。
コンピューターや複合機などのOA機器やサーバー、電子メール、ファイルのシステムなどを対象としている。〈1〉共産党と政府が国産化を進め、国産製品の質の向上や中堅メーカーの育成を図る〈2〉金融、通信、電力、石油、交通、航空宇宙、教育、医療の「8大重要業界」に国産化を拡大〈3〉その他の全業界にも広げる――の3段階で進めるという。
中国はWTOの政府調達協定への加盟交渉を15年以上継続し、「対外開放」の姿勢を強調してきたが、外交筋などの間では疑問視する見方が強まっている。
米国の業界団体関係者によると、中国の国有銀行ではすでに情報システムにIBMやアドビなど米大手の製品を採用しない調達外しが進んでいるという。
中国政府は国家安全の一つに「情報」を位置づけており、国内企業だけで高性能製品を製造する能力の構築が狙いとみられる。今後、民間への波及も必至で、外国製品が中国市場に参入する余地がさらに狭まるとともに、将来的には中国企業がこの分野で世界市場のシェア(占有率)拡大を図っていくとの観測も出ている。
読売新聞より転用
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