中国地元当局が子供連れ去り認める 32年前「一人っ子政策で」
- 国際
- 2022年7月7日
中国南部広西チワン族自治区で32年前に起きた子供の連れ去り事件を巡る地元当局の対応が物議を醸している。この子供の両親が捜査をするよう改めて陳情したところ、当局が「一人っ子政策」に基づく「社会調整」だったとして事実上、連れ去りへの関与を認めたのだ。インターネット上では「官製の誘拐・人身売買だ」といった書き込みが相次ぎ、中国社会に衝撃が広がっている。
中国メディアによると、この両親には子供が7人いた。1990年夏、旅館に宿泊していたところ、突然5人の男女が現れ、当時1歳だった末っ子の男児が連れ去られたという。両親は先月、地元の衛生当局に改めて捜査するよう求めた。
地元当局は今月1日、「90年代は厳格な人口抑制政策が実施されており、政策に違反して生まれた子供から1人を選んで『社会調整』をしたことは、当時の地元政府の決定だ」としたうえで「あなたの子は『社会調整』によって連れ去られたのであり、誘拐や人身売買ではないと確認されている」と回答。一方でこの子供の「所在など、いかなる記録も残っていない」として陳情を不受理とした。「社会調整」が具体的にどのような行為を指すのかは説明していない。
ネット上には「今後は誘拐・人身売買を『社会調整』と呼べばいいのか」「寒くはないのに震えが止まらない」といった声があふれた。事態を重く見た地元当局は、事実関係を調査すると表明するなど対応に追われている。
中国政府は急激な人口増加を抑えるため、79年から1組の夫婦につき子供を1人に制限し、違反者には罰金を科すといった一人っ子政策を導入。2015年に廃止を発表するまで厳しい人口抑制政策をとった。地域によっては、当局が強制的な堕胎を指示する事例などがあったと指摘されている。
毎日新聞より転用
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