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【スノボハーフパイプ】平野歩夢「スイッチ使わない技で圧倒」“勝負手”トリプルコークで初の金


<北京オリンピック(五輪):スノーボード>◇男子ハーフパイプ(HP)決勝◇11日◇雲頂スキー公園

冬季五輪2大会連続銀メダルの平野歩夢(23=TOKIOインカラミ)が、悲願の金メダルに輝いた。

3度の試技すべてで大技トリプルコーク1440(斜め軸に縦3回転、横4回転)に成功。3回目で96・00をマークし、スコット・ジェームズ(オーストラリア)を逆転して頂点に立った。98年長野五輪で採用されたスノーボード競技で日本勢初の金メダル。3大会連続のメダル獲得は、冬季五輪の日本勢では初の快挙となった。

    ◇    ◇    ◇

ふつふつと湧き上がる感情をパワーに変えた。試合では平野歩しか成功させていない最高難度の大技トリプルコーク1440。1回目の試技に続いて2回目でも成功させたが、先に試技を終えていたジェームズ(オーストラリア)より採点評価は下回っていた。

平野歩 難易度の高い4回転を3つ入れたルーティンをしていたので『おかしいな』とは思った。イライラというか、怒りが収まらないまま3本目を迎えたけれど、怒りとともに集中できていた。

怒りで気持ちを揺さぶられるのではなく、プラスのモチベーションに変えてしまうところが一流たるゆえん。再びトリプルコークから始まる一連のルーティンを、さらに高く飛び、ぴたりと着地を決め続けた。スクリーンに浮かび上がったスコアは96・00。予選とは傾斜や深さが微妙に異なるコースに多くの選手が手を焼く中で、完璧なパフォーマンスを披露した。14年ソチ、18年平昌といずれも銀メダルだったが三度目の正直でついに本懐を遂げた。

平野歩 (五輪は)ずっと狙っていたタイトル。小さい頃からの夢をずっと追いかけてきた。その夢が1つかなった。

スノーボードとスケートボードとの二刀流で、昨夏の東京五輪では日本選手5人目の夏冬五輪出場を果たした。コロナ禍による東京五輪1年延期の影響で、北京五輪への準備期間はわずか半年。「1日1日を無駄にできない。そんな期間しか僕には残されていない」と覚悟を決め、限られた時間を最大限に活用した。トップ選手の多くがスイッチバックサイドから繰り出す技の習得を目指していた中で、自らの“勝負手”に選んだのがトルプルコーク。

平野歩 みんながスイッチバックサイドをやるなら、違うところで勝負しようと思った。スイッチを使わない技で圧倒したいという気持ちが強かった。

頂点への道を自ら切り開き、目指した場所へとたどり着いた。絶景が広がる。

平野歩 ちょっと休憩して、これからどういう道を進んでいくのか、しっかり考え直して進んでいきたい。

その王者は、いつまでも挑戦者でありつづける。【奥岡幹浩】

◆トルプルコーク1440 斜め軸に縦3回転、横4回転する大技。技名にある「トリプル」は縦に3回転することを指す。「コーク」とはコルクスクリューの略で、コルク用の栓抜きのように、らせん状に渦を巻く回転形式であることに由来。1440は回転数(360×4)を意味する。昨年12月のデュー・ツアーで、平野歩夢が公式戦では世界で初めて成功させた。

スノーボード男子ハーフパイプ決勝3本目の平野歩夢のエア(撮影・パオロ ヌッチ)

© 日刊スポーツ新聞社スノーボード男子ハーフパイプ決勝3本目の平野歩夢のエア(撮影・パオロ ヌッチ)
日刊スポーツ新聞社より転用

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