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裁判員18歳「いつの間に」…国会議論ほぼなく、少年法改正で来年度から


裁判員に選ばれる年齢が来年4月、現在の「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げられ、早ければ再来年から刑事裁判に参加することになった。高校生を含む18、19歳が死刑の可否など重い判断に直面する可能性もあるが、国からの説明や国会での議論はほとんどなかった。専門家らからは「議論が不十分だ」と批判する声や、「法教育の充実が不可欠だ」との意見が出ている。(倉茂由美子、安田龍郎)

■「説明不十分」「法教育必要」の声

■困惑

「いつの間にか対象年齢が下がっていた」。市民らでつくる一般社団法人「裁判員ネット」などが今月4日に東京都内で行った記者会見。同団体代表の大城聡弁護士は困惑した様子でそう語った。

大城弁護士が年齢引き下げを知ったのは9月下旬。最高裁のホームページで、裁判員制度の「トピックス」をたまたま目にして気付いた。最高裁は7月に掲載したとしているが、知り合いの弁護士や研究者の多くが把握していなかった。

大城弁護士は「裁判員は、市民の参加によって成り立つ制度。国は、なぜ引き下げが必要なのか理由を説明し、社会で十分議論するべきだった」と指摘する。

■陰に隠れて

裁判員は裁判員法に基づき、衆院選の選挙権を持つ人の中から選ばれる。選挙権の年齢は2015年6月成立の改正公職選挙法で「18歳以上」に引き下げられたが、裁判員と検察審査会審査員は同法の付則で「20歳以上」に据え置かれた。国会では当時、「18歳、19歳は少年法の適用を受けているのに、人を裁く立場になるのが妥当かという議論があった」と説明された。

ところが、政府が今年2月、国会提出した改正少年法の法案には、「付則を削除する」との一文が盛り込まれた。法案は事件を起こした18、19歳を「特定少年」と位置づけ、一定の厳罰化を図る内容で、国会での議論はその是非が中心となった。裁判員や検察審査員の年齢引き下げは陰に隠れたまま質疑がなされず、5月に改正法が成立。付則の削除も決まり、両年齢は、改正法が施行される来年4月に裁判員の対象に含まれることになった。

■不安と期待

少年法を所管する法務省幹部は「国民の意見をできるだけ幅広く反映させるというのが裁判員制度の趣旨」とした上で、「少年法の改正で、18、19歳は裁判員裁判の対象事件について、原則として刑事裁判を受けることになる。裁判員から同じ年齢を除外する必要もなくなった」と説明する。ただ、別の幹部は「国会で議論にならず、国民には年齢変更の理由が分かりにくかったのだろう」と話した。

18、19歳は、早ければ来年作成される「裁判員候補者名簿」に載り、23年の裁判員裁判に参加する。

東京都内の私立高校2年の男子生徒(17)は「社会経験がなく、裁判もよくわからない。人に刑罰を科す判断をできるのだろうか」と心境を吐露。一方、都立高校1年の女子生徒(16)は「人の一生を左右する裁判に参加し、悲惨な証拠を目にすることに不安はあるが、人生の良い経験になるとの期待もある」と話す。

元東京高裁部総括判事の角田正紀・日大法科大学院客員教授は「改正少年法が『特定少年』と位置づける18、19歳に、裁判員制度では成人と同じ職務を負わせるべきか、慎重な議論が必要だった」とした上で、「裁判員は裁判官と意見交換して結論を出す。話し合いで意思を形成することは有意義な経験になるはずで、法曹界は刑事裁判や裁判員の役割を知ってもらうため、法教育をさらに充実させる必要がある」と指摘する。

■学生の参加増 期待も

裁判員法には、学生や生徒は辞退できるとの規定がある。高校生が申し出れば、柔軟に辞退が認められる。

最高裁によると、昨年、裁判員に選任されたのは5221人。裁判所のアンケートに回答した5048人のうち、40歳代、50歳代がそれぞれ2割を超えるのに対し、20歳代は706人で14%にとどまり、年代別では辞退が認められる「70歳以上」(2%)に次いで低かった。職業別で「学生」は1%しかなく、6割を超える「会社員など」とは大きな差がある。

あるベテラン裁判官は「SNSでのやりとりが証拠として提出されることもあり、そうしたツールに精通した若い世代が審理に加われば、より多角的な議論が展開できる」として、学生の参加も期待する。

18、19歳の人口は総務省の推計で約230万人。最高裁は、若い人に向けたパンフレットを作成し、制度の周知を図る方針だ。

◆改正少年法=事件を起こした18、19歳について、家裁が検察官に送致(逆送)する対象犯罪を、従来の「故意に人を死亡させた事件」から、「死刑、無期、懲役または禁錮1年以上の犯罪」に拡大。起訴後は実名報道を解禁する。

読売新聞より転用

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