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アップル新製品で注目すべき「5つのポイント」 iPhone・iPad・Apple Watchはどう変わるのか


アップルはアメリカ太平洋夏時間9月14日午前10時(日本時間9月15日午前2時)から、オンラインでイベントを開催し、同社の主力製品であるiPhone、iPad、Apple Watchのラインナップを刷新した。

今回のイベントの注目ポイントと、その戦略について考えていきたい。

アップルは2020年から現在に至るまでのパンデミックの期間中、特にオンライン授業やリモートワークなどの需要でiPadやMacの売上高を大幅に成長させてきた。

その一方で売り上げの50%を占めるiPhoneは昨年、1カ月遅れの10月発売となったが、5G対応と新デザインなど目玉機能を重ねて、こちらも大きな成長を果たした。特に中国市場の急速な回復は、2021年度の前半のアップルの業績を支える結果となった。パンデミックからの回復が期待されながら、各国で感染の波が収まっていない。またアメリカでもワクチン接種が国民の50%を超えたところで頭打ちとなり、感染者数が逆に増え始めるなど、引き続き不透明な状況だ。

また2021年第3四半期決算では、半導体不足の影響で、iPhoneやiPadの成長に制限がかかる点を指摘していた。こうした足元の現状に呼応する形で製品を展開している点がいくつも見られた。

「アップル製品」としての体験の共通性

iPhone、iPad、Apple Watchはそれぞれの製品カテゴリーで先進的に登場したが、市場の成熟によってより廉価で高性能な製品が多数登場した。それでもそれぞれのカテゴリーで一定のシェアと、絶大な地位、そして高い利益率を維持しているのがアップル製品の特徴である。

今回の刷新では、各カテゴリーでの競争力とブランド強化に念頭を置いた展開が目立った。

例えば廉価版のiPadでは、ChromebookやAndroidタブレットを名指しし、これらの製品よりも数倍の性能を誇る点をアピールする露骨なメッセージを送った。同時に、教育機関向けデバイスで好調なChromebookにはない、高性能カメラと高いメディア処理性能をアピールし、その差別化と価格なりの価値を伝えることに専念した。

特に、iPadのインカメラには1200万画素の超広角カメラを用いて、被写体を自動的に追跡する「センターステージ」機能まで盛りこんだ。これは2021年4月に発表されたiPadの最上位モデル「iPad Pro」に初めて採用された技術であり、半年で最も価格が安いモデルに採用することで、タブレットのカメラ機能のスタンダードを高めて、差別化要因を強化する狙いが透ける。

一方のiPhoneでは、Androidスマートフォンとの比較は一切行わず、処理性能やバッテリーなどの基本的な性能面ではこれまでのiPhoneとの比較を、またカメラ機能ではスマートフォン初の取り組みをふんだんに盛りこむプレゼンテーションに徹した点が印象的だった。

カメラとバッテリーという2つの強化ポイントに芸がないと感じる人もいるかもしれない。特に開発者からすると、プロセッサーの高速化以外、自分たちが開発するアプリの環境としての進化に欠ける。しかし、一般の顧客は、高精細なカメラと長持ちするバッテリーに反応することを見抜いており、これに忠実に取り組んだ結果だ。

特にカメラ機能の強化は、よりたくさんの高解像度写真とビデオの撮影をユーザーに促し、そのことを見越して、大容量のモデルの選択へ向かわせる。今回iPhoneラインナップ全体を通じて、ベースモデルのストレージ容量は倍増しているが、一方でiPhone 13シリーズに512GBモデル、iPhone 13 Proシリーズに1TBモデルを用意し、1台あたりの価格の上昇の道筋を付けている。

iPhoneの売上高を上昇させる仕掛けが、性能面・実利用面から組み立てられている点には、アップルの戦略の巧みさを垣間見ることができる。

それでは、イベントで注目すべきポイント5つをふりかえっていこう。

1. iPhone 13シリーズで注目すべきバッテリー

目玉となるiPhoneの新モデルは、「iPhone 13」シリーズとなった。サイズ展開は2020年モデルと同様で、

・ iPhone 13 mini 5.4インチ、2カメラ

・ iPhone 13 6.1インチ、2カメラ

・ iPhone 13 Pro 6.1インチ、3カメラ

・ iPhone 13 Pro Max 6.7インチ、3カメラ

という展開となった。

iPhone 13 miniとiPhone 13はディスプレーの品質も向上し、標準輝度は650ニトから800ニトに向上している。Proモデルは昨年モデルの800ニトから1000ニトへと向上し、さらに可変リフレッシュレート技術のPro Motionが導入された。指の動きやゲームなどのコンテンツに呼応し、最大120Hzで素早い動きに対応する一方で、動きがないテキストや写真の表示では最低10Hzまで画面の書き換え頻度を低下させ、電力消費を大幅に抑えることもできる。

ディスプレーだけでなくプロセッサーも向上した。iPhone 13 Proには、GPUが1コア多い5コアGPUを採用しており、6コアCPUとともにより高い性能を発揮し、例えばより高画質なPro Resでのビデオ撮影に対応するなど、高まった処理能力を生かす機能を盛りこんでいる。

iPhone 13 miniについては、小さなサイズを好む若年層や、特に日本市場などがターゲットとなっていたが、バッテリー持続時間が短いなどのネガティブな側面から、必ずしも顧客に受け入れられた製品ではなかった。

そこで今回のiPhoneではバッテリー持続時間を大幅に改良しており、iPhone 13 miniでは前モデルから1.5時間長くなったとしており、また最も大きなバッテリーを搭載するiPhone 13 Pro Maxは2.5時間のバッテリー持続時間向上となった。

2. Proモデルのカメラの差別化がより明確化

iPhone 13シリーズを通して、広角カメラが刷新された。昨年iPhone 12 Pro Maxのみに採用された、センサーシフト式手ぶれ補正を備えた大型センサーがiPhone 13シリーズ全モデルに採用された。またProモデルではさらにセンサーが大型化されており、iPhone 12 Proと比較して2.2倍、iPhone 12 Pro Maxと比べても1.5倍多くの光を集める。発色やディテールの向上、暗所での撮影が「光学的に」楽しめる。

加えて、ビデオ機能には「シネマティックモード」が追加された。このモードは、映画で用いられる映像表現(カメラワーク)を自動的に行う機能だ。例えば映し出している風景に歩いて入ってくる人物にフォーカスを合わせたり、人物の頭の向きを認識してフォーカスを背景に合わせる、といった映画的表現を自動的に行う。こちらを向いているときは人の顔に、ふりかえると背景に、自動的にフォーカスを合わせる仕組みだ。

加えて、撮影したあとでフォーカスを調整することができるため、撮影後に前述のようなカメラワークを施すこともできる。写真で背景をぼかすポートレートモードと同様の被写体認識を用いた処理だが、これをリアルタイムに行える点、またそうした処理が表現に昇華している点には驚かされ、またカメラの世界では現存しなかった1台と言える。

またProモデルには、カメラ性能での優位性がいくつも与えられた。Proモデルの超広角カメラには、望遠カメラと同様、光学式手ぶれ補正とオートフォーカスが追加され、写真やビデオの撮影がよりスムーズになる。また超広角カメラにはProモデルだけ、マクロ撮影モードが追加され、2cmまで被写体に近寄って写真やビデオを撮影できるようになった。加えて、前述のPro Resビデオ撮影も、Proモデルのみの機能となる。

通常モデルとProモデルの差別化、さらに昨年のProモデルとの差別化が非常に明確となった。特にProモデルではマクロ撮影の超広角、写真とビデオの品質がより高まった広角、ブレずにポートレート撮影をこなせる望遠と、3つのカメラのキャラクターがより明確になり、カメラとしてのiPhoneの存在感を示すことになりそうだ。

3. Apple Watchの進化と不自然な点

Apple Watch Series 7は、これまでとデザインやサイズは大きく変わらないが、画面サイズが一挙に拡大し、強度も2倍以上高められた。有機ELディスプレーパネルとタッチパネルの一体化、ガラスを50%厚くする内部構造の変更によるものだ。

縁の部分を40%削減し、表示領域をSeries 6比で約20%、Series 3からは実に50%以上拡大している。より多くの文字を表示できるようになったほか、フルキーボードによる文字入力にも対応する。カバークリスタルの曲面一杯まで表示されるため、エッジを生かした文字盤などでこれまでと違った印象を受けそうだ。またディスプレーは70%明るくなった。

Apple Watch Series 7には、引き続き、心電図や血中酸素ウェルネスアプリなど、ヘルスケアに関する機能が充実しており、watchOS 8との組み合わせによって、より多くのスポーツを記録することができる。

バッテリー持続時間は18時間とこれまでと変わらないが、ディスプレーが明るくなったことを考えると、Apple Watch全体の省電力性は高まっていると考えていいだろう。例えば、常時点灯ディスプレー機能をオフにすることで、これまでよりもさらに長いバッテリー持続時間が得られると期待できる。

バッテリーライフは長くならなかったが、充電速度をより向上させることで、睡眠計測の実用性を高めている。8分間の充電で8時間分の睡眠計測のための電力が確保できるほか、0〜80%までの充電時間は45分で完結する。例えば夜中睡眠を記録しながら装着していて、朝の支度中に充電すればその日1日過ごせる、というライフスタイルの中での現実的なサイクルを実現できそうだ。

ただし、アップルのウェブサイトでは、発売時期や細かい仕様、価格などが表記されておらず、非常に中途半端な情報提供になっている点が不自然かつ不可解だ。

まだ発表会で明らかにできなかった機能、特に健康計測に関する機能が認可待ちの状態で、具体的な情報を公開できない状態にあるのではないか。なんらかの追加的な健康機能が、今後明らかになる可能性に期待できる。

4. iPad miniへの強い需要を期待

今回最も大幅な刷新となったのがiPad miniだ。iPhone 13と同じA15 Bionicが搭載され、デザインが刷新されるフルモデルチェンジとなった。簡単に言えば、iPad Airを小型化したデザインとなり、iPad Pro同様に垂直な側面と、縁ギリギリまで敷き詰められたディスプレー、そして上部にはTouch ID内蔵のトップボタンが用意され、側面にはApple Pencil(第2世代)を装着できる磁石でくっつく充電パッドが用意された。

ディスプレーは拡大され、8.3インチとなった。それでも、プロモーションビデオでは、ズボンのポケットに入れて持ち歩く様子が描かれており、より手軽な文房具的活用が広がりそうだ。実際、iPadOS 15とApple Pencilの組み合わせでは、右下からスワイプすることですぐにメモが書ける「クイックメモ」機能が用意されており、日本語にも対応した手書き認識文字入力「スクリブル」と共に、すぐに取り出せるiPad miniとの相性は高い。

またインカメラはiPad Proと同じ1200万画素の超広角カメラとなり、自動的に自分を追いかけてくれる「センターステージ」機能にも対応する。ビデオ会議にぴったりな機能であり、パソコンを使いながらiPad miniでビデオ会議に参加したり、オンライン授業のカメラとして活用するなど、パンデミックが続き現在に適した活用方法も期待できる。

iPad miniは電子書籍、ゲームに最適な端末だが、加えて特に小学校低学年の生徒たちが扱いやすいタブレットであり、またパイロットがコックピットで利用したり工事現場でも持ち運びしやすいサイズとして人気がある。

パソコンの代替のような存在として進化を続ける10インチ以上の画面サイズのiPadに対して、よりタブレットらしい存在として、改めてiPad miniに注目が集まり、人気が高まることが予想できる。これについては改めて詳しく実機でレビューしたい。

5. 時代を反映するiPad

イベントの最初に登場した新製品はiPadだった。アメリカでの価格は一般向けに329ドル、教育機関向けに299ドルと、非常に価格を抑えた製品で、「最も人気のあるiPad」と常に紹介される存在だ(日本での価格は一般向け税込3万9800円、教育機関向け3万6800円)。

今回の刷新ではA13 Bionicチップの搭載、カメラ性能の刷新、室内の光とホワイトバランスを一致させて目に優しい表示を実現するTrue Toneディスプレー、そしてビデオ会議などでつねに自分を真ん中に表示できる被写体追尾機能「センターフレーム」付きのインカメラなど、上位モデルの機能をふんだんに盛りこんで、アメリカでの価格を据え置いた。

特にオンライン授業が日常に取りこまれる中で、正面にノートと鉛筆を配置して、右もしくは左斜め前に端末を置いて授業に参加する、という風景も当たり前となった。その際、自分の正面にiPadを配置しなくても、きちんと自分が大きく表示されるインカメラは、非常に有用だ。

これまでのラインナップ構成であれば、搭載する機能で上位モデルと下位モデルの差別化を行ってきた。しかしiPadのセンタステージは2021年モデルのiPad Proに搭載した最新機能を同じ年に廉価版iPadに採用したり、iPhone 13シリーズにProモデル譲りのセンサーシフト式手ぶれ補正を採用するなど、テクノロジーを惜しみなく採用してくるあたりに凄みを感じることができる。

実際、iPad、Mac、Apple Watchは2021年に大幅に売上高を伸ばしてきたカテゴリーであり、より強く顧客をつかむ「チャンス」であるとの認識もあるはずだ。今回の新ラインナップがどのような結果を生むのかは、2022年1月末の決算で答え合わせができるだろう。

東洋経済オンラインより転用


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