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“報道離れ”が追い風に? 忖度なしの『ABEMA NEWS』が若者を惹きつける理由「炎上は議論の始まり」


コロナ禍で急速な成長を見せているNetflixやAmazonプライムといった動画配信サービス。それぞれオリジナルコンテンツも年々強化しているが、独自の記者会見ノーカット中継等でいち早く世間の注目を集めていたのが、ABEMA NEWSだ。昨今は各報道番組がテコ入れを余儀なくされ、ワイドショー化が進む中、同チャンネルは年々視聴者数を増やし続け、10代の割合は約25%に及ぶ。開局から5年、どのようにして“ニュースを見ない若者”を味方につけたのか、ABEMAに聞いた。

■説明責任を果たさないマスメディアに疑問「報道への批判に対して、無視せず議論すべき」

山里亮太&蒼井優の結婚会見、宮迫博之&ロンドンブーツ1号2号田村亮の謝罪会見などのノーカット生中継や、長時間に渡る災害報道、ひろゆき氏や政治家、YouTuberらの忖度なしの弁論等で独自の報道スタイルを貫いているABEMA NEWS。そのコンテンツは、総合プロデュースを務めるABEMAの代表取締役社長・藤田晋氏の“マスメディアを目指す上ではニュースが柱になるべき”という考えから発足された。開局から5年の間で、ユーザーはどのように推移してきたのだろうか。

「開局からWAU(週のユニークユーザー)は右肩上がりで成長しています。数々のニュース速報や生中継をはじめ、『亀田興毅に勝ったら1000万円』などの「1000万円シリーズ」、『72時間ホンネテレビ』(稲垣吾郎、草なぎ剛、香取慎吾出演)のような、地上波ではあまり見られないようなコンテンツやオリジナルの恋愛番組やドラマを提供し続けることで注目を集め、着実にユーザー数を伸ばしてきました。現在のWAUは1400万規模。男女比も、やや男性が多いですがほぼ半々で、世代別でいうと10代が約25%、20〜30代前半が35%、35歳以上が約40%となっています」(ABEMA報道局局長・山本剛史氏)

最新のニュースからコロナに関する情報、社会問題を扱った番組や政治家の生出演など、毎日様々なコンテンツを提供しているが、ABEMA NEWSで取り上げる内容は巷で“炎上”している案件も多い。

「地上波では“批判”するために炎上している話題を取り上げて、情報をまとめたものを伝えていますが、ABEMA NEWSでは炎上しているテーマをあえて“議論”をするようにしています。“炎上=世の人々が何かしらの意見を持っている”と考えているので、そこに至った経緯を出演者達で議論して深掘りしていくことを意識しています。私もテレビ朝日で仕事していましたが、近年、“テレビは本当のことを報道しない”、“建前ばかりだ”と言われる中で、僕らはそういった視聴者の批判を受け止めることがとても大事だと感じています。例えば、“毎日の新規感染者数を伝えることにどれだけ意味があるのか”とか“京都アニメーション放火殺人事件の被害者の名前を報道する必要があるのか”といった声に対して、メディア側は説明しようとしません。ですから、ABEMA NEWSでは批判の声を元に、番組内で議論する必要があると考えています」(ABEMA Primeプロデューサー・郭晃彰氏)

■「いかに予定調和を崩せるか」生放送でも台本にコメンテーターの意見は一切明記なし

報道番組やワイドショーでの連日の“若者への自粛呼びかけ”に対して、若い世代から報道への不信感や不満の声が寄せられたが、郭氏はコロナ報道に関して「高齢者にとっては適切な注意喚起になるが、若い人達にとっては煽りになる」と、視聴者層に合わせて報道する内容を考えることが大切だと話す。

「常に情報がアップデートされている中で、地上波は追いつけずに古いスタンスにこだわったり、”ブレている”と言われることを恐れて、報道姿勢を変えようとしないことが多いです。しかし、ABEMA NEWSにおいては、伝えている内容が前の日と変わるのは当たり前で、そこに説得力を持たせるために、尾身茂会長やコロナ最前線のドクター6名の医師に参加してもらって徹底的に議論して頂いています。あまりメディアに出演しない方や医師達がなぜ参加してくれているのかというと、“ここならフェアな議論をしてくれそうだ”と信頼してくれているからなんですね。ABEMA NEWSを始めた当初は視聴者と一緒にニュースを作ることをイメージしていましたが、最近は専門家の方や政治家に出演して頂き、そこにコメンテーターや一般の人達の意見を交え、時間をかけて議論するようにしています。出演者と番組を一緒に作ってる感覚です。それは地上波にはないABEMA NEWSならではの強みだと思います」

ABEMA NEWSが出演者や視聴者からの信頼を得ている理由のひとつに“発言の自由度”があるが、郭氏は“台本にはコメンテーターの意見はひとつも書き込まれていない”と明かす。

「それぞれのキャリアや見えている世界、生まれ育った環境や価値観は違います。出演者の皆さんには、どんな内容に対しても率直な意見をご自身の言葉で語って頂きたいと思っています。ですから、『すごい』や『やばい』といった地上波のニュース番組ではあまり聞かないような言葉も出てきます。イメージとしては、“専門家やコメンテーターが難しい解説しているのを見る”のではなく、“彼らの会話を覗き見している”ような感覚になってくれたらいいなと、そんなことを意識しながらやっていますね。また事前に決めた番組の流れにこだわらず、時には脱線するなど、視聴者の共感を生むような余白を作ることも大事にしています。最短ルートでゴールに向かうことをあえて避けています」

速報性、正確性、公平性が常に求められる“報道のあるべき姿”は、世間は諦めつつある。特に若者たちは、台本を読むだけ、求められたコメントを言うだけ、といった地上波の“予定調和”への嫌悪感が顕著だが、ABEMAのマインドはまさにそこにあった。緊急会見が入れば、予定されていた番組内容をすべて変更して、ノーカット生中継を行う。「いかに予定調和を崩して昨日と違うことをしようというマインドを持ち続けられるか」を常に意識しているという郭氏。“報道離れ”した若者たちを惹きつけるのも納得だ。

■右派・左派・スポンサーへの忖度もなし「不祥事を起こした人が一発退場でいいのか」

また、新聞やTVなどのメディアは右派・左派といった対立した二分法で語られることが多いが、ABEMA NEWSは比較的ニュートラルな姿勢を貫いているように感じる。その点において、郭氏は「右と左の分類には特にこだわっていません。党派性に縛られることでコンテンツの幅が狭まってしまいますし、両方の立場の人に出演してもらって、右の日もあれば左の日があっていいのではないかと。僕らは是々非々の姿勢を大事にしています」と語った。これまで“右”や”左”、スポンサーや芸能事務所への様々な忖度が浮き彫りとなってきたマスメディアの構造は、今まさに“変わること”が求められている。

「メディアは簡単には変わらないものだと思われていますが、だからこそ変わることが大事で、実名報道、犯人視報道、決めつけ報道、不倫報道、世間が“何のためにこの報道をしているの?”と感じていることに対して、答えを明確に提示していきたい。これまではメディアが発信を独占していたけれど、もう違う。みんながメディアの時代です。様々な立場の人同士が話し合い、更に視聴者の意見も受けとめて、社会のニーズに応える番組作りが必要なのではないかと」

生放送で個性の強いゲスト達を野放しに議論させることは、当然リスクも伴う。以前、小児性愛者を題材として扱った際には、被害者目線だけではなく、犯罪を犯した加害者側の意見も取り入れて放送したが、結果的に炎上した。

「番組を見てフラッシュバックしてしまう人がいたり、意図せずとも誰かを傷つけてしまったりすることもあると思います。様々な配慮をして番組を作りましたが、全員を納得させることは難しいです。それでも、事件や不祥事を起こした人について報道で袋叩きにして、一発退場でいいのか?と思うんです。なぜそうしてしまったのか?という議論の場を設けて、セカンドチャンスは絶対あるべきだと思います」(郭氏)

さらに山本氏は、ABEMA内でニュースでのマネタイズは現時点では検討していないと話した。番組に広告スポンサーを付けず、数字に囚われない番組作りをすることで、世の中に必要な情報をフラットに真正面から発信できるからだ。地上波では、純粋な報道番組は軒並み視聴率の低下に直面し、各局はこぞってワイドショー的スタンスにシフトチェンジ。そんな中、ABEMA NEWSが変化を恐れず、予定調和を崩しながら、“忖度”ない番組制作を継続していけるのか否か? “報道の在り方”そのものの指針となるかもしれない。

ORICON NEWSより転用


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