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原発は、もう選挙の争点にならないのか。立憲は「原発ゼロ」を言わなくなった【福島から10年】


東日本大震災から10年。事故が起きた東京電力・福島第一原発は、いまも廃炉作業が続き、収束のメドは立っていない。

そんな中、経済産業省は原子力の電源比率を、現状から3倍以上高める「第6次エネルギー基本計画」の素案をまとめた。

自民党や経済界からは、原子力発電所の積極的な活用を求める声が上がる一方、綱領で「原発ゼロ」を掲げる立憲民主党からは目立った発信はない。

© ハフポスト日本版

自民党調査会「素案は赤点だ」

3年ぶりの改定となる第6次計画の素案は7月下旬に公表された。原子力の電源比率は2019年度時点で6%だが、30年度には第5次計画と同じく「20~22%」まで引き上げる内容だ。

ただ、「可能な限り原発依存度を低減する」との方針も示し、老朽原発のリプレース(建て替え)や新増設は明記されなかった。意見公募などを経て、10月までの閣議決定をめざす。

朝日新聞によると、自民党総合エネルギー戦略調査会は5月、基本計画に新増設などの推進を盛り込むよう提言していた。素案に明記が見送られたことで、7月末の会合では、出席議員から「赤点だ。(建て替えを期待する)原発の立地地域の心を折る」といった不満が出たという。

© ハフポスト日本版

日商と経団連「原発の新増設を」

経済界からも同様の声が上がった。

7月30日に開かれた経産省の会合で、日本商工会議所の広瀬道明特別顧問(東京ガス会長)は「カーボンニュートラル(温室効果ガスの排出実質ゼロ)実現を見据えれば、リプレース、新増設、運転期間の見直し、設備利用率の向上が必要だ」と主張。経団連の担当者も同調した。

経産省は当初、素案に「建て替え」などの必要性を書き込む検討をしていたが、秋にも衆院選を控えるなか、世論の反発を招きかねないとして見送ったとされる。自民党の調査会では「選挙後にきちんと議論すべきだ」との意見も出たという。

© ハフポスト日本版

廃炉に40年超、汚染水の風評被害も

一方、素案が掲げた「再稼働の推進」には、反原発派から厳しい目が向けられる。

共産党は機関紙「しんぶん赤旗」で、原子力の比率を20~22%に引き上げる計画について「電力会社から稼働の申請のある27基の原発を全て動かすという前提だ」と指摘。「福島原発事故後に再稼働した原発は10基。その2倍以上をフル稼働させようという方針は、安全無視、民意の逆行そのものだ」と批判した。

朝日新聞の2月の世論調査では、原発再稼働への反対は53%に上り、賛成の32%を上回っている。一度事故を起こしたときの被害の甚大さは、国民に強い不信感を植え付けた。

廃炉への道のりは、事故のあった福島第一原発で今後20~30年、6月に作業が始まった福島第二原発は40年以上かかる見通しだ。約1万体の使用済み核燃料の処分先も決まっていない。

タンク1千基を超えた処理済み汚染水については、政府が海洋放出を決めたが、風評被害の懸念は払拭しきれていない。

© ハフポスト日本版

「原発ゼロ」言わなくなった立憲

野党第1党の立憲民主党は、綱領に「原発ゼロ社会を一日も早く実現」と掲げるが、今のところ素案について明確な見解を出していない。

結党直後の2017年衆院選では、「原発ゼロ」などを訴えて躍進し、翌年に「原発ゼロ基本法案」を共産党などと共同提出した経緯がある。

(以下引用)

原発ゼロ基本法案のポイント

▽全ての原発を速やかに停止し、法施行後5年以内に廃炉を決定する

▽原発の再稼働はせず、新増設・リプレースは認めない

(以上引用)

しかし、21年の通常国会で、立憲がこの法案を積極的に通そうとする動きは見られなかった。党幹部からは「法案は書きすぎた(=踏み込みすぎた)」との声も聞かれた。

トーンダウンの背景には、20年9月に旧国民民主党と合流し、連合の全面的な支援を受けるようになったことがある。

連合内で発言力の強い電力総連や電機連合は、原発の活用を訴える。政党合流の際には、連合の神津里季生会長が立憲の枝野幸男代表に、「原発ゼロ」という言葉を今後使わないよう釘を刺す場面もあった。

© ハフポスト日本版

「原発ゼロ」の受け皿は?

菅義偉首相が20年10月、「2050年カーボンニュートラル」を打ち出したことも、二酸化炭素を出さない原発を排除しにくい風潮を生み出した。

立憲の反原発派の議員らは、「原発は再生可能エネルギー普及の妨げにもなる」として、2030年時点で原子力と石炭火力をゼロに近づけ、50年には再エネ100%とする工程表を水面下で検討している。しかし、「党内の執行部や原発活用派を説得しきれていないので、表に出せない」(中堅議員)という状況だ。

民主党政権は2011年3月、東日本大震災を経験し、翌12年には「2030年代に原発ゼロ」を目指す方針を打ち出した。当時、経産相だった枝野氏をはじめ、その方針に同意した議員の多くは、現在の立憲に所属する。

「原発の新増設は行わず、すべての原発の速やかな停止と廃炉決定をめざします」

立憲は2021年3月末、基本政策にそう盛り込んだが、年限や道筋は明示しておらず、「可能な限り低減する」という現政権との違いは分かりにくい。

一方で、政府与党も、選挙前に原発の建て替えや新増設をめぐる議論は避けたいとの思惑がある。

震災から10年。日本の進路を決める衆院選で、与野党の存在意義が問われている。

© ハフポスト日本版

「原発の本格検討、衆院選後では」

(以下引用)

ブルームバーグNEF・日本オフィス代表 黒﨑美穂氏のコメント

第6次基本計画案について、再エネの「36~38%」は我々の試算とほぼ一致するので妥当だと思うが、原子力の「20~22%」は再稼働が進んでいない現状をみると、実現は難しいでしょう。足りない分は石炭火力で補う可能性が高いので、二酸化炭素の排出が多い「非効率石炭火力」をいかに規制するかが重要です。

自民党などには原発の新増設やリプレースを求める声もあります。ただ、リスクの高い原発をこれから造ろうとしても資金調達が難しいと思う。本気で進めるなら国のサポートが必須だが、その議論をすれば使用済み核燃料の中間貯蔵施設の立地の問題が浮上し、また、発電所の立地自治体と周辺自治体とで賛否が分かれるでしょう。本格的な検討は、衆院選の後になるのではないか。

(以上引用)

© ハフポスト日本版

【告知】8月のハフライブは「エネルギーとSDGs」

(以下引用)

暑い夏。毎日のように使うエアコンの「コンセントの向こう側」を考えたことはありますか?エアコンを動かす電気は、約7割が大量のCO2を排出する石炭や天然ガスなどの火力発電によるもの。日本は「石炭火力発電への依存度が高く、再エネに消極的」と国際社会から批判を受けています。気候危機が叫ばれる今、脱炭素の鍵を握るのが「再生可能エネルギー」。

菅首相が2020年に「2050年までに脱炭素」を宣言したことで、ようやく再エネ普及の機運が加速し始めています。「再エネ後進国・日本」は変われるのか。

ハフポスト日本版より転用


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