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国会議員特権の「JR無料パス」、公私がグレーな利用実態とは


民民主党の山尾志桜里衆院議員が、国会議員に支給されるJR無料パス、いわゆる「議員パス」を私用で不適切利用していたと週刊文春が報じた。だが、山尾氏ほどあからさまでなくても、公私の判断が難しい使い方をしている議員は少なくない。(元衆議院議員 宮崎謙介)

山尾議員は報道後謝罪コメントを発表

国民民主党の山尾志桜里衆院議員が、国会議員に支給される「議員パス」の利用でまた週刊誌報道にさらされた。私が言える立場ではありませんが、永田町でこの方ほどスキャンダラスな人はいないでしょう。

山尾議員はJR無料パス券を私用で使い、マッサージや買い物に行くなどの不適切利用をしていたと文春オンラインが報じました。

これに対し、山尾議員は4月28日、「東京で暮らし、東京で働く環境で、議員パスを通じた公私の曖昧をなくすためには、東京都内の移動に議員パスを利用しないこととするのが、今私にできる最善の対応と考えています。おわび申し上げるとともに、今後このようなことがないように十分に気をつけつつ、仕事を通じて信頼回復に努めてまいります」とコメントを発表。また、自身のツイッターでも「公私の別を大切にしている自分として、その区別が曖昧にみえる行動をとるのはよくないと深く反省しています」と謝罪しました。

今回の報道は私にも飛び火し、過去に私も議員パスを私的に利用していたと取り上げられました。私が議員だった2014年、まだ結婚をしていなかった金子恵美(現在は妻)と熱海に行ったと週刊誌に書かれたのですが、その記事が今回の山尾議員の件に関連して再び報じられたのです。

ただ、山尾議員の件とは大きく異なります。私たちは同僚議員や経営者たちと熱海で勉強会をしたという点です。それが議員パスの私的利用ということであれば、国会議員のほとんどは不正利用をしていると見なされることになります。そこで今回は「議員パス」の利用から考える公私の区別というテーマについて述べたいと思います。

東海道を旅することに

議員パスを使った参議院議員

山尾議員の場合は、私的利用として実にわかりやすい事例でした。文春オンラインによれば、詳細は下記の通りです。

「山尾氏が議員パスを不適切に使用していたのは、4月3日土曜日のこと。山尾氏はこの日、午後2時半頃に三鷹駅の有人改札から議員パスで入場し、吉祥寺駅を議員パスで出場。駅ビルのマッサージ店で1時間ほどの施術を受けると、再び議員パスを使って入場し、中央線から山手線に乗り換え、恵比寿駅で出場した。駅ビルで総菜を買い、近くのラーメン屋で小腹を満たすと、酒屋に立ち寄った山尾氏。その後、タクシーに乗って向かったのは、かつて不倫が『週刊文春』に報じられた倉持麟太郎弁護士の自宅だった」(文春オンラインより)

マッサージ店に行くのはどう考えても私的利用です。また、一人でラーメンを食べるのも同様でしょう。しかし、駅ビルにて総菜を買ったり、酒屋でお酒を買うのは場合によっては私的利用ではない可能性があります。その後に議員同士の会合に出席するためのお持たせかもしれません。

しかし、その後、彼女は噂をされている倉持弁護士の自宅に向かったというのですから、自宅で憲法論議をしていたとしても、これは私的利用だとみなされてしまいます。

話は変わりますが、私が議員だった当時、先述の熱海へ行った記事が報じられたことで、ある参議院議員に「キミが変なことをするお陰で、ワシも大変迷惑を被っているんだ!」と怒られました。

どういう意味なのかわからなかったのですが、話の続きを聞いて、理解できました。

「ワシは今、昔の人が東海道を旅するのはどれくらい大変かを知るために、東海道を歩いているんや。一気に歩くことはできんから、細切れにしながら歩いとる。その際に議員パスを使っているんだが、キミの今回の週刊誌報道でそれがやりにくくなったわ!」と。

今回の山尾氏の報道があり、私は真っ先にこの時のことを思い出しました。あの議員の行動は私的利用なのか、それとも国会議員としての公務なのか。

議員本人も「やりにくくなった」と言っているということは、私的な要素が非常に高いのでしょう。

議員に叱責された時、私は「あなたのケースは完全に私的利用じゃないですか!」と言い返したくなりました。ただ、それを国会議員の仕事のために生かすということであれば、公的な意味合いを持ってきます。

いずれにせよ、議員パスについては、運用の具体的なルールを設けないと国民から厳しい捉えられ方をされる時代になってきたのかもしれません。

地元との往復などで

年間交通費は900万円超

では、一般的に堂々と議員パスを利用できるケースをご紹介します。

当たり前ですが、国会と地元選挙区を行き来するときにJRを利用するのであれば、普通券、特急券、新幹線チケットは無料になります(ただし、私鉄や地下鉄は無料ではありません)。

ちなみに、寝台車は無料で、私も終電を逃したけれど翌日の朝一の勉強会に出席するために利用したことがあります。

私が最も利用していたのは新幹線でした。国会での仕事と、地元活動の両立のためにほぼ毎日、東京と京都を往復していました。多い日は2往復をしたことがあります。東京・京都間の所要時間は2時間20分なので往復だと4時間40分。2往復だと9時間20分です。当時、1度だけ2往復半したことがありますが、もう自分がどこにいるのかわからなくなりました(笑)。

こういうケースは、始発で東京に向かい、委員会に出席し、また京都に戻り、式典に1時間出席し、また東京に戻り勉強会に出席します。その後また京都に戻って地元後援会の方の会合に15分だけ出席して挨拶をし、また東京に戻る、というスケジュールです。新人議員の多くはこのように地元活動と国会活動の両立をするために必死になって頑張っています。

議員パスを使っているので議員に費用負担はないものの、もしも自腹でとなると相当な金額になります。

東京・京都間のグリーン席は1万9040円です。2往復ということは7万6160円も1日にかけていたことになります。さすがに2往復はあまりなかったのですが、平日はほぼ毎日往復していたので、単純計算をすると約913万円が年間でかかっていたことになります。けっこうな額ですね。しかし、これが選挙に追われる新人議員の実態でもあります。

東京と地元との往復のほか、自分の政策テーマに沿った視察でも議員パスを使用します。

例えば、中小企業政策に力を注いでいる議員は、全国の商工会と意見交換をするために全国行脚をしていました。

私もキャリア教育推進の一環で秋田の国際教養大学に行ったり、タイル職人さんたちの伝統的な技術を視察するために横須賀の猿島へ行ったり、普天間飛行場の視察のために沖縄へ行きました。ちなみに沖縄へは当然空路で行きますが、それは無料ではなく私費で払います。

国会議員の外遊は

公費と私費の2種類

6月に通常国会は閉会となりますが、その後によく国会議員が外遊に出かけますよね。あれには2種類あります。

一つ目は委員会視察。これは国会議員が所属する委員会(経済産業委員会、厚生労働委員会など)で行くもので、選ばれた議員たちが公費で海外にたちます。

二つ目が自分の政策テーマのために行く視察です。これは完全に私費でいくことになります。

私は議員時代に日本の日本酒とメキシコのテキーラの業界の交流・親交のために活動をしていました。テキーラで有名なメキシコ第2の都市グアダラハラ市と地元の京都市は姉妹都市でした。私はその親交のために、京都市長の親書を持ってメキシコまで行ったことがあります。

その時は京都の市議会議員と2人で行ったのですが、どこからの補助もなく完全に私費で、飛行機代だけでも約100万円かかりました。企画を先に通していたので後で旅費を知ったときにはがく然としました(苦笑)。私の事務所からは怒られ、結局、事務所から半分、私個人半分の負担で行きました。

その後、メキシコ大使が京都を訪れ、京都市長と対談が実現し、結果的にこの企画は大きく花開くことになりましたので、私の投資も報われました。とはいえ、こういう活動にこそ公費が使われるべきだとも思いました。

このように議員パスから考えてみると、公私の境目は非常に難しいところがあります。目先の視点でいうと私的利用になるものも、長期的な視点でみると社会に還元される公的利用になるものもあるでしょう。

今の時代は「議員性悪説」に立っているように思います。それが正しいのかは議論の余地があると思うのですが、マッサージのために議員パスを使っている人がいるようでは、国会議員が国民の信頼を再び勝ち取るにはまだまだ時間がかかりそうです。

東洋経済オンラインより転用


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