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「障害者を見世物にしやがって」多くの批判より“働く場所”としてのバー開業「健常者かそうでないかで分断するのは意味がない」


欠損バー『ブッシュドノエル』のメンバー© ORICON NEWS 提供 欠損バー『ブッシュドノエル』のメンバー

 義足、義手など、障害を抱えた“欠損女子”がホールに登場するコンセプトバー『ブッシュドノエル』。5周年を迎える同店だが、やはり当初は「障害者を見世物にしやがって」などの批判の声が多かった。衝撃的な店であるのは確かだが、その裏には、健常者と分断することなく、障害を抱えた女性たちにも働く場所を…との想いがある。欠損BAR『ブッシュドノエル』を企画・運営する岡本タブー郎さんに、欠損女子たちの気概、お店を運営する意図など、話を聞いた。

■就職活動で屈辱的な経験をしている障害者、「雇う側が色眼鏡で見ているんじゃないか」

――欠損BAR『ブッシュドノエル』とは、どんなお店ですか?

【岡本さん】基本的にはガールズバーと思って頂ければ分かりやすいかと。働くのは腕や脚がない女の子たちです。「欠損した部位をお客さまに自慢する可愛らしい女の子がお酒の相手をしてくれるお店があたっていいじゃないか」がコンセプトです。

――「女の子たちはほとんどのことは自分でできる」そうですが、実際のところ、欠損女子の働ける場所は多くないのでしょうか?

【岡本さん】一人ひとりの過去のエピソード、たとえばバイトの面接に行った話とか就職活動などの話を聞いている限りでは、健常者では思い至ることが出来ないほどに屈辱的な経験をしている子もいます。きちんと向き合えば、彼女たちは本当に何でも一人でできる子ばかりなので、雇う側が色眼鏡で見ているんじゃないかなと思いますね。ダメなときは怒ればいいし、良いときは褒めればいい、くどいようですが健常者と変わらないんですよ。健常者かそうでないかで分断するのも意味ないけどなぁ…と思ってしまいます。

――女の子たちがブッシュドノエルで働きたいと思う動機はどんなものなんでしょうか。

【岡本さん】自分には腕がない、脚がない……と悩んでいたことが、逆に喜ばれ、職業になるという世界があったのか! ってことじゃないですかね。『ブッシュドノエル』に来るお客さまは「欠損が可愛い」と思っているのであって、欠損であることがプラスになる場所なので。

――『ブッシュドノエル』で働くようになる前とあとで、女の子たちの内面や外見に変化はありますか?

【岡本さん】あったと…思います。もう5年もやっているので、昔のことは鮮明に思い出せないのですが(笑)。みんなどう転んでもタダでは起きないくらい強くなっていますし、頼もしいです。どんどん美しくなっていっていますし、人に見られる仕事、求められる仕事って素晴らしいなぁと感じますね。

■批判されても、「女の子たちは何一つ取り繕っていないし、自分にウソを付いていない」

――昨年5周年を迎えたそうですが、「欠損を売り物にするなんて…」のような批判はありませんでしたか?

【岡本さん】当初はけっこう叩かれましたね。「障害者を見世物にしやがって」と。でも、申し訳ないですが見世物にしてお金を頂いていることは事実なので、24時間365日「はい、そうなんですが、どこが問題ですか?」を貫いてきたら、5年も経てば何も言われなくなりました。慈善団体じゃないんですよ、営利目的で欠損を売りにしているバーなので、良く言えば「ウィークポイントを逆手に取って話題になるなんてすごい」ですが、それを悪く言えば「障害者を見世物にしやがって」になるわけです。私たち運営も、女の子たちも、みんなそういう気持ちでやっていますから、何一つ取り繕っていないし、自分にウソを付いていないので、ストレスもありません。

――そもそも、どういった経緯で運営することになったのでしょうか?

【岡本さん】私は15年ほど出版社で編集者をやっていました。自分が編集長として作っていた雑誌で、腕や脚がない人たちをインタビューする企画があり、琴音ちゃんという事故で片腕を失くした娘を紹介したときに「こんなかわいい子に会ってみたい」「美しい少女なのに腕がないなんて」と読者からの評価が高かったことがきっかけになりました。

――実際の反響はいかがでしたか?

【岡本さん】不定期で開催してみたら大繁盛でした。『欠損アイドル』『欠損女子』『欠損バー』というキーワードにも反響がありましたね。所属する女の子は7~10人程度です。全員が集まって大きな会場でたくさんのお客さまに来ていただくイベントを月に1度開催していましたが、コロナ禍のため2020年からは開催できていません。

――開催できないのは寂しいですね。

【岡本さん】毎週土曜日には、ランダムに一人の女の子が接客をする『欠損バーmini』も開催しています。予約がなくても入れますが、予約のお客さまが優先です。状況は日々変化していますので、開催状況はTwitterやブログなどで発信しています。

■女の子たちは欠損しているだけ「働き方は、健常者と変わらない」

――働く女の子たちはどのような基準で採用していますか?

【岡本さん】“おしゃべりができる”というのは大事なポイントですが、実際は苦手な子もいます。どちらかというとお客さまに助けられている子がほとんどでしょうか(笑)。採用ポイントとしては健常者と変わりませんね。普通に客商売ですので。

――ブッシュドノエルで働く女の子に求めること、禁止にしていること、ルールなどがあれば教えてください。

【岡本さん】お客さまとの恋愛は禁止です。これも、普通のガールズバーと同じ。彼女たちは一応『欠損アイドル』としても活動していますし、今後もメディアにも出ていきます。ファンが居る限り最低限ここだけは守るべきところかなと考えています。そこだけは、うるさいほど何度も言っていますので全員理解してくれていると思います。

■地方から障害児を持つ母親が来店、「普通に暮らせていてる」と励みに

――お客さまはどんな方が多いのでしょうか?

【岡本さん】ほぼ3パターンに分類できます。(1)欠損フェチ(2) 同じく障害者(3) 好奇心旺盛な人。欠損フェチは、欠損している子に萌える…というか、欠損している子にしか萌えない…マイノリティな方たちですが、欠損バーにはなくてはならない人たちです。次に、同じく自分も障害者なのだけれど、同じ気持ちを共有できる人が周囲にいなくて、新聞やネット記事なんかで私たちのことを知って、やって来たというお客さま。私個人としては、「そうか、こういう障害もあったのか!」など、新しい発見ができることが多く、とても勉強になります。

――そういったことも『ブッシュドノエル』の強みですね。

【岡本さん】そうですね。何が出来て、何が不得意なのか、何に悩んでいるのかは、人それぞれ違いますので、ざっくばらんに酒を飲みながら、明るい雰囲気で障害の話ができる場所です。あ、お客さまとして来てくれた女の子をスカウトすることもありますよ。現メンバーにもそういう子がいます。

――好奇心旺盛な人、というのはどんな方でしょうか?

【岡本さん】「なんだか分からないけど面白いことやってるんでしょ?」っていうスタンスで飲みに来てくれる人ですね。気に入ってくれたら何度も来てくれるけど、お眼鏡にかなわないと二度と来てくれないですね。正直で、フラットな気持ちで見てくださる大切なお客さまです。

――ある意味一番厳しい目で見てくれると(笑)。

【岡本さん】そうですね。あと、生まれたばかりの自分の子どもに障害があって、大きくなったらどんな風になるのかを知りたくて、地方から飲みに来られたお母さまもいらっしゃいました。ネットで調べたら似たような障害を持っている子が出てきて、それが欠損バーのメンバーだった、と。「嬉しい、普通に暮らしてるんだ、気が楽になりました」って言って帰って行かれました。

――思いもよらない役目を果たしていますね。コロナ禍で飲食店は厳しい状況が続いていますが、お店の営業はどうしているのでしょうか?

【岡本さん】現状は、前述した『欠損バーmini』だけを、毎週土曜日に時間割制でやっています。店内には2~3名ほどのお客さましか入れませんので、営業としてはとても苦しいです。もちろんマスクはお客さまも女の子も義務づけ、アクリルボード越しに話すことが原則です。障害を持っていることがコロナが感染したときにどんな影響を及ぼすのか分からないので、細心の注意を払っています。

――ブッシュドノエルを運営する中で、伝えたいメッセージなどがあれば教えてください。

【岡本さん】欠損バーでは「欠損していること」が至高なんです。考え方も、趣味嗜好も、普通の女の子と変わらないのですが、体の一部が「無い」。ぜひ、欠損女子と話してみてください。一緒にお酒を飲んだら、 “無い”部分から共感が得られるはずです。

ORICON NEWSより転用ORICON NEWS


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