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ホワイトハウスの住人が交代する時 スタッフの引っ越しに徹底清掃


© BBCニュース 提供

タラ・マケルヴィー、BBCホワイトハウス担当記者

ジョー・バイデン氏と妻のジルさんが20日にホワイトハウスに引っ越し、新しい大統領夫妻としてホワイトハウスの主となる。トランプ政権の痕跡はそれまでに一掃されるはずだ。机の中は空にされ、すべての部屋が徹底的に掃除される。大統領の補佐官や顧問も全員が新しくなる。アメリカでは新しい大統領が就任すると、政府の中枢がそっくり入れ替わるのだ。

1月半ばの夜、トランプ政権の中心人物の1人で大統領顧問だったスティーヴン・ミラー氏が、執務棟のウェスト・ウィングでぶらぶらしていた。

政権発足当初から大統領の演説や政策の策定に大きく関わってきたミラー氏は、政権初期からその最後までずっと残った、数少ない1人でもある。

壁によりかかり、その日に予定された会議について同僚と雑談するミラー氏は、ゆったり落ち着いた様子で、特にどこかへ行こうと急いでいる風でもなかった。

ホワイトハウスのウェスト・ウイングはいつもなら、人が大勢行きかう忙しい場所だ。しかし、この時はがらんとしていた。電話も鳴らない。空のオフィスに残された机の上には、紙や未開封の手紙がそのままになっていた。そこにいたはずの人は慌てて出て行って、もう二度と戻らないのだと、物語るかのように。

1月6日に連邦議会の議事堂が襲撃されると、何十人もの政権幹部や顧問が辞任した。その後も残ったのは、ほんの一握りの忠実な部下だけだ。たとえば、ミラー氏のような。

同僚たちとの会話が途切れると、ミラー氏はその場を離れた。次はどこに行くのか尋ねると、にっこり笑って「自分のオフィスに」と答えて、廊下をのんびり歩いて行った。

「なかなか大変」

1月20日の大統領就任式までには、ミラー氏のそのオフィスも空になっているはずだ。ミラー氏や同僚たちが執務棟にいたのだという痕跡もなくなり、バイデン新政権のチームが仕事を開始するのを待つばかりの状態になる。

大統領の交代に伴いウェスト・ウイングの数々のオフィスを片付ける習慣は、長年続いているものだ。そしてホワイトハウスの住人が交代する際のこのプロセスは、必ずしも和やかなものではなかった。

トランプ大統領と同様に弾劾訴追されたアンドリュー・ジャクソン大統領(民主党)は1869年に、後任のユリシース・S・グラント大統領(共和党)の就任式をあえて欠席した。ジャクソン大統領の解任を支持したグラント大統領にとっては、想定内のことだっただろう。

しかし、今年の政権移行は激烈な対立が完全に解消されないまま行われるという点で、際立っている。政権移行手続きは通常、11月初めの選挙直後から始まるものだが、今回はトランプ氏が一貫して敗北を認めなかったため、移行手続きは通常より大幅に遅れて始まった。そしてトランプ氏は、バイデン氏の就任式には出席しない意向だ。就任式を欠席して、フロリダ州の私邸マール・ア・ラーゴにそのまま向かうものと見られている。

それでも、アメリカでは今回も政権が移行される。これまで通りに。米プリンストン大学のショーン・ウィレンツ教授(アメリカ史)は、「この国の制度は持ちこたえた」と話す。

「とても大変で、とてもごたごたしているが、それでも政権移行は実現する」

どんなに和やかなものだったとしても、大統領が交代する際の詳細な進行は大変なものだ。膨大な情報の引き継ぎと大勢の職員の交代が、一気に行われなくてはならない。

トランプ政権が雇用していた政治任命ポスト(選挙で決まるのではなく大統領が直接指名もしくは任命する職)のスタッフは約4000人。ミラー氏はその1人に過ぎない。この全員が一気に解雇され、代わりにバイデン氏が採用したスタッフが働き始める。

ワシントンを拠点とする超党派の「大統領移行センター」によると、通常の政権移行ではこの約4000の政治任命ポストに、15万人から30万人が応募する。このうち約1100の職は、大統領の指名を上院が承認しなくてはならない。すべての職が埋まるまでには数カ月、場合によっては数年かかることもある。

4年分の政策文書、報告書類、大統領の執務に関連するあらゆる文物が、国立公文書館に運ばれ、12年間は非公開で保存される。ただし、大統領本人がそれより早く一部を公開しても良いと判断すれば、そのようになる。

引っ越し当日

トランプ大統領の任期の最終週、ケイリー・マケナニー大統領報道官のオフィスのドアが半開きになっていた。

マケナニー氏は就任以来、トランプ氏を最も目立つ形で擁護してきた1人だ。常に身だしなみは完璧で、周囲がどれだけ混乱していても自分は落ち着いて、トランプ氏を代弁して整然と語り続けてきた。

マケナニー氏のオフィスも、ホワイトハウスを去ろうと支度するその最中にあっても、実に整然としていた。机の上には鏡。そして複数の暖炉用の薪(まき)が透明フィルムに巻かれて梱包(こんぽう)済みだった。

ホワイトハウスについての著作もあるケイト・アンダーセン・ブラウワー氏によると、政権最後の数日間は通常、「制御された混沌(こんとん)」なのだという。

ホワイトハウス内の家具のほとんどは、政府資産だ。たとえばオーヴァル・オフィス(大統領執務室)の有名な「レゾリュート」机や美術品、陶器類などは、そのままホワイトハウスに残る。

一方で、廊下の壁にかかる大統領の写真などは、次の大統領に備えて外される。

職員が次々とトランプ政権の品々をホワイトハウスから運び出す様子も目撃されている。たとえば、大統領夫人のスタッフが使うイースト・ウイングから、メラニア夫人の肖像を次々と運び出す女性スタッフは、がっしりしたヒールを履いていた。肖像画は特に巨大な「ジャンボ」と呼ばれるもので、国立公文書館に運ばれるのだという。

トランプ夫妻の衣類や宝飾品など個人的な所有物は、新しい住居に運ばれる。おそらく、フロリダのマール・ア・ラーゴだろう。

そして今回の移行にあたっては、ホワイトハウスは徹底的に清掃、洗浄される。

トランプ大統領を筆頭に、ミラー氏や何十人ものホワイトハウス職員が昨年秋から次々と新型コロナウイルスに感染した。そのため6階建て、計132室のホワイトハウスは、徹底的に掃除される。手すりからエレベーターのボタンやトイレに至るまで、何もかもが洗浄されて殺菌されると、ホワイトハウスの維持管理を担当する政府一般調達局(GSA)の報道官は話した。

新大統領の家族が、ホワイトハウス内の内装を変えることも珍しくない。トランプ氏は就任から間もなく、大衆派のアンドリュー・ジャクソン大統領の肖像画を執務室に飾った。執務室のカーテンやソファやじゅうたんも、金色のものに変えた。

就任式当日には、マイク・ペンス副大統領夫妻も副大統領公邸をカマラ・ハリス副大統領と夫のダグ・エムホフ氏に明け渡す。副大統領公邸はホワイトハウスから数キロ離れた場所にある、海軍観測所の敷地内に立つ19世紀の邸宅だ。

「じゃあ、また」

ミラー顧問はホワイトハウスの執務棟でぶらぶらしていたが、ほかのスタッフは次々とホワイトハウスを後にしていた。

1月も半ばになると、書類や写真や記念品の紙袋を両手に抱えて、ホワイトハウスを出て行く人の姿が、次々と見られた。

ホワイトハウス北側の芝で幼い息子たちの写真を撮っていた男性は、「今日が最後の出勤日で」と微笑んだ。その肩にはパンパンに膨らんだショルダーバッグがかかっていた。

ウェスト・ウイングの前で集まっていた国家安全保障担当の職員たちが、写真を撮ってくれと私に声をかけてきた。

「海兵隊の警備兵をちゃんと入れてね」と、念も押された。大統領が執務室にいる時には必ず扉の前に立って警護する、海兵隊員のことだ。

記念写真に集まっていた国家安全保障担当の職員たちは、楽しそうだった。冗談を言い合って、盛り上がって、ベストポジションで写真に収まろうと押し合いへし合いしていた。

政治任命のホワイトハウス・スタッフが元気で明るいのには、理由があった。この人たちはもう何週間も、宙ぶらりんな状態に置かれていたので。選挙結果の正当性を自分たちのボスは否定し続けるものの、自分はまもなく失職するのだと、彼らは分かっていた。なので、自分の今後についておおっぴらに計画し、職探しなども始められるようになって、みんな解放感にくらくらしているようでもあった。

ダークスーツ姿の男性スタッフは、すでに今後の計画を立てていた。

1階の広間で同僚と出くわしたこの人は、「終わったらまた会おうな」と明るく言った。就任式の後のことだ。お互いにホワイトハウス職員でなくなり、職を失った時のことを話していた。

次に会えるのはどこだろう。「ギリシャのどこかの島とか、そういう感じで」。

「もちろん、絶対」と同僚は笑った。2人はパーンと威勢よくハイタッチをして、そしてそれぞれの方向に歩いて行ったのだった。

BBCNEWSより転用


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