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菅首相、政権危機で急浮上する「4月政変説」 コロナ対応迷走で支持率急落、解散断行で勝負


12月23日、首相官邸に入る菅義偉首相(写真:時事)© 東洋経済オンライン 12月23日、首相官邸に入る菅義偉首相(写真:時事)

コロナ禍に苦闘し続けた2020年が終わり、「すべてはコロナ次第」(首相経験者)となりそうな2021年の政局。その最大の焦点は衆院解散・総選挙の時期となりそうだ。

菅義偉首相の選択肢は極めて限られるが、コロナ対応に迷走し、年末にかけての内閣支持率は急落。「菅首相が予算成立後に解散、4月25日投開票を模索し始めている」(自民幹部)との臆測も広がっている。

政府は、次期通常国会を2021年1月18日に召集し、冒頭で第3次補正予算を成立させたうえで、新年度予算の年度内成立を目指す方針だ。このため、一時取り沙汰されていた年明け解散説は消滅し、菅首相による解散・総選挙の選択肢は「予算成立後」「通常国会会期末」「東京五輪後」の3つに絞られた格好だ。

浮上する「菅降ろし」の動き

菅首相はもともと、9月の政権発足時から「実績を積み重ねたうえで国民の信を問う」と考え、首相就任前に「9月の臨時国会冒頭解散ー10月25日衆院選投開票」の選択肢を消した。そのうえで、公約に掲げた携帯電話値下げとデジタル庁の創設、不妊治療の保険適用という「3大スガ案件」の実現に邁進。それと並行してコロナ感染拡大阻止に「政治資源のほとんどを投入」(官邸筋)してきた。

携帯料金値下げなどの公約は、担当閣僚が「菅さんのスピード感に追いまくられている」(平井卓也デジタル担当相)と嘆くほど実現に向けて作業は順調に進んでいるように見える。しかし、政権最大の課題である「コロナ感染防止と経済の両立」は11月以降の感染急拡大で崩壊し、肝いり政策だったGoToトラベルも12月14日に全国一旦停止決断に追い込まれた。

このコロナ対策の迷走に、就任時歴代3位とされる平均70%前後だった内閣高支持率は急落。年末には支持と不支持が40%前後で拮抗する状況となった。わずか3カ月余りで支持率がこれほど大幅に急落した例は過去にもあまりない。

年末には自民党内でも「菅政権がこのままじり貧状態になれば、選挙の顔にはならない」(閣僚経験者)との声が広がり、9月の自民党総裁選をにらんでの「菅降ろし」のうごめきも始まった。GoTo停止にもかかわらず、年明け以降もコロナ感染拡大の歯止めがかからなければ、「肝心の経済活性化も絵空事」(財務省幹部)となり、政権批判が加速しかねない。

そうした「八方塞がりの状況」(自民幹部)を打開するために、菅首相の周辺からは「解散断行で勝負をかけるしかない」との声が出始めている。併せて「成果が上がるのを待っていたらタイミングを逸する」(自民選対)との読みから、一番早い4月選挙説が浮上してきたのだ。

首相周辺の話を総合すると、4月選挙は次のようなシナリオだ。最大限のコロナ対策を盛り込んだ第3次補正予算と新年度予算を早期に処理したうえで、年度内に予算関連の「日切れ法案」とともに、都道府県知事からの要望が強いコロナ特措法改正案も成立させる。そして、4月初旬に解散して大型連休前の4月25日投開票に持ち込む、というものだ。

4月選挙の背景にしたたかな政局勘

この戦略の背景には、菅首相のしたたかな政局勘がある。12月24日の講演では、コロナ対策の決め手としてワクチン接種の効用を力説。「2月中に安全性の検証など結果が出るのでは」と語り、年度内の接種開始への期待をにじませた。それが実現すれば、2021年3月に最終決定される見通しの夏の東京五輪開催の道筋も開け、国民の安心感が拡大して経済活性化も進められる、という読みだ。

しかも、安倍晋三前首相の桜疑惑に続いて、検察が本格捜査に乗り出した吉川貴盛元農水相が心臓病を理由に議員辞職。それに伴う4月25日の衆院北海道2区の補欠選挙も吸収できる。

さらに、元法相の河井克行被告が現職の衆院広島3区や、IR事件で法廷闘争を続ける秋元司被告が現職の衆院東京15区で自民が負けても、「選挙全体の結果によって、個別のケースは注目されなくなる」(自民選対)という利点もある。

選挙で自民党が勝てば、安倍前政権以来の負の遺産とされる、スキャンダルに関係する議員は、安倍氏も含めて「禊を済ませた」(自民幹部)ことになり、菅首相は求心力を回復、9月の自民総裁選での再選にも弾みがつく。

ただ、この戦略は選挙での自民党の勝利が前提だ。現状のように野党側がバラバラで戦えば、自民党への国民の批判が強まっても、「漁夫の利で自民勝利」(自民選対)の可能性はある。しかし、立憲民主を中心に主要野党が選挙共闘を実現して全国の小選挙区で統一候補を擁立すれば、勝敗のゆくえは予断を許さなくなる。

仮にコロナ禍が収まらないままの解散断行となれば、菅首相への国民的批判は拡大必至で、選挙アナリストも「東日本を中心に、多くの自民候補が落選する可能性が大きい」と予測する。

菅政権存続の勝敗ラインとは

歴代の自民党首相は衆院選の勝敗ラインとして「与党過半数」を挙げてきた。これを前提にすれば与党の自民・公明で過半数の233議席以上を確保すれば、理論的には与党の勝利であり、政権存続も可能となる。

強固な支持基盤を持つ公明党は30議席前後の獲得が確実だ。となれば、自民党は210議席以下でも目標達成となるが、それでは現有議席を約80減らすことになり、単独過半数を大きく下回る。メディアは「自民惨敗」と報じるのは確実で、これまでの例からも「菅首相は即時退陣」となるのは避けられない。

そこで問題となるのが「菅政権存続のための勝敗ライン」だ。過半数に次ぐ大きな分岐点は、自民単独での「安定多数」(244議席)、「絶対安定多数」(261議席)、そして憲法改正にも必要な「3分の2」(310議席)だ。

この中で菅首相にとっての最低限の目標は244議席となるが、その場合でも自民は約40議席の大幅減となり、党内に「菅降ろし」の動きが台頭し、総裁再選も危うくなりかねない。

となれば、菅首相が目論む順調な総裁再選には「最低でも261議席以上が必要」(自民幹部)となる。ただ、これまでの自民党や各種調査機関の選挙情勢調査でも、「自民30議席減」との予測が多く、「現状でも(261議席獲得の)可能性は五分五分」(選挙アナリスト)とみられている。

そこで、次の選択肢となるのは会期末解散だ。通常会期中にデジタル庁創設や携帯電話料金値下げを実現しての解散断行なら「勝機はある」(菅首相周辺)のは確かだ。ただ、日程的には公明党が最重要視する東京都議選とのダブル選挙となる可能性が大きく、山口那津男公明党代表は「都議選とのダブルは反対」と繰り返している。

公明党とのパイプの太さで政局の主導権を維持してきた菅首相や二階俊博自民党幹事長にとって、「公明党の反対を押し切って解散を断行すれば、全国での公明票が減りかねない」(自民選対)とのリスクがある。

不確定要素だらけの2021年政局

では、3番目の選択肢となる五輪後の9月解散・10月選挙となった場合はどうか。この場合、菅首相のメリットは極めて微妙だ。東京五輪・パラリンピックの閉幕は9月5日で、9月中旬に予定される自民総裁選と解散時期は重なる。

仮に9月中の衆院選投開票を想定すれば、総裁選を1カ月程度延長しなければならない。逆に総裁選を予定どおり実施すれば、日程的には9月下旬以降の解散となるが、公選法上は解散抜きの任期満了選挙となる可能性が大きい。

その場合、選挙で自民が大幅議席減となれば菅首相が総裁再選を果たしていた場合でも、退陣もしくは「政権の死に体化」は避けられない。また、選挙後の総裁選となれば「選挙に勝てば無投票再選だが、負ければ菅首相の出馬自体が危うくなる」(自民幹部)とみられている。

「来年のことを言うと鬼が笑う」というセリフは政界でも多用されるが、2021年の政局は「過去に例がないくらい不確定要素が多い」(自民長老)のは事実。『政治家の覚悟』という著書があり、「意志あれば道あり」を座右の銘とする菅首相が、いつ勝負に出て伝家の宝刀を抜くのか。「それはコロナの感染防止と同様に『神のみぞ知る』」(同)ということになりそうだ。

東洋経済オンラインより転用


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