コロナ後の秩序にらみ脱中国で連携 日越首脳会談
- 国際
- 2020年10月20日
ベトナム訪問中の菅義偉(すが・よしひで)首相が医療物資などのサプライチェーン(供給網)の強化に向けて協力を確認した背景には、新型コロナウイルスの感染拡大によって中国依存の危うさが改めて浮き彫りになったことがある。米中対立の激化で経済のデカップリング(切り離し)も進んでおり、日本としては東南アジア諸国連合(ASEAN)などとの連携を深め、「コロナ後」に対応する狙いがある。
「日本はサプライチェーンの強靱(きょうじん)化を進め、危機に強い経済をアジアに構築するため、ASEANとさらに協力を深めていく」
菅首相は19日、ハノイの日越大学での演説でこう表明した。新型コロナ発生後、ベトナムから大量のマスクが贈られたことや、次の訪問国となるインドネシアが医療術衣の日本向け輸出を解禁したことに触れ、「困ったときこそ助け合う戦略的パートナーシップの強靱さを表している」とも語った。
政府は医療物資などのサプライチェーンを拡充しようと、国内生産に加え、ASEANに生産拠点を整備する日系企業などを支援する。菅首相は19日の首脳会談で供給網の分散化に向けた協力を呼びかけ、フック首相も賛同した。ベトナムとしても新型コロナの影響で落ち込む国内経済にプラスの効果が期待できる。
これまで日中関係の悪化で中国での不買運動や禁輸措置が繰り返されるたび、日本でも生産や消費の脱中国依存が浮上した。コロナ禍はそうした動きが本格化するきっかけになる可能性がある。
いち早く自国の感染を抑えた中国は経済力を武器に覇権主義を強め、各国への医療品などの提供にも乗り出す。警戒を強める米国は安全保障などを理由に、通信分野での中国企業の排除など、経済のデカップリングを進めている。
一方、日本は米国と異なり、中国と地理的に近接するだけでなく、経済的な依存度も高い。中国は米国を抜き最大の貿易相手国でもある。日本としては同盟国の米国と歩調を合わせつつも、完全に中国経済を切り離すのは難しい。政府関係者は「理念的な部分だけでは割り切れないつながりがある」と打ち明ける。
その意味で、サプライチェーンも含め経済面でASEANなどとの連携を強化することは日本にとって欠かせない。外務省幹部は「コロナ後の世界について秩序が変わっていく実感がある。その中で日本がどう関わっていくか考える必要がある」と強調する。
一言コメント
今後もいい関係が続きそうだ。
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