コロナ 福岡再拡大「予断許さず」 病床余力も検査強化
- 政治・経済
- 2020年7月22日
福岡県の小川洋知事は21日の記者会見で、県内で再び新型コロナウイルス感染が拡大している状況について「予断を許さない」と述べ、あらためて感染防止対策の徹底を呼び掛けた。県内では19、20日と2日続けて緊急事態宣言解除後最多となる32人の感染が確認された。軽症・無症状者が約9割で、医療体制にまだ余力があるため、当面は外出自粛や休業の要請は行わない考えだが、PCR検査の体制を強化するなど、警戒を強めている。
◆1週間で136人
県内で1日に確認された感染者は、6月2日から1カ月以上、1桁台で推移していた。ところが今月16日に16人が確認されて以降、20日まで2桁台が続く。20日までの直近1週間では計136人に上り、これまでの累計は1千人を超えた。
感染者が最も多いのは人口が集積する福岡市で、20日に確認された32人のうち同市が25人を占めた。20~30代を中心に接待を伴う飲食店の関連で感染が増えた一方、20日には介護施設でのクラスター(感染者集団)が判明するなど高齢者への広がりもみられる。
感染範囲も広がっている。同市だけでなく、うきは市の介護施設でもクラスターが発生するなど、感染確認は全県にまたがる。
県は再度の休業要請や医療体制整備を求める判断材料として4つの指標を設けている。そのうち「直近3日間の1日当たりの平均感染者数が3日連続8人以上」は、25・0人(19日現在)と基準を大きく上回る。
それでも、小川氏は「医療体制は十分余力がある」と強調。19日現在、残り3つの指標のうち「病床稼働率50%以上」は19・4%、「重症病床稼働率50%以上」は6・7%と、現状で医療体制は逼迫(ひっぱく)した状況にない。「直近3日間の感染経路不明者の割合がいずれも50%以上」も37・5%と基準を下回る。20日までの直近1週間の陽性率は2・9%と、首都圏などと比べて低い。
◆遺伝子配列解読 小川氏は「大事なのはトレンドだ。今後どう動いていくのか注視していく」と指摘するが、緊急事態宣言下のような厳しい対策がとられていない現状では、感染者の爆発的な増加も懸念される。
県は「医療体制の逼迫は絶対に避けなければならない」(小川氏)とし、21日から、一時中断していた民間ホテルでの軽症・無症状者の受け入れを再開した。県によると19日現在、病院などで療養する感染者は131人。そのうち軽症・無症状者は117人で約9割を占める。症状の軽い患者はホテルで療養し、病床の空きを確保する。
PCR検査の体制も強化する。7月には県保健環境研究所に、検査時間がこれまでの約6時間から約3時間に短縮される「迅速試薬キット」を導入。これにより同研究所での1日当たりの検査可能件数は200件から300件に増加。民間検査機関も合わせて全県では、6月時点では約850件だったが、現在は約2300件に増強された。
加えて今月末には1980万円を投じ、感染者から検出した新型コロナの遺伝子配列を解読し、感染経路の追跡に役立てる機器「次世代シーケンサー」も導入する。クラスターの発生予防や感染拡大の抑制につなげる。
小川氏は危機感の一方、「かつてのような厳しい措置はとりたくない」と語る。感染対策と社会経済活動を両立させるため、再度の休業要請などには現時点で否定的だ。
一言コメント
Go To キャンペーンも始まるし、ちょっと心配だ。
コメントする