想定外の長期化、底なしの様相 企業の在宅勤務に課題 緊急事態宣言延長
- 企業・経済
- 2020年5月5日
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う政府の緊急事態宣言の対象期間延長が4日、決まった。新型コロナの影響は、企業が当初想定した以上に長期化し、底なしの様相だ。急きょ導入した大規模な在宅勤務では従業員へのケアが課題に浮上しており、制度見直しを急ぐ。
「春が来れば流行が沈静化すると期待していたが、まさかこうなるとは」。自動車大手の社員はため息をついた。4月の国内新車販売台数は前年同月比3割減と大きく落ち込み、5月はさらに厳しい。
自動車業界では2月、中国での感染拡大でサプライチェーン(部品供給網)に混乱が生じた。別の大手社員は「あの頃はまだ良かった。需要が落ち込めば造る必要さえなくなる」と危機感を募らせる。
宣言の延長を受け、東武百貨店は5月6日までとしていた臨時休業の継続を決めた。他の百貨店も同様の措置を取るとみられる。自治体によって休業要請などに差が出る可能性があるが、「感染防止を徹底するには、食品フロアやインターネット通販以外の早期再開は難しい」(大手百貨店)という。
大阪市のユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)も、5月中旬以降までとしていた臨時休業について、当面の間延長することにした。
外食業界からは「生きるか死ぬかの状況」(個人経営者)との声が上がる一方、大手チェーンは「顧客と従業員の健康面での安心・安全が最優先」(大戸屋ホールディングス)とする企業が多い。当面は時短営業や臨時休業の対応を継続せざるを得ない。
収束が見通せない中、課題として急浮上しているのが、在宅勤務を続ける従業員へのケアだ。
ユニ・チャームでは、社内交流が減り、社員の不安が高まっている状況を懸念。部署での「オンライン懇親会」を月1回、1人3000円まで会社が負担する制度を創設した。サントリーホールディングスは社内投稿サイトで、子育てとの両立や運動不足解消などのノウハウを共有する。
ファンケルは在宅勤務で生じる光熱費や通信費について、一律1カ月分2000円を支給し、継続も検討する。あるメーカーは「『コロナ後』に向け、仕事への取り組み方や時間管理を考える良い機会だ」と前向きに捉えている。
一言コメント
働き方もこの数か月で大きく変わってきた。
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