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女子ゴルフ無観客で開幕…大会全日程は国内史上初、損失は３０００万円か

スポーツ
2020年2月20日

　国内女子ゴルフの開幕戦に、新型コロナウイルスが影を落とした。日本女子プロゴルフ協会（ＬＰＧＡ）と大会主催者は１９日、感染拡大を受けて、国内女子ツアーの開幕戦ダイキンオーキッドレディス（３月５～８日、沖縄・琉球ＧＣ）を無観客で行うと発表した。大会全日程を無観客で行うのは男女通じて史上初。東京五輪代表入りを目指す渋野日向子（２１）＝サントリー＝、鈴木愛（２５）＝セールスフォース＝にとっては異例の今年初戦となった。前夜祭（３日）とプロアマ戦（４日）は中止される。

開幕１５日前のこの日、ＬＰＧＡは大会主催のダイキン工業株式会社、琉球放送株式会社と連名でプレスリリースを出した。「新型コロナウイルスの感染拡大を受けてギャラリー、選手、ボランティアの皆さまの安全確保の観点から、無観客で大会を開催することといたしました」。例年、芸能人や著名人が数多く訪れてにぎわってきた豪勢な前夜祭やプロアマ戦も中止となった。

昨年１０月のスタンレーレディス最終日が、台風１９号の影響で１９８８年ツアー制施行後初の無観客試合に。大会通じては史上初で、７３年にツアー制が施行された男子でも前例がない。地元・沖縄出身の比嘉真美子（２６）が制した昨年大会は、４日間合計で１万４３５０人のギャラリーが詰めかけた。今年も同数の観客が来場していたとすれば、単純計算で約２５００～３０００万円もの損失となる。

ましてや昨年８月のメジャー、ＡＩＧ全英女子オープンを制した“渋野フィーバー”以降、観客動員数は軒並み増加中。ある大会関係者は「今年は渋野選手の参戦もあり、例年以上の盛り上がりを見込んで準備を進めていただけに残念」と肩を落とした。毎試合大勢の観客を引き連れる渋野も「私はギャラリーさんがいる方が燃える」と話しており、ショット音だけが響く中での無観客試合の影響も懸念されそうだ。

出場予定の選手たちもＳＮＳ上で反応した。ツアー通算１３勝の成田美寿々（２７）＝オンワードＨＤ＝はインスタグラムに「楽しみに待っていてくれたファンの皆様、私たちも心苦しく思いますが安全確保の面からしょうがない…と思っております」などとつづった。

コロナウイルスの感染拡大を懸念し、畑岡奈紗（２１）＝フリー＝、渋野らが出場予定だったアジア圏開催の米女子ツアー３試合は中止となった。沖縄ではこの日、２人目の感染者が確認された。ＬＰＧＡ関係者は「今後の状況次第では、開催中止の可能性もゼロではない」とも話す。開幕２戦目以降の大会も新型コロナへの対応を検討中。コロナウイルスの影響は予断を許さない状況が続く。

◆プロゴルフの主な無観客試合

▽女子　１９年１０月１２、１３日に台風１９号接近に伴い、安全を考慮しスタンレーレディス最終日をツアー初の無観客で実施。同大会は０７年も台風で最終日が中止となったがプレーオフのみ行った。

▽男子　タイガー・ウッズ、松山英樹らが出場した米プロツアーＺＯＺＯチャンピオンシップは、第２ラウンドの同２５日に大雨の影響で千葉・習志野ＣＣに水没箇所などが発生。安全を考慮し翌２６日に延期され、無観客で開催。会場の柵越しに約５０人のやじ馬が現れる。国内では１２年９月３０日のコカ・コーラ東海クラシック最終日が台風接近に伴い安全確保のため入場不可に。

◆新型コロナのスポーツ界への影響

▼プロ野球（ＮＰＢ）　各球団単位でキャンプでのファンサービス自粛や練習試合、オープン戦でのジェット風船使用禁止などの措置を発表。ＮＰＢは現状把握に努め、今後の感染状況を注視していく。

▼陸上　３月１日の東京マラソン主催者は、今年の大会を約３万８０００人の一般ランナー抜きでの開催を発表。車いすを含む各部門のエリート選手計２０６人のみの出場で実施する。

▼Ｊリーグ　８日の富士ゼロックススーパー杯で実施した消毒液の配置などの事例を共有。現時点で、リーグ側から各クラブへ試合日の対応を依頼、指示を出すことはしない方針。

▼大相撲　３月８日初日の春場所（エディオンアリーナ大阪）は現状では通常通り開催の予定。同３１日には春巡業が、医師や患者らの新型コロナウイルス感染が分かった和歌山・湯浅町で行われる。巡業担当者は「何かあれば実行委員会で話し合います」と最善を尽くし、開催の方針。

▼ラグビー　トップリーグ第６節は２２、２３日に５会場８試合を開催予定。日本協会はこの日の理事会で、日程通り行うことを確認。岩渕健輔専務理事は無観客の可能性について「状況を見て適宜対応する」とした。第５節（１５、１６日）から試合後は、選手はピッチ上であいさつするのみにとどめ観客との接触を避けている。スーパーラグビーは来日してサンウルブズと対戦する一部外国チームから不安の声があるという。直近のブランビーズ戦（３月８日・花園）は予定通り。統括団体と情報交換、協議を続ける。