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au「かえトクプログラム」インタビュー、国内大手キャリア初の残価設定プログラムができた理由


 国内の携帯電話会社として初めて、KDDIと沖縄セルラーは2月21日より残価設定型の端末購入プログラム「かえトクプログラム」を提供する。

記者説明会に登壇したパーソナル事業本部 コンシューマ事業企画本部 副本部長兼コンシューママーケティング1部長の松田浩路氏と、コンシューマ事業企画本部次世代ビジネス企画部部長の長谷川渡氏が本誌インタビューに応えた。

□かえトクプログラム、“健全な運営”に

残価設定、つまりユーザーが買おうとするスマートフォンに対して、2年後の価値をauが決めておき、「端末価格-残価」を23回払いで支払う「かえトクプログラム」。23回払い分は、過去の割引施策と同じ言い方をすれば「実質負担額」とも言える格好だ。

KDDIでは、端末下取りなどを前提に、一定回数支払えば、残債を免除する仕組みだった「アップグレードプログラム」を提供してきた。その知見を生かし、「かえトクプログラム」の残価を、機種ごとに設定していく。同じ機種でも、価格が値下げされれば、あらためて残価も設定される。

事業としての黒字化を目指して運用するとのことで、一部の機種だけ極端に高い残価、つまり2年間の支払いがゼロ円に近くすることはないという。

□これまでの流れ――国内の携帯電話会社として初めての残価設定型とのことですが、いつから検討をし始めたのでしょうか。

長谷川氏
社内ではかなり前から検討はしていました。いくつかの選択肢を検討していましたので、そのひとつだったのです。

――これまでも候補のひとつだったと。では、なぜ今まで残価設定型が導入されなかったのでしょうか?

長谷川氏
「どれがわかりやすいか」という視点です。非常に悩んだ結果、これまでは48回払いで、半分まで行くと(機種変更することで)残りは払わなくて良いですよ、という形をまず採用したわけです。それが「アップグレードプログラムEX」(2017年7月導入)です。

既存のプログラムについても社内では「残価設定に近い部分はあるね」という話はしていました。よりわかりやすいほうが良いだろう、ということで検討を重ね、提供に向けて準備に取りかかったのです。

□「5Gの開始は大きい」――ではなぜこのタイミングになったのでしょうか。もちろん5Gのサービス開始が間近に迫っていますし、携帯電話業界一番の商戦期である春を迎える時期でもあります。一方で、毎年秋のiPhoneシーズンがもうひとつのピークでもあります。

松田氏
確かに学割商戦期に販売方法を変えるのか? という指摘はあろうかと思います。でも、5Gに向けて、少しでも早く、スマートフォンをお求めしやすい形を提供しようと考えたのです。

そして5Gというのは大きかったですね。5Gサービスが始まると、商戦期としては落ち着いた時期になります。

――3月中に5Gサービスを開始するとのことですが、すぐに商戦期を終えて4月になってしまいますね。

松田氏
攻めの姿勢を見せないと、という想いもあります。

――逆に言うと、従来の仕組みでは「スマートフォンを買いづらい」というように思えます。

松田氏
そこへの対応も含めて、ですね。5Gに向けてこのままではよくないと思っていたのです。

――たとえば先日の決算会見で明らかにされた数値を見ると、2019年10月~12月の端末数は前年同期よりも21万台減少していました。この実績はKDDI社内でいかほどの衝撃があったのでしょうか。

松田氏
社内でもその点については危機感を持っています。前年と比べて落ちている。「5Gはこれでいいのか」と。もっと活性化させたいと思ってのことだったのです。

□わかりやすさと柔軟性――17日の説明会では、機種ごとの残価設定率についても質問が挙がっていました。これまでより安くなるのか? という質問もありました。

松田氏
はい、アップグレードプログラムNXよりも、負担感が減ってお求めやすくなると思います。

――「かえトクプログラム」のほうが、最初の負担額が安くできるのは何故でしょう?

長谷川氏
36回払いのうち24回のお支払いで、残りの1/3が免除(編集部注:アップグレードプログラムNXは36回払いのうち最大12回の支払いが免除される)というのはわかりやすい一方で、固定的、硬直的なルールとも言えました。対象にできない機種もありましたし、対象機種でも市場の中古価格を考えると、もっとお求めやすくできるものもありました。でも、わかりやすさを重視して、一律のルールにしたわけです。

そこを今回は、機種ごとに残価を設定させていただくことで、柔軟に対応できるようにしたのです。

――NXの前のバージョンである「アップグレードプログラムDX」では、Galaxy Foldが対象外の機種でしたね。

松田氏
すでにGalaxy Foldは販売を終了していますので、今回「かえトクプログラム」の対象機種には含まれていません。

――仮にGalaxy Foldと同クラスの機種が登場するとしたら、「かえトクプログラム」の対象になりますか?

松田氏
そうですね。たとえば今日発表した「Galaxy Z Flip」が対象になったのは、機種ごとに残価を設定する柔軟な形になったからこそです。以前の形では、わかりやすさはあれど、対象外になるものもあったと。

(残価設定クレジットという仕組みが普及している)自動車でも人気車種などがあって、お客様にとってもわかりやすいですよね。それと同じというわかりやすさで、今回、受け入れやすいのかなと思っています。

――「かえトクプログラム」導入後も、1回あたりの支払額は高くなるでしょうが、通常の24回払いは選べますか?

長谷川氏
はい、ご利用いただけます。

――なるほど、「かえトクプログラム」は選択肢が増えたという格好ですね。

□残価設定と引き取った機種の扱い――ちなみに残価の設定は、ボディカラーが違っても同じ、ですよね。

松田氏
はい、同じ機種であれば同じ残価設定です。

長谷川氏
ゆくゆく、そこが大きな要素になるのであれば、そういった点も考慮することになるかもしれません。

――「かえトクプログラム」では、2年後、端末をauへ引き渡すことになります。KDDIとしてはその引き取った端末をどう扱うか、今の段階で方針は定まっていますか? 中古市場に対峙していくのか、リファービッシュ用として提供するのでしょうか。

松田氏
これまでのアップグレードプログラムで、どの機種がグローバルで流通しやすいか、我々も知見を得ています。グローバル市場ではない機種なども、同じように引き取ってきました。

そういう意味では、これまでの仕組みと、残価設定の「かえトクプログラム」で大きなギャップが生まれるわけではありません。もちろん、もし、auネットワークしか対応しないような機種ばかりになれば困るかもしれませんが……。

長谷川氏
今後はそのあたりを意識したラインアップを考えていかねばならないかもしれませんね。

松田氏
たとえば、端末に刻印する「au」というロゴも、以前と比べれば減ってきたと思っています。グローバルから見ると「au」は関わりがないですよね。今後もそうした傾向は強まるかもしれません。

――ちょっと先過ぎるかもしれませんが、そうした傾向になるとすれば、ラインアップも売れ筋に絞られ、ユーザーもリセールバリューをもっと意識していくことになって、もしかしたら現在よりも多様性が減ってしまわないか……と感じてしまいました。

松田氏
そこまではまだ議論していないですね。

またアップグレードプログラムNXで対象外だった、廉価な機種も「かえトクプログラム」を利用できるようにしました。もともとお手頃な価格帯ながら、残価が付くということになれば、中古市場にも影響するかなと思います。

長谷川氏
残価と実質を見ていただいて、毎月の支払額がいくらになるのか。そこで選んでいただくことになると、特定の機種に集中するというよりも、これから5G時代ではグローバルでさまざまな機種が登場するでしょうから、そうした機種を提供させていただきたいと思っています。

□auのサービスと結びついていく―― かえトクプログラムの導入によって、端末価格の値付けの考え方はこれまでと変わりますか? 多くの携帯電話会社で扱われる機種となれば、auと他社でどっちが安い? と、ユーザーも比較する傾向が強まるかもしれません。

松田氏
確かに同じ機種なら価格を比較されるでしょう。その一方で、「auで買ったら、こんな保証がある」など、価格以外のところも見ていただけるのかなと思います。

――ちょうど17日から「au PAY」の還元キャンペーンの2週目が始まりました。何か連動する施策はあったりしますか?

長谷川氏
いや、具体的にはないです。一括払いでau PAYで買うと、キャンペーン通りの還元です。

一方でau PAYも含め、auのサービスはオープン化を進めてきました。au回線以外のお客様も、端末価格、残価を引いた2年分の支払額などを見ていただいて、まずauで購入していただければ、その後、何かしらサービスを使っていただけるかもしれません。

そして「auがいいな」と思っていただいて、au回線まで選んでいただけるかもしれません。もはやauユーザーだけに安く売りますという市場環境ではないと思っています。

――au回線以外のユーザーにも、「かえトクプログラム」を契機にauのサービス、ひいてはau回線へ誘えるかもしれないと。そういう考え方は、他の部門とも共通の認識となっているのでしょうか?

松田氏
もちろんです。いろんなところで合い言葉のようになっています。今日の会見では、強調し忘れたのですが、たとえばドコモ回線のユーザーさんでも「かえトクプログラム」はご利用いただけるわけです。

――実際に端末購入に結びついたとしても、その後、auの各種サービスやau回線に繋げていくための設計やキャンペーンなどは……。

松田氏
はい、そういう意味では、ローソンさんとの提携もそうでしょう。au PAYのキャンペーンについては、認知を高めるためのキャンペーンという側面もありますが、どう接点を作り、どう使っていただけるか考えています。

――とはいえ、仕組み自体は他キャリアにも真似されるものですよね。

長谷川氏
そうですね……もし追随された場合のメリットとしては、わかりやすくなるという点がありますね。

――もし追随されたらどう対応するのか、という質問についてはやはりオープン化したauのサービスで対抗ということになりますか。

長谷川氏
はい、端末購入プログラムと回線契約の紐付けはNGということですので、オープンなauのサービスと一緒に利用していただけるよう、魅力を感じてもらうことが大切ですね。

たとえば「スマプレ」(auスマートパスプレミアム)のようなサービスは、auが先駆者として開拓し、他社さんは類似サービスを提供されていないと思っています。回線もauを選んでいただけるのが一番ですが、そこまで行かずとも、auを好きになっていただく、auのサービスを使っていただければいいなと思っています。

Impress Watch

 

 

一言コメント
車みたいになってきたね。


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