天神再開発「空白の4年」賑わいどう継続 福岡
- 政治・経済
- 2019年11月8日
■西鉄3棟一体工事に周辺施設、買い物客動向を注視
西日本鉄道は7日、福岡市・天神地区の福岡ビル、天神コア、天神ビブレの3施設を一体で再開発し、令和6年春に大規模な新ビル開業を目指すと明らかにした。近くにある三菱地所の商業施設「イムズ」も、建て替えで一時閉館する。九州を代表する商業集積地・天神の一角が、工事で4年以上にわたって“空白”となることで、買い物客の動向の変化が注視される。(九州総局 高瀬真由子)
西鉄の倉富純男社長は記者会見で「天神ビブレも含め、一体で(開発を)やる流れはできつつある。6年春の同時完成を目指している」と述べた。
西鉄は従来、一体開発を目標としてきたが、天神ビブレの地権者との交渉が難航していた。その後、同施設の中心運営会社であるイオングループが、来年2月に閉館する方針を決めた。一部の地権者と交渉は続いているが、再開発事業が前進した。
西鉄のプロジェクトは、今は別棟の3施設を統合し、地上19階、地下4階の大型ビルを建設する。
オフィスや商業施設、ホテルが入る計画で、総事業費は400億円を超える。
福岡市による再開発促進事業「天神ビッグバン」の中核に位置づけられる。天神ビッグバンで、容積率緩和などの優遇措置が受けられるのは6年末まで。この期限に間に合うよう、建て替えを進める。
福岡ビルは今年4月に解体工事が始まった。天神コアは来年3月末の閉館を予定している。
また、三菱地所はイムズの建て替えを計画しており、3年度に閉館する。
■建設ラッシュ
今後数年、天神の商業施設が、建て替えラッシュを迎える。工事中、地域から買い物客が流出するのか、工事後に以前より集客力を高めるのか、予断を許さない。
福岡市の高島宗一郎市長は10月の記者会見で「建て替えが集中する期間、天神が寂しい状況になるが、次のステージに上がるための生みの苦しみととらえ、天神の店舗は頑張ってほしい」と述べた。西鉄の倉富社長も、ソラリアステージなど残る天神の施設で集客力アップに注力するとし、「『天神が閉まっている』と思われないよう、イベントや催事を徹底的にやっていく。金をかけずに知恵を出せと言っている」と語った。
周辺の商業施設は、影響を注意深く見る。
天神地下街(152店)は福岡ビル、天神コア、イムズなどの建て替え対象施設とつながる。運営する福岡地下街開発(福岡市)の太田敏也取締役営業推進部長は「閉館中は回遊性が落ちるが、閉館した分、お客さまが来る可能性もあり、プラスかマイナスかは読めない。天神の各施設が個性を出し、連携してにぎわいを出すことが重要だ」と述べた。
同社は、新ビル開業後も見据える。オフィスが増えることから、男性も含めた働く世代を意識した店舗構成も検討しているという。
天神と博多駅の中間地点にある商業施設「キャナルシティ博多」は、天神コアのメインの客層である若い女性や、海外客を呼び込もうと取り組みを始めた。
運営する福岡地所キャナルシティ博多事業部の望月未和副支配人は「天神には天神の文化が醸成されている。閉館中も、人の流れは天神周辺から大きく動かないとみており、楽観視はしていない。新たなテナント誘致やイベントで、流れを呼び込みたい」と話した。
■ビジネス街にも
天神地区は長く、福岡市の商業を牽引(けんいん)してきた。
だが平成23年以降、JR九州などの開発で、博多駅周辺にも商業施設が集積した。
天神地区は今回の建て替えで、商業集積に加え、ビジネス街としての色を加えようとしている。
福岡ビルの東側では、福岡地所がオフィスビル「天神ビジネスセンター」(仮称)を建設中で、令和3年9月の完成を目指す。
福岡地所、西鉄ともに、新たなビルでは外資系企業の呼び込みを掲げる。天神がアジアの代表都市に変貌するには、世界トップクラスの企業誘致が、鍵を握る。
福岡市は天神ビッグバンで、6年末までにビル30棟の建て替えを促す。実現すれば、延べ床面積が約1・7倍、雇用者数が約2・4倍の9万7100人に伸び、年8500億円の経済波及効果が見込まれる。
一言コメント
4年は長いが持ちこたえてほしい。
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