インフルが早期流行の兆候 慌てる必要なし、従来通りの予防を
- 政治・経済
- 2019年10月25日
例年より早く、10月上旬からインフルエンザの流行による学級閉鎖が報告された。予防接種を早めに受けようとする動きも出ている。しかし、臨床現場の医師は「確かに早いが、流行時期が繰り上がるような状況ではない」と、慌てないように呼び掛けている。10月末から11月上旬にかけた例年通りの時期に予防接種を受け、手洗いなどの予防を心がけ、せきや発熱などインフルエンザを疑わせる症状が出た場合は、早めに医療機関で検査や治療を受けたい。
「今シーズンのように流行の始まりが早いのは確かに異例だ。しかし、流行の広がりは社会的に問題になるほどではない。流行のピークは例年通り11月以降になるだろうから、ワクチン接種を急ぐ必要性は低いと考えられる」
長年、インフルエンザの治療に取り組んできた神奈川県警友会けいゆう病院(横浜市)感染制御センターの菅谷憲夫センター長(小児科)は、こう分析する。その上で「まず基本的にはこれまでと同様、手洗いの励行や人混みでのマスクの着用などの予防に努める。せきや発熱などインフルエンザを疑わせる症状が出た場合は、早めに医療機関を受診して早期に治療を受けることが大切だ」と、予防や早期治療の重要性を強調している。
持病がない大人の場合はインフルエンザにかかっても安静にしていれば、1週間程度安静にしていれば自然に治癒する。「自宅で寝ていればよい」といった声もある。抗ウイルス薬が登場するまでは、日本でも「自宅療養」が中心だった。欧米でもインフルエンザの治療対象は重症化して入院するような患者が中心で、軽症の場合は自宅で静養するよう指示する医師が多い。
菅谷センター長は「抗ウイルス薬を使った治療は、症状の軽減、例えば、発熱期間は24時間以上短縮するし、死亡や入院など重症化の予防効果が確認されている。また症状を早期に軽減させれば、それだけ患者から周囲への感染拡大の抑止にもつながり、家族などへの発病リスクを低下させられる」と指摘し、「結果的に患者の職場や学級への早期復帰というメリットも生じる。世界保健機関(WHO)や米国でも抗ウイルス薬を使った早期治療の有効性を認める方向で動いている」と話す。
早期治療が必要なことには理由がある。現在、治療に使われている抗ウイルス薬は、ウイルスの増殖を抑えることで症状を重くせずに感染拡大を防ぐため、増殖のピーク前に投与しないと十分な効果が得られないからだ。「発熱などの症状が出てから48時間以内の治療開始が望ましい」と菅谷センター長は言う。
インフルエンザの特徴的な症状としては、38度以上の高熱と喉の痛み、激しいせきなどが挙げられる。注意したいのは、高齢者は感染してもこのようなはっきりした症状が表れないケースがあることだ。強い倦怠(けんたい)感や食欲不振が続いている高齢者は、感染を疑って医療機関で検査を受ける方がよいだろう。
一言コメント
今年も流行するのだろうか…
コメントする