広島原爆忌、市長「核なき世界へ主導を」…被爆者初の15万人割れ
- イベント
- 2019年8月7日
広島は6日、74回目の原爆忌を迎えた。広島市中区の平和記念公園では平和記念式典(原爆死没者慰霊式・平和祈念式)が開かれ、参列した約5万人が犠牲となった人々を悼んだ。昭和から平成、令和へと時代が移り変わる中、広島、長崎で被爆した人は今年初めて15万人を割り、体験と教訓の継承が課題となっている。松井一実・広島市長は平和宣言で、2017年に国連で採択された核兵器禁止条約に言及し、政府に対して「核なき世界」へ主導的な役割を果たすよう求めた。
式典には被爆者や各都道府県の遺族代表、安倍首相に加え、米国のジョセフ・ヤング駐日臨時代理大使ら、核拡散防止条約(NPT)上の核保有国である米英仏露を含む約90か国と欧州連合(EU)の大使らが参列。原爆投下時刻の午前8時15分、遺族代表らが「平和の鐘」をつき、全員で1分間の黙とうをささげた。
平和宣言では「国家間の対立的な動きが緊張関係を高め、核廃絶への動きが停滞している」と指摘。当時5歳の被爆者の詠んだ短歌を初めて引用して、短い文章に込められた原爆の惨状を伝えたほか、当時15歳の被爆者の「一人の人間の力は小さく弱くても、一人一人が平和を望むことで、戦争を起こそうとする力を食い止めることができる」との言葉を引き、次世代が行動を起こすことへの期待も込めた。
核兵器禁止条約については「唯一の戦争被爆国として、署名・批准を求める被爆者の思いをしっかりと受け止めてほしい」と訴え、条約への参加に否定的な政府に対し、一歩踏み込むよう呼びかけた。
安倍首相はあいさつで、「『核兵器のない世界』の実現に向けた努力を続けることは、令和の時代においても、変わることのない我が国の使命。新しい時代を平和で希望に満ちあふれた時代としなければならない」と述べた。
原爆死没者慰霊碑には、この1年間で死亡が確認された広島原爆の被爆者5068人の名前を書き加えた名簿が奉納され、死没者は31万9186人となった。全国の被爆者数は3月末現在で14万5844人と、前年同期から9015人減った。平均年齢は82・65歳で、前年より0・59歳上がり、高齢化が進んでいる。
一言コメント
時は流れても、平和への想いが変わってはならない。
コメントする