自民、知事選分裂しこり 福岡、島根…参院選控え続く内紛
- 政治・経済
- 2019年5月19日
4月の統一地方選で相次いだ県知事選の保守分裂が、夏の参院選に向けた自民党の結束に影を落としている。衆参同日選の観測も浮上する中、野党は統一候補擁立に向けた動きを加速させており、自民党にとって思わぬ落とし穴となる可能性もある。(田村龍彦)
「皆さんにも心一つに、力を合わせて勝利に向けて取り組んでほしい」。岸田文雄政調会長は18日、福岡市内で開かれた福岡県連大会で、参院選への結束を呼びかけた。福岡選挙区には4選を目指す岸田派(宏池会)の松山政司氏が出馬する。派閥領袖(りょうしゅう)としても負けられない戦いだが、内紛は沈静化していない。
県知事選では麻生太郎副総理兼財務相や県議らが新人を擁立し、二階派(志帥会)の国会議員らが現職の小川洋氏を支援して勝利した。当初は「知事選後はノーサイド」のはずだった。
ところが県連会長人事をめぐり県議らと小川氏を支援した国会議員が対立。麻生派(志公会)を除く国会議員は岸田派の山本幸三氏を推し、会長選出の規定改定などを申し入れた。結局、新会長に就いたのは県議。国会議員側は16日、県連新執行部が示した回答について協議したが、規定改定などに消極的だと反発した武田良太氏ら二階派議員は18日の大会を欠席した。
大会で岸田氏に続き麻生派の原田義昭環境相も「さまざま議論した上で、最終的には一丸となって挙党態勢を組むのが自民党の伝統だ」と訴えたが、その後も知事選の候補選定過程に対する質問が飛びだした。
しこりは各地で残る。島根県知事選は多くの県議が支援した新人が別の新人を下し、県議会会派が分裂した。新知事を支援した県議は18日の県連会合に欠席した。会合には参院選鳥取・島根選挙区に出馬する鳥取選出の現職、舞立昇治氏=石破派(水月会)=が出席したが、鳥取県連会長の石破茂元幹事長が知事選で敗れた新人を支援した影響で、舞立氏はこれまで島根で「見えない形で活動している」(関係者)という。
福井では、参院選候補が知事選で当選した新人を応援しなかったとして地方議員らが反発。候補差し替えを求める上申書を県連に提出した。保守分裂は自民党の「1強多弱」ゆえの余裕と見る向きは多い。党内からは「野党が弱いので、野党に向かうパワーが内に向かってしまっている」との声が上がるが、長引く内紛は党全体のイメージ低下にもつながりかねない。
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