与党高まる解散機運 菅氏「解散の大義」発言
- 政治・経済
- 2019年5月18日
夏の参院選に合わせて安倍晋三首相が衆院解散・総選挙に打って出るのではないかとの観測が与党内で広がっている。与野党幹部らが「衆参同日選」の可能性に言及する中、菅義偉官房長官は17日の記者会見で、野党から内閣不信任決議案が衆院に提出された場合、首相が衆院を解散する「大義」になると明言した。不信任案提出を巡る野党の動きをけん制したものとみられるが、政権中枢の発言だけに波紋を広げそうだ。
「当然なるのではないか」。菅氏は会見で、国会会期末に慣例化している内閣不信任案の提出が「解散の大義」になるか質問され、言い切った。通常国会の会期末は6月26日。直前に衆院を解散した場合には、衆参同日選となる可能性が高い。
自民党は、2013年参院選で65議席を獲得した。「これ以上取れないぐらいの数字」(甘利明選対委員長)で、この時の当選組が改選となる今回は、どこまで目減りを抑えられるかが焦点だ。衆参同日選なら衆院議員もフル稼働して参院選との相乗効果が期待できる。候補者一本化など野党の準備は整っていない。安倍内閣の支持率は堅調で、「令和」ムードの盛り上がりもある。こうした状況が「同日選」の観測が広がる背景にある。
二階俊博幹事長は13日の記者会見で、同日選について「いつでも受けて立つ用意はある」と強調。下村博文・党憲法改正推進本部長も16日、党本部で記者団に「最近、内閣不信任案が出たら受けて立つべきだと言う人はちらほらいる」と指摘し、憲法改正を大義とする同日選についても「そう言っている人は最近増えた」と述べた。
国会閉会直後の6月28、29日には、大阪で主要20カ国・地域(G20)首脳会議がある。会期を小幅延長し、外交成果もアピールして解散に踏み切り、「8月4日投開票の同日選」と見て動き出した議員もいる。17日の党全国政調会長会議の出席者の一人は「同日選があるとの想定で動いている」と語った。
一方で、同日選に反対している公明党関係者は「不信任案は解散の理由にはなるが、国民に訴える大義となるかは疑問だ。菅氏があんなふうに言うのは、逆にそれで解散する気はないということでは」とけん制した。【佐藤慶、高橋克哉】
◇野党、候補一本化急ぐ
立憲民主党など主要野党は、早期の衆院解散を受けて立つ立場だ。ただ、準備は遅れており、衆院小選挙区で与野党が競り合うとみられる選挙区を中心に、野党候補の一本化に向けた協議を急ぐ方針だ。
立憲は17日、国会内で全国幹事長会議を開いた。枝野幸男代表は「衆参ダブル選挙になる可能性も出てきた。局面が大きく変わったと言ってもいい」とあいさつし、選挙準備の加速を呼びかけた。
枝野氏は衆参同日選の観測を受け、先月下旬から国民民主、共産両党の党首と相次いで会談。衆院小選挙区での候補一本化の協議を始めることで一致した。共産党の志位和夫委員長は16日の記者会見で、「解散になれば一気に話がまとまる」と一本化に自信を示した。
ただ、参院選1人区(改選数1)の候補一本化もまだ決着していないのが現状だ。国民民主の小沢一郎氏は14日のBS―TBS番組で「もし同日選になれば、野党は壊滅的な敗北になる」と危機感をあらわにした。
立憲の福山哲郎幹事長は17日、菅氏の発言を受け、記者団に「解散の大義がないので野党の不信任案提出を大義にせざるを得ないのではないか」とけん制したが、不信任案を提出するかどうかは言及を避けた。党幹部は「与党は扇風機のように解散風を吹かせ、わざと野党が不信任案を出さざるを得ない状況を作ろうとしている」と語った。
一言コメント
来月にはハッキリするだろう。
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