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熊本地震3年 生活再建阻む街づくり「震災ではなく人災」


 熊本県益城(ましき)町は2016年4月の熊本地震で震度7の激震に2度襲われ、住宅の6割が全半壊した。それから3年。町中心部では公共事業による新たな街づくりが進むが、それは住民の生活再建に規制の網をかける形にもなり、あつれきを生んでいる。

「追い立てられている気分。補償はスズメの涙しか出ないのに」

益城町広崎の県道沿いで美容室を営む村上勇さん(60)はため息をつく。熊本地震で大規模半壊した店舗兼住宅は、2カ月前にローンを組んで改装したばかりだった。3年たった今も屋根にブルーシートを掛けて住み続けているのは、県が創造的復興の目玉として7年後の完成を目指している県道4車線化事業のため、いずれ解体して立ち退かねばならないからだ。

事業は町の市街地を貫く県道約3.8キロを幅10メートルから27メートルに広げて慢性的な渋滞解消を狙うが、移転を迫られる沿道の商店からは悲鳴に似た声が上がる。

村上さんによると、県が提示した1坪当たりの買収額は24年前の購入時の3分の1。敷地の4割(100平方メートル)は事業にかからないため買収対象外で、売れる見込みもない。

悩み抜いた末、最近見つけた県道から少し入った土地を買って店を建てようと考えているが「県道に面していないから新たな顧客は望めない。今の補償額では大きな借金を抱えてしまう。不安で不安で、酔っ払わないと眠れない」。この半年で6キロ痩せたという。

同町のテクノ仮設団地にあるプレハブ商店街でプリンと駄菓子を販売する矢野好治さん(50)も、県との交渉に疲れ果て、諦めの表情を浮かべる。

同町福富の県道沿いにあった店は地震で全壊。跡地に再建しようと復旧費の4分の3の補助が受けられるグループ補助金の申請などをしているうちに県道の拡幅が決まり、建てられなくなった。

県が紹介した土地は県道沿いでも福富地区でもなく、新規出店と同じリスクを抱える。提示された補償額では多額の借金を背負ってしまうが、テクノ仮設団地のプレハブ店舗も入居者減で採算割れしており、焦りに駆られるように移転を決めた。

県によると、4車線化用地の地権者278人のうち代替地希望者は3月末現在で85人。土地178件の情報を提供したが、契約者は22人にとどまる。

矢野さんは言う。「4車線化がなければとっくに店は再建できていた。みんなのために道を広げる必要があるのなら、そこで商売していた人が安心して別の土地で暮らせるよう支援してほしい。被災して3年たっても僕らが再建できていないのは、震災ではなく人災だと思う」

益城町の中心市街地28.3ヘクタールで進む復興土地区画整理事業を巡っても、住民に不公平感が広がる。狭く入り組んだ道を広げて再配置し、災害に強い街にする目的で昨秋、国が認可した事業だ。だが、待ち切れずに家を再建した住民も多く、県が先月、そうした家屋を避ける形で道路配置を大幅に変更した計画案を提示したからだ。

「いい街にしようと、家を建てたいのを我慢している人も多いのに、さっさと家を建てた人のために道路を曲げたらゴネ得と言われても仕方ない。これで公平性が保てるのか」

先月15日夜にあった変更計画の説明会で、事業区域の宮園地区まちづくり協議会の理事、豊留(とよどめ)幹男さん(64)が疑問をぶつけた。「家を建てずに事業に協力しよう」と住民に呼びかけてきただけに、不規則な道路配置となった変更計画に、裏切られた気がしたという。

私有地を減らして公共用地を広げる区画整理では、事業着手後は建築行為が厳しく制限される。地震で家を失った被災者は、事業用地にかかって再移転するのを覚悟で事業着手前に建築確認申請して早期再建するか、仮換地まで自宅再建を待つか選択を迫られた。

事業区域で自宅を失った地権者のうち、100人あまりが駆け込み申請して建築許可を受け、140人弱が自宅再建せずに仮設住宅などで仮住まいを続けている。駆け込み組は自宅が完成しているか建築中なのに、我慢組はいつ再建できるか分からない状態が続く。

「正直者がばかを見たということ。県の計画変更は新築した家に配慮して道がジグザグになっており、災害時の避難や緊急車両の通行に支障を来す恐れもあるのに」と豊留さん。宮園地区副区長の野口幸人さん(65)も「これで将来、子や孫に自信を持って区画整理をやったと言えるのか」と訴える。

毎日新聞

 

 

一言コメント
ちぐはぐな復興だったら止めてもらいたい。


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