九州・山口にも中国経済減速影響 「春節明け」の動き注視
- 政治・経済
- 2019年2月6日
米国との貿易摩擦によって、中国経済の減速基調が顕著になり、中国で事業を展開する九州・山口の企業にも影響が出始めた。日本市場の縮小に悩む企業にとって、中国市場の重要性は変わらない。春節後の中国での経済政策や、米中関係などに、最大限の関心を払っている。 (大森貴弘)
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中国政府は1月21日、2018年の国内総生産(GDP)の実質成長率が6・6%だったと発表した。天安門事件翌年の90年(3・9%)以来、28年ぶりの低水準だった。経済成長率は今後、想定よりも低下するとの見方もある。
1月末には、中国の劉鶴副首相らが米ワシントン入りし、貿易に関する協議を進めた。劉氏は、習近平国家主席の経済政策に関する最側近であり、摩擦解消へ中国の力の入れようが分かる。
ただ、貿易摩擦が一気に解決するとは考えにくい。
こうした動きは、民間企業にも波及する。
TOTOが1月に公表した平成30年度第3四半期(4~12月)決算をみると、中国市場の売上高が、前年同期に比べ10%減の480億円だった。
上海や北京など大都市での、住宅需要の減少が主な要因という。
同社の海外売上高のうち、中国は半分以上を占める。中国市場の不調によって、海外事業全体も減収減益になった。「注視はしているが、米中貿易戦争の影響は全く読めない。来期の盛り返しを狙いたい」(同社広報部)という。
喜多村円社長は「中国市場には今回の問題以外にも、不確定要素はある。だが、人口など、社会のボリュームは大きく、今後も有望市場であることに変わりはない」と述べた。巨大都市の近郊では、マンション建設が続いており、住宅設備の需要は底堅いとみる。
安川電機も中国経済の影響を受けた。製造業全般で設備投資を抑制する動きがあり、工場などで使われる機械部品のサーボモーターの売り上げが、減少傾向にあるという。
30年度第3四半期(3~11月)決算で、こうしたモーター部門の売上高は、前年同期比1・4%減の1618億円だった。通期の業績予想も下方修正した。
中国の習指導部はさらなる景気悪化を防ごうと、減税や金融緩和など景気刺激策に傾く。5日に始まった旧正月の「春節」でも、旅行など個人消費を盛り上げようという情報が出回る。
安川電機の広報担当者は「2月の春節明けに、新年度予算が決まる。そこで設備投資を再開する動きがあるかもしれない」と期待を込めた。
ただ、中国は過剰債務問題を抱える。積極的な景気刺激策は債務膨張を引き起こしかねず、中国政府はさじ加減に悩むことになる。
一言コメント
国が大きいほどコントロールも難しい!?
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