安倍首相 今春、再訪露で調整 22日首脳会談
- 政治・経済
- 2019年1月21日
安倍晋三首相は22日午後(日本時間同日夜)、ロシアの首都モスクワでプーチン大統領と会談する。日露両外相による14日の平和条約締結交渉では、北方領土を巡る歴史認識について立場の隔たりが鮮明となり、日本側は首脳会談でロシアの強硬姿勢を和らげつつ、優先議題の絞り込みなどを進めたい考えだ。6月の大筋合意を目指し、首相が今春に再び訪露して首脳会談を行うことも調整する。
両首脳の会談は「日ソ共同宣言(1956年)を基礎に平和条約締結交渉を加速する」ことで合意した昨年11月から3カ月連続で、第1次安倍政権から通算25回目。日ソ共同宣言は「条約締結後、歯舞群島と色丹島を日本に引き渡す」と記しており、日本側は2島返還を実現し、択捉、国後両島では共同経済活動などを行うことを想定している。
ラブロフ露外相は14日の会談で、「北方領土の主権を第二次大戦で(合法的に)手に入れた」というロシア側の歴史認識を受け入れるよう、河野太郎外相に迫った。首相はトップ外交で領土問題の解決を含めた条約交渉を軌道に乗せようと図る。
一方、6月に大阪で開く主要20カ国・地域(G20)首脳会議時のプーチン氏の訪日に合わせ、安倍政権は平和条約の大筋合意を目指している。G20に先立ち、2月にドイツで再び日露の外相が会談する日程が固まったが、首相官邸関係者は「首脳会談もG20までにもう1回は必要」と話す。首相は今回の会談で3月末~4月ごろの再訪露をプーチン氏に提案する模様だ。
ただ、ロシア側に交渉を急ぐ気配はない。プーチン氏は歯舞、色丹両島の引き渡しに関して「どちらの主権になるのかは記されていない」などと指摘。北方領土への米軍展開の可能性にも懸念を示し、日本側を揺さぶっている。
ラブロフ氏ら露政府高官も、平和条約とは直接関係のない陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の配備計画を批判し、日本の対露経済協力も「不十分」と批判した。日本外務省幹部は「ロシアは最大限の成果を得ようとしている」と語り、日本の想定通りに交渉が進むかどうかは見通せない。
首相は21日に政府専用機で羽田空港を出発。訪露後はスイスで世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)に出席し、24日に帰国する予定。
一言コメント
厳しい交渉になるかも。
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