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<医療>忘年会で悪酔いしないお酒の「適量」


<医療>忘年会で悪酔いしないお酒の「適量」

 そろそろ忘年会のシーズンです。「大手を振って飲める」と楽しみな方は多いでしょう。一方で「分かっちゃいるけど、いつも、つい飲み過ぎて」と今から頭が痛い方もいらっしゃるのではないでしょうか。ほろ酔い気分を楽しめて悪酔いはしない、お酒の「適量」を、酔って病院に運ばれた人たちの面倒を見てきた救急医、志賀隆・国際医療福祉大三田病院救急部長が解説します。【毎日新聞医療プレミア編集部】

ある航空会社の操縦士の方が前日の飲酒もあり「職務につくことができない」と報道されたことがありました。お酒は特別な味わいもありますし、気の置けない友人との楽しい時間をもたらします。一方で、判断力が鈍ったり、けがをしたり、とお酒からくるトラブルも多いことはいうまでもありません。今回はこれからのシーズンで大事になる、お酒との上手な付き合い方についてご紹介します。まずは「適量のアルコール」とはどれくらいか、を考えてみたいと思います。なお、ここでの「適量」は「飲んでいて急に調子が悪くならない程度の量」を意味します。「生活習慣病にかかりにくい量」の話は最後に少し付け加えます。

◇あなたの「適量」はどのくらい?

さて、お酒の種類はいろいろありますが、それぞれのお酒「1杯」には、15~18ml程度のエタノール(アルコール)が含まれます。

たとえば、ビール350mlには、アルコールが5%含まれるとすれば17ml。ワイン150mlにはアルコールが11%含まれるとして16.5ml。45mlのウオッカやジンは、アルコールが40%含まれるとして18ml、という具合です。普段からご自身が飲まれる飲み物のアルコール濃度とアルコール含有量を、ある程度把握しておくことが大事になります。

では、「飲み過ぎ」とはどれくらいの量なのでしょうか? 「米国立アルコール乱用・依存症研究所(NIAAA)」は、一度の飲酒の機会に男性なら5杯以上、女性では4杯以上飲んでしまうことを「飲み過ぎ」と定義しています。

この量は、血中のアルコール濃度が急に上がってしまう(米国人で、血中濃度が0.08%以上になる)量です。また、長期間にわたって飲み過ぎが続くと脳や肝臓、心臓の障害を招きますし、不妊やがんの原因となることも知られています。日本人は、身長も体重もアメリカのみなさんより低めですから、日本ならアルコール3、4杯を目安にしたほうがいいのかもしれません。

◇どんな状態になってきたら危ないか?

飲むお酒の量に注意しつつ、もう1点注意しなければならないのは酔った時の症状ですね。濃度に応じて解説します。

【ほろ酔い=血中濃度0.01~0.08%未満】飲み始めで血の中のアルコール濃度が低いときには、幸せな気分になって話が進みます。少しの注意散漫、判断力の低下がみられます。血中濃度0.08%未満が「ほろ酔い」となります。この程度でアルコールをストップして、リスクをコントロールしたいところですね 。

【ふらつく、物を落とす=血中濃度0.08~0.20%未満】だんだんアルコール濃度が高くなると、まっすぐ歩けない、物を落とす、壊してしまうなどの失調症状が出てきます。

【危険です 吐き気など(血中濃度0.20~0.30%未満】血中濃度がさらに高くなると、吐き気が出てきて嘔吐(おうと)します。何度も同じことを話すなど、考えがまとまらなくなります。こうなるととても危険です。

【亡くなる心配も=血中濃度0.30%以上】これ以上進むと「混迷状態」となり、呼吸が止まってしまう、死に至るなど深刻な状態になりえます。

このように、症状に応じて危険度がわかりますので、本人が注意するのに加えて、周囲の友人はお酒を飲んでいる人の様子を観察し、さらに飲まないようにストップすることが大事です。

◇飲んだお酒はどうなるのか?

飲んだお酒の大半(約80%)は十二指腸とその他の小腸で吸収され、20%は胃から吸収されます。そして胃腸から血の流れに乗って、肝臓へ、そして全身に回っていきます。

血中のアルコール濃度は、胃の中にどれくらい内容があるかにもよりますが、お酒を飲んでから30~90分程度でピークになります。アルコールの分解の95%は、肝臓の「アルコール脱水素酵素」という酵素が行っています。他に胃粘膜などにもありますが、基本的には肝臓で分解されると考えられます。

この酵素の強さ(アルコールを分解する能力)は、遺伝によって決まっています。しかし「お父さんやお母さんがお酒が飲めるから私も大丈夫」という考え方は、実は正確ではないということが研究で分かっています。

自分には、お酒を分解する酵素がどれくらいあるのか? 興味がある人や、お酒で残念な経験をしたことのある人は、アルコール体質判定のキットなどで一度調べてみてもいいかもしれません。

また、アルコール脱水素酵素の量は女性では少ないことも知られています。ですから、先ほど紹介したお酒の量であっても、女性の方がお酒の分解に時間がかかる傾向があります。ですので、女性が3杯目に至ったら、一緒に飲んでいる人は「そろそろ大丈夫?」「ノンアルコールにしたら?」などとアドバイスすることをお勧めします。

◇酔いを一気に覚ます「夢の薬」は?

では、お酒を早めに分解する方法はあるのでしょうか。

お酒で泥酔状態になった患者さんが病院に運ばれると、点滴を受けることがあります。この点滴、中身は生理食塩水などで、特別な薬ではありません。それでも点滴する理論的根拠としては、「お酒を飲んだ患者さんはアルコールによって尿が出やすくなる」(利尿作用といいます)ため、脱水になりやすいと考えられる、ということがあります。

ただ、実際にはお酒を飲んで病院に運ばれる方はごくごくわずかで、ほとんどの人は点滴の必要がないので、点滴の効果は不明です。また、先ほどご紹介したように、アルコールの分解は大部分が肝臓で行われるため、「点滴で薄める?」「点滴で尿にアルコールを出す?」といった効果はほとんど期待できないと考えるべきでしょう。

我々は、救急外来に運ばれた泥酔患者さん(ケガなどのない方々です)のうち、「点滴で治療したグループ」と、「点滴をせず、保温と呼吸のモニターをして様子をみたグループ」で、病院到着から帰宅の途に着くまでにかかった時間を比較し、論文として発表しました。この際、泥酔の程度や血中アルコール濃度の影響を考慮し、公平な比較になるように工夫しました。

結果は、点滴が終わるまで待ってしまうせいか、点滴をうけた患者さんの方がより長い時間(1時間程度)、救急外来に滞在することになっていました。

現在、体内でのアルコール分解を促進する薬剤の開発は行われていますが、病院で使用できる有効なものはありません。ですので、とにかく「量を控えていただく」ということが大事です。

なお、お酒に関連する「夢の薬」というと、「二日酔いをすぐ治す薬」がほしい方も多いかもしれません。末尾の「関連記事」(救急医直伝! お酒の上手な飲み方と二日酔い対策)のリンクを見ていただきたいのですが、二日酔い対策には「飲む量を控える」「飲んだ翌朝は炭水化物をとる」「飲む前と寝る前に、一部の鎮痛剤を飲む」などがお勧めです。

◇慢性病予防には「飲まないか、1日1杯」に

いかがでしたでしょうか。最後に少しだけ、習慣としてのお酒の飲み方の話をします。

従来は、日ごろ少量のアルコールを飲む方が「動脈硬化からくる病気によって死亡する確率が下がるのではないか」という研究がありました。厚生労働省が健康増進のための基本方針としている「健康日本21」にも「お酒は少量なら良い」という説が記載されています。

しかし、2018年9月に医学誌「ランセット」に掲載された、最も新しく大規模な研究では、0杯が最も健康によいという結果になりました。

今回は急性の対応についてお話ししましたが、お酒によって慢性的な病気にならないためには、基本的には0杯がベスト。飲むなら男女ともに1日1杯までとするのが良いと考えられます。

けが(転落、転倒、交通事故など)をして救急に運ばれる患者さんでも、飲酒している方は、転んだ際に手を出したり受け身を取ったりができず、頭を打って脳出血したり、骨折したりで重症化しやすいのです。せっかくの楽しみの機会ですので、大人の節度をもってよい時間を過ごしたいですね。

毎日新聞

 

 

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あまり羽目を外さないように楽しみましょう。


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