大阪万博、首位通過狙い通り 決選投票でロシア圧倒
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- 2018年11月25日
【パリ=有年由貴子、杉侑里香】博覧会国際事務局(BIE)がパリで開いた総会で、日本は2025年国際博覧会(万博)の大阪誘致を勝ち取った。三つどもえのレースで、最大のライバルと目されたのはロシア。サッカーワールドカップ(W杯)を今夏に成功させ、終盤戦では猛追を見せた。日本は決選投票は必至とみて、勝利の“絶対条件”を定めた。それは「僅差でも1回目でトップに立つ」ことだった。
誘致関係者によると、日本が総会までに「口上書(こうじょうしょ)」(外交文書)で支持を取り付けた国は81カ国。過去の経験則から導かれた「裏切り率」の約2割を差し引き、情勢分析を加味した票読みの結果は約70票を示した。
BIE加盟国のうち、分担金を納付して投票資格を持っていたのは6月時点で126カ国。「70票」は1回目の当選条件である3分の2に満たないが、1対1の決選投票で勝つための過半数には届いていた。
終盤戦、W杯の成功で国際的な評価を高めたロシアが、猛烈な巻き返しを見せ始めた。「支持国に念押しに行くと、反応が鈍い。調べると、少し前にロシアが代表団を送り込んでいた。そんな国がいくつもあった」(経済産業省幹部)
BIE分担金を納める国もにわかに増えた。最終的な投票総数は156カ国に達した。「ロシアが分担金を肩代わりし、20票を積み増した」との情報が駆けめぐった。
この時点で決選投票は確定的に。「1回目の得票で1位になる」ことが日本の至上命題になった。
万博のような国際的な選挙で、投票する側が避けたいのが「死票」になること。最終局面では「勝ち馬」に乗る心理が働き、2位通過の国には票が流れにくいからだ。
今月19日にパリ入りした日本の誘致委員会役員は従来の支持を固め、裏切り率を減らすことに注力した。総会前日の22日夜には、5班に分かれて各国代表を招いた夕食会を開催。「顔の見える支持要請」(誘致関係者)を徹底した。
投票前の最終プレゼンテーション。ロシアのプーチン大統領はビデオメッセージで「政府代表の皆さまには大きなミッションが課されている」と鋭い眼光で迫った。一方の日本は、世耕弘成経済産業相が「スシ、カラオケ」のフレーズを交えて「大阪は楽しい」と柔和な表情で呼びかけた。
迎えた1回目の投票。日本の得票は口上書を上回る85票まで伸びた。狙い通りのトップ通過で決選投票でもロシアを圧倒した。
ある誘致関係者は「ロシアは投票国を増やして票を増やそうとしたが、日本は正攻法で訴えて確実な支持(票)を得た」と語った。
誘致決定後のレセプションで祝杯を挙げた松井一郎大阪府知事は「選挙って金じゃない。誠意をもって熱意を伝えることが大切やねん」と上機嫌だった。
一言コメント
正々堂々の勝利だ。
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