インフル薬「ゾフルーザ」シェア1位に 負担軽く人気
- 企業・経済
- 2018年11月7日
錠剤を1回飲むだけでインフルエンザの治療ができ、今年3月に発売された塩野義製薬の「ゾフルーザ」の国内医療機関への売り上げが4月からの半年間で抗インフル薬市場の65%を占めていたことが6日、分かった。飲み薬では初めて1回の服用で済むことから、複数回服用のタミフルや吸引式のイナビルなどの定番薬を抑え、一気にシェアを拡大した。今シーズンはタミフルのジェネリック医薬品(後発薬)も発売が始まり、流行の本番を迎えるインフルエンザの治療薬市場の勢力図は一変しそうだ。(安田奈緒美)
塩野義が、米医薬品コンサルティング「IQVIA」のデータをもとに算出したところ、国内の医療機関に流通販売した抗インフルエンザ薬の4~9月の売上高は、ゾフルーザが65%だった。
一方、製薬各社の決算発表によると、金額ベースでは、同期間のゾフルーザの国内売上高は4億6千万円だった。平成29年度の売上高が国内首位だった第一三共のイナビルは1億円にとどまり、タミフルを国内販売する中外製薬は備蓄分を除いた売上高を「0億円」と計上した。
既存薬のイナビルは吸引式で、カプセルのタミフルは5日間服用するが、ゾフルーザは1日1回の服用で治療ができるため患者の負担が軽くなる。
また、既存薬では細胞内で増殖したウイルスが細胞外に広がるのを防ぐのに対し、ゾフルーザは細胞内でウイルス自体の増殖を抑制する世界初の仕組みを持つことから効果が早く現れ、長く続くのも特徴だ。
統計の残る平成11年以来、インフルエンザの推定患者数が最多となった29年度は、ゾフルーザが3月14日に発売されると月末までのわずか約2週間で24億円を売り上げた。今シーズンが市場への本格参入となるが、塩野義の手代木功社長は「将来的に国内シェア7割を目指したい」と強気の姿勢をみせる。
抗インフル薬については、9月からタミフルの後発品が沢井製薬から発売されるなど選択肢が増えている。沢井製薬の澤井光郎社長は「積極的な営業を行うわけではないが、一定の需要を見込んでいる」と話す。
29年度の売上高は国内首位のイナビルが253億円、タミフルの29年の売り上げは169億円だった。ただ、両社とも今シーズンは前年ほどの流行を見込んでいない。第一三共は30年度の売り上げを190億円(前年同期比25%減)と計画。中外製薬は「後発品とゾフルーザが発売されることを折り込んで予想も抑制している」とし、30年の売り上げについて56億円(66・9%減)と予想した。一方、塩野義はゾフルーザの売り上げを130億円と見込み、金額ベースの予想でも2位となっている。
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