農林水産省東北農政局が発注した東日本大震災復興事業をめぐり、同農政局職員が入札前、ゼネコンに再就職した複数の農政局OBに対し、入札に関わる非公表の情報を漏らしていたことが、関係者への取材で分かった。情報を得ていたゼネコンが事業を受注していたケースもあるという。こうした不正は、談合疑惑を調べている公正取引委員会も把握している模様だ。

関係者によると、複数の入札で情報を漏らしていたのは東北農政局で発注業務に関わる職員ら。ゼネコンに再就職した農政局OBに対し、農政局がどのような基準で業者の技術評価をしているのかを教えたほか、別の業者が過去に落札した際の技術評価の結果が分かる資料を渡していたという。

東北農政局が発注する震災復興事業の入札は、業者が示す価格だけでなく、技術や工法などを総合的に評価して契約業者を決める方式が主流だ。発注者である農政局の技術評価のポイントが事前に分かれば、他社より優位に入札を進めることが可能になる。

さらに、農政局職員は、ゼネコンが提出する技術提案書を事前に添削する便宜も図っていたという。公共工事の受注をめぐり、現役の公務員と天下りしたOBが癒着していた構図だ。