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平昌五輪で「南北融和」演出も…分断の象徴・非武装地帯、北の“侵入路”・第3トンネルの生々しい現実


25日に閉幕した平昌(ピョンチャン)冬季五輪。韓国と北朝鮮が統一旗を降りながら開会式で合同入場するなど融和ムードが演出されたが、「分断」は今も続いている。その象徴が、北緯38度線近くの非武装地帯(DMZ)。足を運ぶと、変わらぬ南北の「現実」があった。(原川真太郎、桑村朋)

■脱北者の証言で発見、4つのトンネル

ソウルから車で約1時間。韓国西北部の京畿道(キョンギド)・坡州(パジュ)にあるDMZに到着した。訪れた27日は五輪閉会式に出席し韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領と会談した北朝鮮の金英哲(キム・ヨンチョル)党副委員長が陸路で北に戻る日で、韓国軍の兵士に加えて大勢の警察官が周囲を警戒し、物々しい雰囲気に包まれていた。

DMZは、軍事境界線を隔てて国連軍と北朝鮮軍が顔を合わせる「共同警備区域」の板門店(パンムンジョム)が有名だが、今回の目当ては、そこから南に数キロ離れた「第3トンネル」。DMZ付近には、北が韓国に侵入するため掘った4つのトンネルがあるが、このうち1つだ。

脱北者の証言から1978年に見つかったもので、地下73メートルにあり幅2メートル、高さ2メートルで全長約1・6キロもある。トロッコのような昇降機で地下へ。トンネル内の一部を歩くことができ、軍事境界線まで約200メートルの地点まで近づける。

■「南方限界線」上の展望台、彼方に北の農民の姿が…

明かりがついているとはいえ坑内は狭く、暗い。トンネルの出口は3カ所に分かれ、北の兵士が1時間に3万人移動できる規模だという。

近くには都羅(トラ)展望台がある。DMZの韓国側の境である「南方限界線」上にあり、軍事境界線に張られた有刺鉄線などが肉眼で確認できるほか、天気が良ければ、北の農民の姿を見ることができる。この日はもやがかかっていたが、民謡のような音楽がうっすら流れていた。北の宣伝放送だという。

■「ソウル駅から56キロ、平壌駅まで205キロ」都羅山駅

最後に訪れたのは、2002年に完成したソウルから伸びる京義(キョンイ)線の韓国側の最北端、都羅山(トラサン)駅。将来、南北の鉄道が連結した際はこの駅が北への始発駅になる予定で、看板には「ソウル駅から56キロ、(北の首都である)平壌駅まで205キロ」と書かれている。

ただ、当然北に行くことはできず、駅も民間人統制区域内なので基本的に一般人はツアーなどでしか立ち入れない。「分断は韓国の現実。自由がどんなに尊いかを知ってほしい」。ツアーを企画する「中央高速」の禹恵蘭(ウヘラン)室長(50)は話した。

非武装地帯(DMZ) 「Demilitarized Zone」の略。1950年に起きた朝鮮戦争が53年に停戦した際、協定で設けられた。北緯38度線付近にある軍事境界線を挟んで南北各2キロにわたる地域で武装や軍隊の駐屯、軍事施設の設置が禁止され、一般人の出入りは統制される。人の活動による影響を受けていないため、貴重な野生動物や自然の宝庫としても知られる。

 

産経新聞

 

 

一言コメント
制が変わらないなら、融和はないだろう。


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