架空請求詐欺「電子マネー買って支払え」被害急増
- 詐欺・悪徳商法
- 2017年6月28日
有料サイトの利用料に未納があるなどとうそを言い、プリペイド式の電子マネーで支払いを要求する架空請求詐欺が急増している。息子や孫を装うオレオレ詐欺に比べ認知度が低く、若者がだまされるケースも多い。警察は「『電子マネーを買って支払え』と言われたら詐欺だと思ってほしい。メールや手紙は全て無視し、周囲や警察に気軽に相談して」と呼びかけている。【斎川瞳】
プリペイド式電子マネーは、インターネットを通じて音楽やゲームなどを購入する際に利用される。コンビニエンスストアや量販店で1枚3000~5万円程度で売られる。カード裏面に記載の番号が現金代わりとなり、番号を現金化する買い取り業者も存在する。
犯人側は「動画サイトの利用料が未納」などとうその請求メールや手紙を送りつけ、電子マネーでの支払いを指定し、カードの番号を聞き出す。これまで特殊詐欺被害の中心だったオレオレ詐欺の認知度が高まり、金融機関の水際対策も強化されたことから、電子マネーを使う手口に移行しているとみられる。
警察庁のまとめによると、電子マネーを使った架空請求詐欺の被害は、目立ち始めた2014年が132件(被害額計約9000万円)、15年が848件(同計約5億8000万円)、16年は1267件(同計約7億8000万円)と急増している。今年も愛知県や神奈川県、福岡県などを中心に全国的に増加傾向にあるという。
愛知県内の今年1~5月の被害は86件、被害額は計6549万円に上り、前年同期比でそれぞれ4・3倍、3・6倍。県警によると、被害者の年齢層は10~70代と幅広く、20~50代が7割超を占めるという。被害の9割以上がショッピングサイト「アマゾン」で使える電子マネー「アマゾンギフトカード」によるものだった。
これを受け県警は4月、県内のコンビニ約3700店に「声かけチェックシート」を配布し、携帯電話で話しながら電子マネーを購入しようとする客に注意を呼びかけてもらっている。県警のホームページに手口を疑似体験できるコーナー(https://www.pref.aichi.jp/police/anzen/furikome/gijitaiken.html)も設けている。
「本日ご連絡無き場合、法的手続きに移行」
「有料動画の閲覧履歴が発生しています。本日ご連絡無き場合、法的手続きに移行致します」
5月26日夕、愛知県内に住む20代の公務員女性は、スマートフォンにこんなメールを受け取った。心当たりはなかったが「法的手続きという文言に焦った」。メールの末尾には「ヤフーサポートセンター」とあり、東京の市外局番「03」から始まる電話番号が記されていた。
女性が電話すると、出た男に「動画サイトの情報料20万円が未払いで訴えられている」と告げられた。身に覚えがないことを伝えると、男は「誤って登録されたのかも。まず20万円を支払い、閲覧履歴がないことが確認できたら返金される」と話し、「アマゾンギフトカード」による支払いを指示してきた。
女性はカードの存在を知らず、不審に思った。しかし、メールは有名企業からのものと思い込み、男の「大きな会社をきちんと挟んでいる」という言葉に納得してしまった。
男の指示でスマホの電話をつないだまま、車でコンビニ4軒を回った。1枚5万円のカードを計4枚購入し、カード裏面に記された16桁の番号を男に伝え、電話を切った。
インターネットで検索して、同様の手口の詐欺被害が相次いでいると知ったのは、男との電話を切った後だった。女性は「警戒心は強い方なのに、こんな詐欺にだまされて情けない」と肩を落とした。
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