サンゴにキスして採餌、クロベラの食性の謎解明
- 国際
- 2017年6月7日
サンゴを餌にしている熱帯魚クロベラの食性の謎が、スキャニング式電子顕微鏡と高速ビデオを駆使して解明された。顕微鏡で口の構造が、ビデオで採餌の様子が分かったという。
豪ジェームズ・クック大学の科学者らが行った研究の結果で、カレント・バイオロジー誌に掲載された。
サンゴは、鋭い骨の上に毒を分泌する細胞を持つ薄い肉が広がり、さらに粘液で覆われている構造で、地球上で最も餌として摂取するのが難しいと言われている。このため、サンゴ礁に生息する6000種の魚類のうち、サンゴを食べるのは128種前後に限られている。クロベラはその1つで、インド洋と太平洋中西部に生息し、採餌の仕組みは謎だった。
研究の結果、クロベラの唇は長さ18センチあまりで、折りたたまれた細い繊維がマッシュルームの傘の内側のような構造で密生しており、粘液細胞が分泌する粘土状の物質に覆われていた。
採餌の際は、サンゴにゆっくり近づいて表面を探して顎を出し、唇がサンゴに触れると100分の2秒の間、強力な接吻で肉と粘液を吸い取るという。
ジェームズ・クック大学の海洋生物学者デービッド・ベルウッド氏は「われわれの知る限り、このような唇の記録は見つかっていない」と述べた。
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