中国狙い詐欺 福岡拠点? 「かけ子」か台湾人数十人
- 国際
- 2017年1月1日
日本から中国本土の中国人を狙った振り込め詐欺グループの拠点とみられる複数の施設が福岡県内で見つかり、県警が昨年12月下旬、詐欺容疑で関係先を家宅捜索していたことが31日、捜査関係者への取材で分かった。それぞれの施設には、査証(ビザ)が不要な短期滞在(90日間)で入国した30人を超える台湾人がおり、詐欺のマニュアルとみられる大量の文書や通信機器も見つかった。県警は関係者の事情聴取を進めている。
福岡県内の「かけ子」が中国に電話し、台湾などの共犯者と連携して中国人から金をだまし取る組織的な犯罪グループが存在するとみられる。日中間に容疑者の引き渡し条約がないことなどから、摘発を逃れるために「国境」を悪用した可能性がある。県警は警察庁と協議し、国際刑事警察機構(ICPO)を通じて中国の捜査当局に情報提供することを検討している。
捜査関係者によると、拠点とみられる施設は昨年春と冬、福岡県の古賀、筑紫野両市で見つかった。近くの住民から「複数の外国人が出入りしている」などの通報を受けて捜査員が施設内に立ち入ると、それぞれ30人を超える台湾人がいたという。
施設内からは複数のパソコンやUSBメモリー、トランシーバーなどが見つかり、大量の文書が破り捨てられていた。裁判所からの督促状を装った中国語の文書もあり、USBの中にも同様の内容が残っていたという。
当初、台湾人たちは県警の調べに「台湾の新聞に1カ月3万台湾元(約10万円)の報酬で求人が出ていたので日本に来た」「健康食品の電話販売業務で研修していた。仕事はしていない」と答えた。だが、その後の聴取に一部台湾人が「振り込め詐欺のかけ子をしていた」と認めたという。
こうしたことから、県警は施設が振り込め詐欺の拠点で、台湾人はかけ子だった疑いがあると判断。12月下旬に二つの施設を管理するコンサルタント会社を家宅捜索し、証拠品を押収した。
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