【バスケ】33歳比江島慎が逆転の「比江島タイム」発動、母に誓った世界の夢が成長する糧に
- スポーツ
- 2023年9月1日
<バスケットボールW杯:日本86-77ベネズエラ>◇順位決定リーグ◇31日◇沖縄アリーナ
日本がベネズエラに逆転勝ちし、自力では48年ぶりの五輪切符となるパリ大会出場に王手をかけた。立役者はチーム最年長33歳のSG比江島慎(宇都宮)。最終の第4クオーター(Q)に17得点。日本のW杯史上最多となる1試合6本の3点シュートを決めた。一昨季BリーグMVPが、両軍最多の23点で世界大会51年ぶりの2勝目を引き寄せた。
◇ ◇ ◇
絶体絶命の最終Qに最年長が「比江島タイム」を発動した。15点差を追う窮地に立たされ、神懸かる。ラスト10分だけで3点シュート4本中4本成功など17得点。寸分狂わぬ精度で会場を沸騰させ、親指、人さし指、中指を立てて顔を左右に振る「比江島セレブレーション」で一丸となった。
「このチームを救うために、トムさん(ホーバス監督)は僕をメンバーに残してくれたと思うんで。貢献できて僕もうれしいです」
残り1分55秒、ターンオーバーから速攻で比江島が宙を舞った。反則をもらいながら、倒れ込みながら、エンドワン。ついに76-74と逆転し、最多23得点のブザー後はエース渡辺から「本来の姿。世界でも止められない」と抱きつかれた。
挑戦が結実した。18年に宇都宮の前身栃木と契約解除し、オーストラリアNBLに日本人で初挑戦した。「W杯と東京五輪を考えた時にラストチャンス」。母淳子さんが水面下で同国関係者と交渉し、開いてくれた道だった。その母が同年4月、急逝。「母が裏で動いてくれていた」。墓前に進化を誓って海を渡った。
この年、豪州を79-78で破る金星で進化を示した一方で19年W杯は5連敗。21年東京五輪も3連敗を喫した。「今まで本当に悔しい経験をしてきた」からこそ30歳を超えてなお成長し、一昨季はBリーグ制覇と決勝MVP。この日は自身初のW杯20得点超と日本のW杯史上最多となる1試合6本の3ポイント。母との夢だった世界大会で輝いた。
「つかみ取れるチャンスが目の前にあるんで、何としてもつかみ取ってファンの皆さんと喜びを分かち合いたい」。2日カボベルデ戦で勝てば文句なし。48年ぶり自力五輪まで「マコ」は止まらない。
日刊スポーツより転用
コメントする