イスラエル軍、ヨルダン川西岸で大規模軍事作戦 「敵はテロ集団」
- 国際
- 2023年7月4日
イスラエル軍は3日未明、イスラエルが占領するヨルダン川西岸ジェニンの難民キャンプ周辺で大規模な軍事作戦を始めた。パレスチナ武装組織の拠点を一掃することが目的で、ドローン(無人機)での空爆のほか、1000人以上の兵士を派遣。2000年代の第2次インティファーダ(武装蜂起)以来の本格的な軍事行動となった。
イスラエルの右派政権は西岸での強硬姿勢を強めており、国際社会の反発も予想される。パレスチナ保健省によると、軍事作戦により、少なくともパレスチナ人7人が死亡し、数十人が負傷した。
西岸北部のジェニン難民キャンプでは、イスラム過激派「イスラム聖戦」やパレスチナ自治区ガザ地区を支配するイスラム組織「ハマス」などの戦闘員が拠点を置いている。発表によると、イスラエル軍は3日午前1時ごろ、戦闘員らが作戦拠点として使う建物をドローンで空爆した後、掃討作戦に乗り出した。空爆は10回以上に及び、ネット交流サービス(SNS)には、銃撃戦や、軍用ブルドーザーが街を走行する様子の動画が投稿されている。
イスラエル軍のハガリ広報官は3日、記者団に「難民キャンプを占拠する予定はなく、パレスチナ自治政府と戦うわけでもない。敵はテロリストグループだ」と説明。ガラント国防相は「イスラエル市民を傷つける者は、高い代償を払う」と強調した。
一方、パレスチナ自治政府のアッバス議長の広報官は、イスラエル軍による「戦争犯罪だ」と主張し、「イスラエルの攻撃を真剣に止める」ようにと国際社会へ呼び掛けた。イスラエル軍は作戦が数日間続く可能性を示唆しており、今後、ハマスがガザ地区から攻撃を始める可能性もある。
イスラエルのネタニヤフ政権は、パレスチナ人が多く住む西岸の「併合」を主張する極右政党と連立しており、これまでも西岸への強硬姿勢を示してきた。6月にはジェニンで戦闘ヘリによる空爆を実施し、国際法違反とされるユダヤ人入植地の拡大も決定した。
一方、パレスチナ側もイスラエルへの攻撃を続けており、6月20日にはハマスの戦闘員が西岸で入植者ら4人を殺害し、緊張が高まっていた。AP通信などによると、今年に入り、双方による攻撃でイスラエル側は24人、パレスチナ側は西岸だけで130人以上が死亡している。【エルサレム三木幸治】
毎日新聞より転用
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