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後継勝利で安倍氏後援会が解散へ 関係者「一つの時代が終わる」


 23日投開票された衆院山口4区補選は、昨年7月の銃撃事件で亡くなった安倍晋三元首相の後継で、自民党新人の元山口県下関市議、吉田真次氏(38)=公明党推薦=が初当選した。

「安倍後援会としての役割は果たせた」。安倍晋三後援会の伊藤昭男会長(87)は23日夜、吉田氏の当選確実に沸いた事務所で報道陣にそう語り、安倍氏の死後も存続してきた後援会を今後、解散する考えを示した。後援会幹部の中には安倍氏の父晋太郎氏の代から30年以上にわたって安倍家の応援を続けてきた人もいる。後援会のメンバーからは「一つの時代が終わる」との声が漏れる。

 自民党幹事長や外相などを務めた晋太郎氏が1991年に67歳で死去したことを受け、93年の衆院選で初当選したのが当時38歳だった次男の安倍晋三氏だった。以降、安倍氏は10回連続で当選を果たした。その活動を地元で支え続けたのが強固な後援会組織だった。  

安倍氏は2006~07年に首相を務めた後、12年12月には再び首相に返り咲き、20年9月まで連続在任日数が歴代最長となる長期政権を維持した。その一方で、世論が二分される政策を強硬に進める政治手法には批判も強かった。首相主催の「桜を見る会」に安倍氏の後援会関係者が多数招待されていたことが分かり、「会の私物化だ」と問題にもなった。  

安倍氏の死後、後援会には喪失感が漂い、メンバーからは「もう政治や選挙からは距離を置きたい。個人的に安倍さんの憲法改正などの思いを伝えていきたい」という声さえ漏れた。  「吉田候補を国政の場に送り出すことが安倍後援会の最後の役割である」。3月5日、岸田文雄首相も参加して下関市で開かれた吉田氏陣営の「激励の集い」。あいさつに立った安倍後援会の伊藤会長は最後に結束して吉田氏を支援するよう促した。安倍氏の妻昭恵氏から強く推され、出馬を決意したのが吉田氏。伊藤会長は吉田氏の後援会長も兼任し、支援を呼び掛けて回った。  

「この安倍真次候補が……」。補選が告示された11日の吉田氏の出陣式では、マイクを持った伊藤会長が吉田氏の名前を言い間違える一幕もあった。会長を務めて約20年。これまで選挙の度に安倍氏の名前を連呼してきた。  

下関市では、今も安倍氏のポスターが張られている。晋太郎氏の代から応援している安倍後援会の幹部も、自身が経営する会社に安倍氏の写真を飾ったままだ。「安倍先生は大きな存在で、(後継の)吉田さんと比べることはできない」と言う一方で、安倍氏の初当選時と同じ38歳で国政選挙に立候補した吉田氏の姿を見ると、「若いころの安倍先生を思い出す」とも語る。  

「今後も吉田君を応援するが、私も高齢で選挙活動はこれで最後だと思う」。別の70代の後援会幹部はそう言う。“後継”として当選を果たした吉田氏が国政の場でどんな活動を展開し、次の衆院選に臨むのか。その真価が今後は問われる。

毎日新聞より転用

毎日新聞


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