福岡市公募、屋台選定委員が便宜 応募者の書類指導
- 政治・経済
- 2017年2月12日
福岡市は2月11日、昨年実施した屋台の新規経営者の公募を巡り、審査を担当した選定委員会の委員の1人が、一部の応募者の書類を添削するなどの便宜を図っていたと発表した。委員と応募者の接触を禁じた規定に抵触するという。便宜を受けた9人中6人が最終審査を通過していた。
新規経営者は28人が選考をパスし、今春から営業を始める予定。市の重光知明経済観光文化局長は11日の緊急記者会見で「市民の信頼を著しく損ない、誠に遺憾」と説明。便宜を図った委員を9日付で解任した上で、合格した6人の扱いを検討するとした。委員と応募者間に金銭の授受があったかは不明という。
便宜を図っていたのは天神地区の屋台営業者組合の組合長。応募書類の模範解答を作り、組合所属の応募者2人の書類を添削していた。組合長から模範解答を受けとった副組合長も、別の組合員7人の書類を添削した。
9人が応募した天神地区などの「商業地域エリア」は15人の枠に53人が応募していたが、9人全員が書類審査を通過し、最終審査も6人が通過した。9人はいずれも「名義貸し」で営業をしており、公募をパスしなければ3月末までで営業できなくなるはずだった。
1月末に市に不正の情報が寄せられ、市は組合長に事情を聴いたが、いったんは否定。2月8日になって一転して認め「組合員を守るためにやった」などと話しているという。市によると、組合長は昨年11月の選定委の会合で「(組合員が)書類審査に合格するよう配慮を願う」との嘆願書を提出し、注意を受けたこともあったという。
組合長から直接添削を受けた2人は最終審査は不合格だったが、市は失格処分とする。
福岡市中央区で屋台を経営する田中聖一さん(51)は書類審査で落選した。「公平な審査と信じて結果を受け入れた。不正は許せないし、このような審査で長年経営した屋台をたたむのは理不尽だ」と憤った。
選定委の村上剛人委員長(福岡大教授)は「書類審査に多くの時間を割き、客観的に評価するよう努めたが、不正で全ての努力が無駄になった」と話した。
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