ワクチンで80歳超のCOVID-19重症化リスクが8割減=英イングランド調査
- 国際
- 2021年3月2日
ニック・トリグル、ミシェル・ロバーツ BBCニュース
英イングランドで公衆衛生当局が行った調査の結果、オックスフォード/アストラゼネカやファイザー/ビオンテックの新型コロナウイルスワクチンを1回受けただけで、80歳超の人の重症化リスクが80%以上減ることが1日、明らかになった。
イングランド公衆衛生庁(PHE)が公表したデータによると、ワクチンの防御効果は接種から3~4週間に出始める。イギリスでは昨年12月から80歳以上の人に優先的に予防接種を進めており、今回のデータはその人たちの状態にもとづく。データは査読を受けていない。
アストラゼネカ製より1カ月早くイギリスで接種を始めたファイザー製のワクチンについては、死亡率が83%下がったという。これも初期の接種対象だった80歳以上を対象としたデータをもとにしている。
さらに、1回目の接種から3週間後の時点で、70歳以上の人たちが発症するリスクも約6割下がったという。
「かなり違う世界に到達できる」
政府の科学顧問たちはこのPHE発表を歓迎したが、新型コロナウイルス感染症COVID-19に対する最も効果的な防御を獲得するには2回の接種が必要だと強調した。
これに先立ち英スコットランドの保健当局も、同様の「素晴らしい」調査結果を発表している。
英政府のマット・ハンコック保健相は1日、首相官邸で記者団に対し、ワクチン接種による最新の調査結果は「とても力強いものだ」と評価。「イギリス全体でここ数週間、集中治療を必要とする新規のCOVID-19患者の人数が1桁に減っているのも、これが理由かもしれない」と述べた。
記者会見に同席したイングランドの副主任医務官、ジョナサン・ヴァン・タム教授は、ワクチン接種事業によって「今後数カ月の間に私たちがこれまでとかなり違う世界に到達できるようになる」とし、その展望が今回のデータからうかがえると歓迎した。
その上で教授は、2回目の接種の重要性を強調し、継続することが「絶対に不可欠だ」と述べた。
2回接種で「免疫反応が成熟」
ヴァン・タム教授は、1回しか接種しない場合と比べて、2回目のワクチン接種が「免疫反応を成熟させ、もしかすると免疫対象を拡大させ、ほぼ確実に長期化させる」「可能性がきわめて高い」と説明した。
イギリスではこれまでに成人人口の3割以上に当たる2000万人以上が、1回目の予防接種を受けている。
一方で、英政府の3月1日統計によると、ウイルス陽性判定から28日以内に新たに亡くなった人は104人、新たに感染が確認された人は5455人だった。
アストラゼネカ製は高齢者にも有効と
ヴァン・タム教授は、オックスフォード/アストラゼネカ製のワクチンを高齢者に提供する判断は有効だったと、「明らかに示された」と述べた。
これまで欧州の一部では、治験で効果が確認されたのは若い成人が主だったことから、65歳以上には使用しないことにした国々が出ている。
ヴァン・タム教授は、ワクチンが若者にしか効かないなど「あり得ない」というイギリス保健当局の判断が正しかったと述べた。さらに、イギリスの今回のデータには諸外国の関心も集まるはずだと話した。
PHEの予防接種責任者、メアリー・ラムジー博士は、ワクチンによって感染者が減り、人命が救われていると示す証拠が積み上がっていると述べた。
「今後もっとデータは出てくるが、今回の結果は頼もしいし、ワクチンが具体的な変化を実現しているとますます自信を強めている」と博士は話した。
ただし、ブラジルで特定され、最近イギリスでも確認された「E484変異」について現行のワクチンがどれだけ効くのかは、まだはっきりしていない。
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