JR日田彦山線、鉄道復旧を福岡県が断念 東峰村がBRT専用道延伸案を容認
- 政治・経済
- 2020年5月19日
JR日田彦山線の筑前岩屋駅。九州豪雨で周辺に土砂が流入し、被災した痕跡が残る=2019年12月、福岡県東峰村(ドローンで撮影)
2017年7月の九州豪雨で被災し、一部区間で不通が続くJR日田彦山線の復旧方法を巡り、福岡県の小川洋知事が不通沿線の同県東峰村に対し、鉄道での復旧を断念する考えを伝えたことが分かった。県はバス高速輸送システム(BRT)の専用道延伸案を提案し、村は受け入れる意向を示した。同じく不通区間を抱える同県添田町、大分県日田市はBRT導入に反対していないため、関係する3自治体が復旧方針で事実上一致したことになる。 西日本新聞の取材に対し、複数の関係者が明らかにした。これまで一貫して鉄道復旧を求めてきた東峰村がBRT導入に転換したことで、豪雨発生から3年を前に、難航していたJRと両県、3自治体による復旧協議は決着に向けて大きく前進する可能性がある。関係者によると、小川知事は16日、村を訪問。渋谷博昭村長や村議会の佐々木紀嘉議長らと会談し「鉄道復旧を目指してきたが力が及ばなかった。村の思いに応えられず申し訳ない」と陳謝し、鉄道復旧の断念を明言した。その上で、彦山(添田町)-筑前岩屋(東峰村)間のみをバス専用道とするJR九州のBRT案ではなく、自民党福岡県議団の独自案を踏まえて大分県により近い宝珠山駅(同)までの延伸案を提案し、JRと交渉したい考えを伝えた。村側は容認の意向を示し、知事から住民に直接説明するよう求めたという。復旧方法を巡っては、JR九州が19年4月、沿線自治体トップとつくる会議の中で、年1億6千万円の地元負担を条件とした鉄道案やBRT案を提示した。自治体側は当初、地元負担なしの鉄道復旧を求めていたが、問題の長期化を受けて今年2月の会議でBRTでの復旧を軸に検討することを確認した。同県議団は3月、BRTの専用道延伸のほか鉄道復旧を一部に取り入れた案など四つの独自復旧案を提示。超党派の県議らでつくる「九州の自立を考える会」が沿線自治体の地域振興策を考えるプロジェクトチームを立ち上げるなど、調整に乗り出していた。福岡県は今後、県議会や東峰村と足並みをそろえ、JRに対しBRT専用道の延伸を求めていくとみられる。
一言コメント
コロナショックも影響したのだろうか。
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