コロナ太り対策食品 「脂肪を減らす」“攻め”のノンアルビール
- 企業・経済
- 2020年5月6日
新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言も長期化の見通し。外出自粛による運動不足やストレス過食で“コロナ太り”が急増しているという。そんななか、「脂肪を減らす」ノンアルコールビールの人気が高まっている。ノンアルビールの登場から10年あまり。当初は「ビールが飲みたいけれど運転が…」というガマンの選択だったが、健康志向の商品が続々開発され、代替品ではなく積極的に選ばれるヘルシー飲料に出世。ノンアルだからいつでも飲めて、在宅勤務のリフレッシュにも使える。(重松明子)
筆者も自宅に籠る日々が続き、体重が2キロほど増えた。久々に履いたタイトスカートが、はち切れそうで苦しい~。食料品買い出しの際、ノンアルビール棚の「脂肪を減らす」の文字に吸い寄せられる。1本百数十円。2商品が出ている。
「ステイホームで思うように運動できず、太ることへの警戒感が高まっている。購入層は生活習慣病などを気にする中高年が中心ですが、見た目のスタイルを気にする20、30代にも広がってきた」
キリンの「カラダフリー」を担当する同社マーケティング部の佐藤洋介さん(34)が、リモート取材の画面で笑顔を見せた。昨年10月発売。4月30日までに2200万本以上売れている。
皮下や内臓の「おなかまわりの脂肪を減らす」という効果は、長年の研究成果という。
キリンでは、ビール原料のホップに含まれる苦味成分「イソα酸」に体脂肪低減効果があることを発見していたが、苦みが強烈で食品使用が難しいという課題があった。そこから10年以上の歳月をかけた末に、独自の加熱熟成技術によって苦みを8割減らした「熟成ホップエキス」の量産化に成功。ノンアルビールが商品化第1号となった。
発売前、肥満傾向に分類されるBMI値25~29の男女約100人に1日1本飲用12週間の継続試験を行った結果、CTスキャン測定で腹部の総脂肪面積が平均で17平方センチメートル減少したことが確認された。「今まで通りの生活を続けてもらった上での結果。スッキリとした飲みやすい味に仕上げているので、長く続けてもらいやすい」と佐藤さん。
今後も、独自素材の熟成ホップエキスを生かした商品を開発するため、キリンホールディングスと電通の出資による新会社「INHOP(インホップ)」を設立。脂肪減少だけでなく認知機能改善効果の研究も進んでおり、さまざまな商品への用途が計画されている。
国内ノンアルビールは、大手4社で19商品、スーパーのプライベートブランドや小規模醸造所を含めると約30商品が流通している(インテージ調べ)。5年前、科学的根拠を国に届け出ることで効果がうたえる「機能性表示食品」制度がスタートしたことで、脂肪や糖の吸収を「抑え・おだやかにする」商品が広がり、昨年から「脂肪を減らす」“攻め”の競争に入った。
先手を打ったのが、昨年7月にサントリービールが発売した「からだを想うオールフリー」だ。ローズヒップに含まれるポリフェノール「ティリロサイド」の作用で、「内臓脂肪が減少する」と缶に表記されている。「飲みごたえのある味わいで、ビール好きに好評」と広報担当者。昨年内に計画の1・7倍を超える3726万本を販売した。12週間継続を推奨し、ネット通販による箱買いが多いのは、前出のキリン商品と同様だ。
サントリーのノンアルビールは、3月に前年同月比42%増、1-3月でも25%増と絶好調。広報担当者は、オールフリーブランドのリニューアル効果に加えて、「巣ごもり需要」の影響も指摘した。
ノンアルビールの市場は拡大を続け、大手4社が参入した平成21年502万ケース(1ケース=大瓶633ミリリットル×20本換算)だったのが、昨年は1939万ケース(見込み)と10年で約4倍に上昇(サントリー調べ)。売り上げが落ち続ける本物のビールとは対照的だ。
お酒ではないので消費税も8%のまま。しかし、職場で堂々と飲む姿を見かけたことはない。ならば今こそ、自宅勤務中に人目を気にせずゴクゴク…。ほどよい苦みと炭酸の刺激で眠気も覚める。これって、不謹慎ですかね?
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今年はノンアルが熱くなる!?
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