「赤字上場」急増 成長期待で投資家も許容 令和元年の「IPO」86件
- 企業・経済
- 2019年12月18日
野村証券は17日、令和元年の新規株式公開(IPO)が86件になる見通しだと明らかにした。前年から4件減るものの、ほぼ例年並みの水準。赤字企業の上場は22件で、記録のある平成21年以降では過去最高を更新する見込みだ。この日上場したクラウド会計のfreee(フリー)をはじめ、先行投資がかさむITベンチャーが増えてきたためで、投資マネーを企業の成長に結びつける市場機能が一段と高まっている。
市場からの資金調達総額は3249億円になる見通し。ソフトバンクやメルカリなど、大型案件が続いた前年の10分の1にとどまりそうだ。金額別では、6月にマザーズに上場したクラウド名刺管理のSansan(サンサン)が389億円と最大だった。
上場直前の決算期の経常損益または最終損益が赤字の企業は昨年(12件)の倍近くに跳ね上がる見通しだ。フリーのほか、サンサンもここに含まれる。
野村証券公開引受部の倉本敬治部長は「(定額制の)サブスクリプションサービスの提供企業など、事業が立ち上がっている中でも先行投資がかさむケースが増えてきた。将来の成長への期待から、投資家の赤字に対する許容度が高まっている」と解説する。
来年のIPO市場については、多くの証券会社が例年並みを予想するが、来夏の東京オリンピックがネックになるとの見方もある。倉本氏は「大会期間中は交通の混乱で機関投資家回りなどIPOに必要なプロセスが止まる可能性がある」と指摘する。
一方、東京証券取引所は、サウジアラビアの国営石油企業サウジアラムコが国外上場先の候補のひとつに入れているとされる。海外マネーの取り込みを意識した市場構造改革も議論されている。
中長期的には海外企業が東証を目指す動きが再び強まりそうだ。ある業界関係者は「東南アジアのITベンチャーがマザーズを目指すなど、海外企業の東証上場が出てくることが予想される」と話している。
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第二のITバブルがやってきた!?
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